マガジンのカバー画像

噤みの午後 Diary

39
「噤みの午後日記」の続編。ただし身辺雑記厳禁。
運営しているクリエイター

#小林敏明

映画「US」と小林敏明「故郷喪失の時代」(文學界 2019年6月号)

映画「US」と小林敏明「故郷喪失の時代」(文學界 2019年6月号)

今ミュンヘンで公開中の映画「Us」(ドイツでの題名は「Wir」)は、ホラー映画の形を取りつつ、そして実際に観てみるとすごく怖いわけだけれど、現代米国社会への批評をこめた風刺劇でもある。

監督はJordan Peele。前作の「Get out!」もホラーにして社会風刺、怖くて悲鳴を上げつつも、鋭い批評性が感覚的な恐怖と絶妙のバランスをとって、観終わったあとには、なぜか爽やかで力強い印象が残るものだ

もっとみる