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男性に男子更衣室がふさわしいとは限らない

私は仕事で実習生を受け入れる窓口の役割を担っていたことがあり、年間にすると結構な人数の実習生さんと接していました。

ほとんど麗人ともいえる男性

10年以上前のことですが、ある日、年齢は20歳くらいだったでしょうか?色白でやせ型のきれいな男の子が実習にやってきました。

普通に、いつもどおりのオリエンテーションを開始すると、彼の話し方は丁寧ではあったものの、女性的ということもなく、私も「きれいな子だな」とは思いましたが、それ以上心の中で詮索しようという気も起らず、更衣室を案内しました。実習に入る際には毎日着替えてもらう必要があったからです。
私はなーんにも考えずに男子更衣室に案内し、彼も特に問題があるという意思表示もなく、一通りのオリエンテーションを終えました。

実習の様子も特に問題なく、3日ほど過ぎて行き、私はふと男子更衣室を使ってもらっていることの妥当性に疑問を持ち始めました。
彼の容姿から察するに、もしかしたら性同一性障害(障害という言葉は好きではありませんが、お許しを)なのではないか?と思い当たったわけです。

で、さっそく次の日にその実習生さんにストレートに尋ねてみました。

シャワールーム

「男子更衣室使ってて不都合ないですか?もし希望があればこちらで更衣をしてもらってもいいですよ」と更衣室のすぐ近くのシャワールームを見てもらったのです。

すると彼はちょっとホッとしたような表情になり、「よろしければ、こちら使わせていただきます。」との返事が返ってきました。

当然ですが、私は彼の性別に関する認識などには一切言及していません。
ただ男子更衣室に代わる場所を差し向けてみただけです。
なので、彼が実際にご自身の性別についてどう考えているかということについて、私は一切知らないまま実習期間は終了しました。

(あ、誤解しないでくださいね、彼が綺麗だったから、私がこういう行動に出たわけではありません!)

実質的にはシャワールームは着替える時だけに使用してもらい、着替えたあとの服は男子更衣室のロッカーにしまってもらっていたですが、もし彼が衣服を脱いでその姿を男性に見られることにストレスを感じていたら、と心配になったのですが、もしかしたら私の思い過ごしだった可能性もあります。

性同一性障害の方にしろ、LGBTの方にしろ、こうした更衣室だけではなく色んな場所や場面で、ご自身の性、性別にフィットせず、致し方ない選択をせまられているのかもしれません。

母親:「おめーいつまでそんなことしてんだよ!」

突然話は変わって....
以前私の子どもが小さかったころ、よく公園に一緒に行きました。
そうした時に時折見かけた光景なのですが、3,4才の男の子の母親ってビックリするような言葉で子どもに注意したり、叱ったりするんですよ。

20代真ん中くらいの母親が自分の子に向かって
「おめー、いつまでそんなことしてんだよ!」てな感じで。
暴力こそふるっていませんが、もう聞くに堪えませんでした。

その母親にしてみれば男の子相手だからそういう言葉で叱って当然、みたいな感覚なのでしょうかね?

こういうお母さんに出会ったのは1回だけではありません。
全てのお母さんが子どもにこんな話し方をするとは思いませんが、しかし親って子どもの性別で明らかに接し方を変えると思います。
そして言葉づかいも性別に応じたものを使うように教えます。

男の子はこういうもの、女の子はこうあるべきものという観念は大多数の人間が持っています。
でもどうしてもその観念から逸脱する人たちが現れ、そして存在するのも現実です。

マジョリティー側は気づかない

マジョリティーってマイノリティの存在を無いものであるかのように塗りつぶしてしまいがちです。
そしてマジョリティー側の人々は概ね勉強不足で色んな場面で大切な認識を踏みにじったり、ひねりつぶします。
例えば、「あなた女なんだから、もっと女性らしいカッコしたら?」とか「〇〇くんって、男のくせに頼りないわよね」と言ってみたりするわけです。
ちょっとマスキュリンな美学を持った女性もいるでしょうし、頼りないのは色んな可能性を考え付くものだからなかなか決断できないという繊細さの表れかもしれませんし。

マジョリティーって、たぶん自分は正しいという錯覚から生まれ出る考え方の総体だと私は思います。

少なくとも今の私の認識は正しいのだろうか?と自分に問い続ける姿勢は、だれもが持ち続けるに値するのでは?と。



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