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文学

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文学について書いた記事をまとめています。
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記事一覧

『おいしいごはんが食べられますように』のとんでもない面白さ

昨日、第167回芥川賞受賞 高瀬隼子の『おいしいごはんが食べられますように』を読んだ。すご…

女三宮
1年前
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小説から考える『干渉』の話

大学の先輩たちと喋ってて、「おいしいごはんが食べられますように」の話になって、「でもそう…

女三宮
1年前
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最近の出来事 羽生結弦 宝石展 ロザンなど

①羽生結弦展に行った。「天と地と」「Let me entertain you」「SEIMEI」などの衣装が見れてよ…

女三宮
1年前
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卒論のテーマが検閲だった私がここ1ヶ月思うこと

卒論が太平洋戦争を起点とした日本の文学検閲についてだった自分は、最近ゾッとすることが多く…

女三宮
2年前
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タコピーの原罪と幸福論と現実逃避

以前、「幸せの話より平和の話をしてくれ」という記事を書いたが、最近それと似たようなことを…

女三宮
2年前
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太宰のきりぎりすのこと

(給料、上がらないかな〜)などと考えるたびに太宰治の「きりぎりす」を思い出す。お金、それ…

女三宮
2年前
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マカえん 髙坂篤志さん

友達がカラオケでマカロニえんぴつの『恋人ごっこ』を歌っていて、 「愛を伝えそびれた」 愛を伝えそびれるなよ。絶対に。何を伝えそびれても愛だけは。 「でも確かに恋をしていた」 知らねーよ。恋をしていたということが正当性の根拠になるとでも思ってんのかよ。みんな恋をしていたんですよ。阿部定だってね。 「もう一度あなたと居られるならきっともっともっとちゃんと ちゃんと愛を伝える」 一度愛を伝えそびれた人はもう一度一緒に居られたとしても愛を伝えられないんですよ。人生は何度でもやり直しが

アイデンティティと『こころ』

日本文学とクラシック音楽と着物と美術が好きでバレエをやっていたと言うと「趣味が高尚ですね…

女三宮
2年前
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秋の和歌紹介

こちら に続き秋の歌を紹介していきましょう。百人一首から! 吹くからに 秋の草木の しをる…

女三宮
2年前
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ルックバック、現実とフィクション、近代漫画の夜明け

仕事でイラつき過ぎて気付いたら全員殺していたなんてことになりかねない状況なので、心を落ち…

女三宮
2年前
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大学の平安の人

大学の時の平安の人(中古文学の教授)が、ロマンも何もない人だった。 『枕草子』は随筆、随…

女三宮
2年前
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白樺派のすごさ/もしyoutuberだったら

白樺派の人たちは、自分たちが階級の上に居るということに皆大小あれど苦しんでいるということ…

女三宮
3年前
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正岡子規と写実主義を考える〜なぜ鶏頭論争は加熱したの?〜

さんざんゼミで近代の文学論争をやったくせに、「鶏頭論争」を今更詳しく調べましたよ。なんか…

女三宮
3年前
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春の和歌紹介

春の和歌を見ていきましょう。百人一首から! 花さそふ 嵐の庭の雪ならで ふりゆくものはわが身なりけり 詠み人:入道前太政大臣(にゅうどうさきのだじょうだいじん) 現代語訳:桜の花を誘って吹き散らす嵐の日の庭は、桜の花びらがまるで雪のように降っているが、実は老いさらばえて古(ふ)りゆくのは、私自身なのだ。 うまいっ。うまいですね。さすが。太政大臣つかまえて「うまいですね。」じゃないんだよ。「降る」桜に「古」くなっていく自分を重ねた掛詞。日本語に同音異義語が多くて良かった。強