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西加奈子「通天閣」

こんばんは、もはです。
珍しく平日の夜に更新しています。

今日は学校終わって、疲れて一時間ほどベットで寝てしまいました。
なんですかね、そこまで体力使った気はしないんですが、疲れって知らず知らずに溜まっているんですかね。
お陰で少し疲れが取れて、さっき読み終えてこうしてnoteをかけているので、万事OKですが。

さて、ではそろそろいきましょう。

現実の厳しさと人情をエンターテイメントに昇華させた

本日の本はこちら。西加奈子の「通天閣」

最初エッセイかと思って手に取ったんですが、よく見たら長編小説でした。笑

本書は大阪の通天閣を舞台にした、とてもダメな見知らぬ男女二人の物語。
1人は彼氏に突如ニューヨークに旅立たれ、ぼったくりのスナックで嫌々働く女性。
もう1人は、生きる希望もなくただ工場で働き老いていくだけの独り身の中年男性。

本書の特徴として、とにかく綴られるエピソードが血生臭いんです。
嫌気がするほど生々しく語られる生活感有り余る文章で、途中目を背けてしまったりするほどでした。

例えば、スナックでぼったくりをしやすくするためにオーナーがゲロを吐いて一刻も早く会計をさせるだの、オッサンのおかまを買ったオッサンが喧嘩するだの。
ホントここに出てくる人たちみんな、どうしようもないんです。笑

正直読んでいる途中まで、なんでこの本を買ったのかちょっと後悔しました。
何を描きたいのか全くわからないし、ただ下町の低俗なストーリーが並ぶだけ。
西加奈子の初期の頃の作品は駄作なのかと、読むのをやめようかと思いました。

でもラストの50ページで全てがひっくり返った
途端にキャラクターが愛おしく感じる。
これまでの下品でどうしようもない人たちの話が、一気に人情味のある暖かな話に昇華されました。

なぜこんな気持ちになるのか、今読み終えた私自身も不思議です。
確かに途中まで、読むのやめようと思っていたのに、今は清々しい。
これが西加奈子の凄さなのかと痛感しました。

また、解説にもありますが本書で一番好きなセリフがあります。

(本書より一部引用)
夢に向かって頑張っていないとダメなのか、何かを作っていないとダメなのか。
自転車でバイト先に向かい、阿呆の相手をして、マメ(彼氏)のことだけを思って眠る生活をしている私は、駄目なのか。
『きらきらと輝いて』いないのか。

この本は、決してキラキラしてない日常を過ごす私たちの物語なんだなと。
同じようにただ日常を過ごす自分に、刺さりました。

この世界に生きるどうしようもない人々を、輝かせることに成功している。
現実の厳しさと人情をエンターテイメントに昇華させた、珠玉の一冊です。

本の紹介はこんなところですかね。

無性に聴きたくなるウルフルズの曲

本書を読み終えた後、無性に大阪を感じたくなって、ウルフルズの大阪ストラットをかけました。
今もこの曲流しながら書いていますが。

自分は東京の下町出身ですが、たまに大阪に行くといいなと思います。
ご飯もお酒も美味しいし安いし、街は賑やかで人でご飯を食べていても全く寂しさを感じません。

そういえば僕も1人出張で大阪に行った時、飲みすぎて1人ホテルでトイレに篭ったことがありましたね。ダメな記憶が蘇ってきました。笑

大阪という街は、人をちょっとダメにしちゃうほど魅力がある街なのかもしれません。
明日はソース味のご飯でも食べようかな。

本日はこの辺ですかね。
この間また本を買い足したので、その紹介もできるといいな。

ではまた。

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