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好きなことをやっていると輝けた|ROCKET DIVERS🚀CharacterBank三上航人さん

エンターテインメントというフィールドで挑戦している方々をROCKET DIVERSと称して、挑戦しているからこそ感じる魅力などを伺うシリーズです!

感動や楽しみ、生き甲斐を与えてくれるエンターテインメントですが、ファンやユーザー、消費者とは違った立場で関わるということはどんなことなのか、またその人たちはどんな想いを持って関わっているのかなど、さまざまな立場から見た「エンターテインメント」について、みなさんと共有できたらと思っています!

そして今回は、エンタメスタートアップとして、「ANSUZ -アンスズ-」「MYSPERYENCE(ミスペリエンス)」「RUINSMAGUS~ルインズメイガス~」といったVRゲームを企画・開発・運営する、株式会社CharacterBankの三上航人さんにお話を伺いました。

◆三上航人
京都府出身。1993年9月1生まれ。学生中に1度起業し、webサイトからロボット制作まで様々な受託開発 を行う。 「自分でもなにか作り出したい!」という思いを元にCharacterBankを設立し、1作目となるVR人狼ゲーム「ANSUZ」を2020年2月にリリース。「QUESTが選ぶ、ベストオブ 2021年 日本版」の無料ゲーム部門に選出される。 今春に発売となる「RUSINSMAGUS」はクラウドファンディングで300%を達成し、Bitsummitではメディア賞を受賞。

そんな三上さんの起業前のお話から現在の事業にいたる経緯、今後の展望やVRゲームの制作の裏側などをインタビューしました!

それでは、エンターテインメントの魅力が瞬くインタビューへ SAIL AWAY!!


まずは起業する前までのお話を伺いたいと思います。三上さんがどういう学生時代を過ごしてきたのか教えてください。

中学生の時は、学校に行っていなかった期間がありました。その間、親に好き勝手やらせてもらって、以前から興味のあったロボットを作る習い事に通わせてもらい、その体験からロボットって凄くいいなと思うようになり、工業高校へ進学することにしました。

工業高校に通ってからも、ロボットって楽しいなと思っていたんですけど、高校生の趣味にできるような金額感ではなかったのでソフトウェアの方も触るようになりました。当時はガラケーのソシャゲが流行っていた頃で、その頃のソシャゲの仕組みぐらいは作れるようになりました。ただ、仕組みは作れても、見た目やデザインが作れなかったので、美大に進学することにしました。実際に通ってみると僕よりできる人がいっぱいいて、こんなにできる人が周りにいるなら、わざわざ僕がやらなくていいや、ということで結局変わらずエンジニアリングをやっていたんですけどね。

学生時代の経験で、忘れられない体験や今の自分に繋がっているなという体験はありますか?

これだ!という出来事は特にないんですよ。ただ、高校に入るまではずっと「死にたい」と思って、病んでいました。でも、高校に入ってからは考え方が「いつでも死ねる」に変わりました。それがなぜ変わったのかは、僕も分かっていませんが、どこかのタイミングで「死にたい」から「いつでも死ねる」に変わって、「いつでも死ねるなら何をしてもいいか」という考え方に切り替わったことは大きいと思います。

そのようなお考えが起業にも繋がったのでしょうか?

そうですね。今のCharacterBankという会社は、自分で創業した会社の2社目なんですが、1社目を創業したのは在学中で、21歳になった直後ぐらいでした。

1社目はどのような会社で、なぜ起業にいたったのでしょうか?

1社目は受託の会社です。凄く優秀な友達が、学生ながらに企業の受託をしていて、技術力ではその辺の社会人よりも凄い、例えばミュージックビデオに3Dで流れる映像を1人で作ったりしていたんですが、当初20万円と言われて受注したのに最終的に5万円になってしまったというような話がありました。こうした事例を見て、何で買い叩かれているんだろうと考えたときに「学生だから」という結論にいたりました。そこで学生ではない立場をどう作ろうかと考えた時に、法人、特に株式会社であれば良いのでは、ということで設立しました。

起業してからは色々な受託をやりました。僕は基本エンジニア系専門でしたが友達の仕事も取ってきていたので、会社としてはペッパーくんのエンジニアリングやライブ映像制作、野外ライブの演出などを受けていましたね。

会社をご自身で経営されている中で、例えば将来就職するのかといった人生の計画は、どのように考えられていましたか?

どっちでもいいなと思っていましたね。会社を立ち上げてからも、インターンに行ったり、卒業近くになって就活も一応していました。その時に良縁があれば就職していたと思います。
ただ、インターンも就活も、エンジニア職を受けていましたが、エンジニアリングだけがやりたいことなのか、というところで当時迷っていて、その話も面接官の方に正直にしていました。

これは今だから僕の中で整理ができているのですが、僕にとっては、エンジニアって手段でしかなかったのかなと思っています。やりたいことがあって、それをやるために必要なのがエンジニアリング。学生時代も、ロボットを作りたいから工業高校で学んだし、ソシャゲを作りたいからプログラムを学んだし、やりたいことに対して必要だった物をその都度学んで使っていただけで、エンジニアリング自体をやりたいわけではないんじゃないか?という考えが、迷いとなっていました。

2社目を改めて創業した背景を教えていただいてもよろしいでしょうか?

1社目の起業後、受託も面白いけど自分で何かやりたいなと考え始めた頃に、別の友達がベンチャーキャピタル(以下、VC)から億単位での資金調達をしました。そして手伝ってほしいと相談を受けたのでそこを1年ぐらい手伝っていました。手伝いながら感じていたのは、億という単位を使ってチャレンジできるという点と、タイムスケジュールを短縮できるという点が面白いなと思っていました。これまでの受託では、年間2,000〜3,000万円ほど稼いでいましたが、その資金は1年間働いてやっと生まれるもので、チャレンジしたいタイミングでグッと使う、みたいなことはできていませんでした。それもあって、VCから資金調達をして自分でサービスを展開することへの想いも強くなり、この2社目のCharacterBankを設立しました。

1社目と分けた理由ですが、このまま受託と両方やったら、足元のお金が入って来やすい受託に偏るだろうなと思っていたので、「じゃあ、もう覚悟を決めてやるか!」という感じでした。何か理論的な理由があったからというよりも、覚悟を決めるために分けた、というのが近いかもしれないです。

なぜCharacterBankという社名にしたのでしょうか?

もともとは全然違う事業をやろうとしていました(笑)今で言うskebとかpixivみたいなサービスに、クリエイターが情報発信をしながらキャラクターを並べて、そのキャラクターをStock Photoみたいに1個いくらで使ったり、クリエイターに仕事を発注したりできるプラットフォームをやろうとしていて、そのサービス名がCharacterBankでした。

そこからどういった経緯で今のVRゲーム事業にいたったんですか?

本当に色々とピボットをして、一時期はガチャガチャを作ろうとしていた時期もありました。ただ、僕自身、凄くガジェットが好きで、それこそロボットが作りたくて工業高校に進学した話もそうなんですが、最新デバイスに凄く興味が強いんです。それでVRももともと触っていて、2019年にスタンドアローンで使えるOculus Questが出た時に「この単一デバイスが来るぞ!」という謎の直感があって「じゃあこれで行こう!」という流れですね。その時にゲームを選んだ理由で言うと、当時あったVR市場はゲームか、toBのトレーニング事業ぐらいしかない状況で、僕自身、もともとエンジニアっぽいことをしていたので、トレーニング系の営業よりも何か作りたいという想いと、美大にいて周りにも作れる仲間がいるという事でVRゲーム事業を始めました。

VRゲーム事業にいたるまでいくつかの事業を検討されていたということですが、事業アイデアの出し方で、工夫していたことなどはありましたか?

そうですね…。最初の頃は「自分の技術で何ができるか」という考え方でアイデアを出していたんですが。それ故に発想の幅が縮んでいたなという気がしています。当初のCharacterBankというサービスをやろうとしていた時も、僕が美大にいるエンジニアだからそれをやった方がいいんじゃないか、みたいな目の前のことばかりを考えていて、最終的に事業規模が大きくなるのか、そもそもイケているのか、などを考えていたころに自分の想いと合っていないかも、やり切れるだろうか、と迷い始めました。

そのような状況下で、只々ガジェットが好きで最新ガジェットを色々と触っていた中の1つに「なんか分からんけどこれ来るぞ!」と思えるOculus Questがあり、将来性などさまざまな要素を検討した結果、今の事業に決めました。もともとはロジックで考えていたものの、多分上手く行かなそうだなと悩んでいた時に、ロジックとは全く関係なく感性だけで「良い!」と思ったことを整理したら意外と行けそうだったみたいな感じなので、事業検討の手法としてこれがいいです、と言えるものはないですね(笑)

自分の技術力や学んできたことを起点に考えた時に、逆にそれが足かせになったという話は凄く面白いですね。

そうですね。縮まっていましたね。自分のできることは何だっけ?ばかり考えてしまっていたので。

今はVRゲーム事業に取り組んでらっしゃいますが、単純に好きなゲーム作品はありますか?

好きな作品はいくつかあるんですけど、人生で1番やったゲームは、メイプルストーリーです。

コミュニケーションが重要なゲームですね。

コミュニケーションに関して言うと、コミュニケーションをプログラム化する、みたいなことをずっとやっていましたし、コミュニケーションについて考える機会は、過去の自分が引きこもっていた時期があったからこそ、増えたかもしれないです。今気づきましたが、原体験が何かというと、引きこもっていたことかもしれません。

中学生までは、普通に話しかけられるのも怖くて「自分に話しかけているけど、何か裏があるんじゃないか」と考えてしまう性格をしていました。高校生になって学校に行き始めましたが、そこから変わったきっかけは、工業高校で、僕の好きなことをやっていると輝けたということかもしれないです。

中学までは、例えば僕が好きなロボットの話をしても、ただの趣味でしかないんですけど、工業高校でそれができると、成績がいいやつに変わるんです。5教科7科目ができるやつよりも凄く見えるというか。環境の違いとして、そこはかなり大きかったです。

今考えてみると、工業高校に行った時も、今の会社でVRゲーム事業をやりはじめた時も、好きなことをちゃんとやろうとしていただけかもしれないですね。

起業家として尊敬しているとか、ロールモデルにしている人はいますか?

盲信している訳ではありませんが、孫さんは人を引っ張っていく力が凄いと思っています。それこそ起業した友達も人を引っ張っていく能力が凄いので、そういう社長として人を引っ張っていける人に対しては、凄いなと素直に思います。そういう人を見ていると、僕はロジカルに考えすぎなんだろうなと思う時があるので。「うるさいついてこい!」って話ができる人はやはり強いんだなと、少し思ったりします。

CharacterBankのユニークな所として、京都を拠点にしていることが挙げられると思っています。京都を拠点にしている理由を教えて下さい。

これは明確にあります。関西に拠点があると採用にとても効くということです。ゲーム業界は普通のIT業界と少し違って、東京・関西・福岡に人が集中しているんです。特に関西でいうと、京都に任天堂があったり、カプコンももともと大阪のスタジオがメインだったこともあって、ゲーム人材が関西に集まっていて採用しやすいんです。あと、なるべく関西から出たくないと考えている人も一定数いるので、そういう人たちに対してもアプローチができるという事が、京都を拠点にしている利点だと思います。

基本的には僕も、理由がない限りは東京に行くべきだと思っていますし、僕自身は月の半分ぐらい東京に行っていたりします。でも、VRゲーム会社で言うと、多分東京には3社ぐらいあるんですけど、関西で見るとウチしか選択肢がないので、そういった面でも採用に有利なので、開発拠点は京都に置いています。関西のXR系企業と言えばウチの名前が挙がりますから。

その他にCharacterBankの特色やCharacterBankだからこそ、できているなと思うことはありますか?

ウチだからできることって言うと何ですかね…。社風というか、パッションなんですが、今のVRを全く信じていないからこそ、作れるものがいっぱいあるんだろうなと考えています。

今のVRゲームのメインユーザーで「VRだからこんなもんだよね」と感じている人が少なからずいると思います。ただ、そこで諦めずに、VRゲームという枠を飛び越えて「今のVRゲームは普通のゲームと比べて面白くないんだから、もっと面白くしなきゃいけないよね」と思うパッションがみんなに備わっているというのが強みですね。反骨精神じゃないですけど、今をちゃんと評価した上で、できていないと分かっているからこそ、さらにその上を目指しています。VR企業なんですけど、VRラブな人はあんまりいないです。「こんな重たいもの、誰が被るんだよ」と言っている人もいるので(笑)
僕はそれが凄くいいなって思っています。だからこそ、そこを越えるための次のチャレンジがしやすいというか、これぐらいないといけないよねっていうハードルは多分、他のところよりも高いと思いますね。

そういったパッションも含めて、どういう会社にしていきたいですか?

技術ドリブンな会社にしたいなと思っています。僕がもともと技術よりの人間だったり、それこそ美大に行っていて、クリエイターと会話ができたりするので、クリエイターがしっかり作り切れる環境を大事にした会社にしていきたいなと思っています。

今活動している中で、嬉しい瞬間や、やりがいを感じる瞬間はどんな時ですか?

リリースした時は嬉しいですね。あと、採用でウチの会社に来てくれるって決めてもらった時。凄く良い人がウチに入ることを決めてくれた時はやっぱり嬉しいです。

RUINSMAGUSをリリースしてみて意外だった反応などはありましたか?

これってこういう風に見られるんだとか、プロモーションでこういう言い回しをすると、こういう風に評価されるんだ、など細々とした学びはありましたが、大方の反響としては結構予想通りでした。チームとしては実力以上のものをちゃんと作れていると思うので、そこは良かった部分ではあります。

クラウドファンディングで支援して下さった人達がこういう発信をしてくれていた、というような事例があれば教えて下さい。

日本語向けにしか発信していなかったんですが、勝手に英訳してYouTubeに動画アップしてくれている方がいたり、海外は任せてくださいという力強いコメントをくださる方もいました。あとは、VR上でファンワールドを作って集会を開いてくださる方もいて、発売していないタイミングで2回もファンミーティングが行われるという、普通はありえない現象が起きていました(笑)

それらのファンミーティングでは、どのようなことが話されていたのでしょうか?

色々情報を出したり、体験版をクラファンの支援者に配ったりしていたので「こんな期待があるよね」だったり「どんなゲームになるか」とか、僕も参加したので、質問会みたいになっていましたね。

なるほど。凄いですね。

ファン同士のコミュニティを盛り上げてくれるっていうのは超ありがたいですね。

「実力以上のものを作ることができた」という点について、少ない人数で、スピード感を持ちつつもスケールの大きいものを作るために意識していることはありますか?

僕は「早く帰れ」としっかり言うようにしています。どうしてもVRゲームは制作に1年半〜2年は掛かります。その中で夜更かしや、朝まで働いて効率があがるのって多分1ヶ月もないぐらいが限界だと思っていて、それならちゃんと健康的に暮らす方が長い目で見たときに効率が上がるだろうと考えています。なので、夜中まで働くのは、リリース直前とかにしかやっていなくて、そうした働き方についてはかなり意識しています。

ちゃんとした生活を送るってことがとても大事なんですね。

長期プロジェクトであればあるほど重要だと思っています。ゲーム業界は凄いブラックって言われるんですよ。夜中まで働くの当たり前、朝までいるよね普通、みたいな。僕も受託時代にそれをやっていていましたが、受託って2〜3ヶ月で終わるからできるだけで、それを続けた人が軒並み倒れるのを見てきました。

あとは、さっき言った「このままじゃ俺らが作るもんとして認められない」という反骨精神が凄い能率を上げている気がしています。

最後に、今後の展望やビジョンを教えて下さい。

日本だけではなくて、海外でも有名な会社になるべきかなと思っています。国内のVR市場が、北米と比べて30〜40分の1程度の規模なので、日本だけで有名になっても仕方がないなと考えています。海外から見て「有名な日本のあの会社だよね!」と言われる会社になりたいですし、目指すべき先ですね。

また、VRゲームは日本から世界を狙える数少ないジャンルな気がしています。そこを僕らで取っていくので、一緒に取りにいける仲間を全職種で募集中です。ぜひ連絡をお待ちしています。


以下、編集者あとがき

実は、三上さんにお話を伺うよりも前に、たまたま会社の方に誘われて「MYSPERYENCE」をプレイしていました。VRならではの没入感とプレイヤー同士のコミュニケーションが非常に印象的なゲームで、あっという間に時間が経っていて、こんなに面白いものをどんな方が作っているんだろうと、今回のインタビューをとても楽しみにしていました。

実際にお話を伺い、工業高校でのエピソードや、メイプルストーリーが今までで一番やったゲームである、などの話から、三上さんは「好きなこと、楽しいことを起点にしたコミュニケーション」に強い想いがあることが垣間見えました。
なるほど…そのような想いがある三上さんだからこそ、「MYSPERYENCE」が生まれたのか...!と浅慮ながらも感じた次第です。

「ガジェットが好きだからVRゲーム事業を始めた」という話もありましたが、自身の「好き」や「想い」をカタチにするために事業を展開するということが、エンタメスタートアップとして重要なファクターなのかもしれませんね!

三上さん、ありがとうございました。

また下記に情報をまとめているので、この記事を読んで興味を持った方は、あわせてチェックしてみてください!!

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