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星降る夜のセレナーデ 第7話 星に願いを

「さて買い物に出発するか、志音、ママ、準備は出来たかい?」

「出来てるわよ、必要なものはメモしたから」ママは着替えてバッグを持った。

「出来たよ」志音も着替えて小さなリュックを背中に背負った。

3人は車に乗り込み、秩父の街中へと向かう。秩父へは何度も来ているので土地勘はそれなりに持っている。車を大型スーパーの駐車場へ停めた。

「まずはここで買い物しよう」

「とーたん、ここ広いねえ、薬局やホームセンターまであるよ」志音はキョロキョロと見渡している。

「そうだねえ、同じ場所にいろんな店があるから便利だね」

3人はスーパーへと入る。志音はカートを引っ張り出してカゴを2つ取り付けるとガラガラと押してママと歩き出す。私は助手のように、後をついて歩いた。
ママはメモを見ながら次々と必要な物を入れていく。2つのカゴはすぐに一杯となった。

「もう一台用意して来るよ」私はカートとカゴを取りに行く。

スーパーでの買い物を終えて、たくさんの荷物を車に積み込み、今度はホームセンターへと向かう。
駐車場からは秩父の武甲山が見える。私は遠くへ来たことを改めて感じた。
全ての買い物を終えた頃には、空は茜色に染まり武甲山の輪郭が強調される。
馴染みのない景色で、少しだけ不安な感情が心に持ち上がって来る。

「お腹すいた!」志音の一言が私を現実に引き戻した。

「そうだねえ、このままどこかでご飯を食べて帰るかい?」私はママを見た。

「そうね、まだキッチンも準備が整ってないから食べて行きましょうか」頷いた。

「やった!志音はハンバーグがいい!」私の袖を引っ張っている。

「そうか、じゃあファミレスに行こう」私は近くのファミレスへ車を走らせる。

食事を済ませログハウスへ戻ってくると、たくさんの荷物を運び込んで整理した。作業が終わるとテラスへ出てコーヒーを飲んだ。志音はアイスを食べている。

「志音、こんな山里で寂しくないかい?」私は志音の気持ちが気になっていたので聞いてみる。

志音はゆっくりと空を見上げて「星がいっぱい見えて賑やかだよ、だから寂しくない」そう言って微笑んだ。

「そうか、そうだね」私も星空を見上げた。

流れ星が一つ夜空を駆け抜ける。私は流れ星に志音の健康をお願いした。
喘息で学校も休みがちだったし、運動は見学しか出来ない。友達を作ることも難しかっただろう、しかし志音は優しい子に成長してくれた。私はこのまま志音の病気が治ってくれることを願った。
美夜子も星空を見ている、きっと同じような気持ちだろうと思った。

その夜はリビングへ布団を敷き3人で眠った。これから素敵な日々が始まる事を期待して。

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