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フォードがGAFAだった時代に興したイノベーション

後世の僕たちにはヘンリー・フォードがT型フォードの量産化革命を「いきなり」起こしたように見えるけど、フォード社の歴史を見ると少し時間軸が見えてくる。

ヘンリー・フォードが最初に四輪車をデザインしたのは1896年で33歳の時、当時はエジソン社のエンジニアだった。その3年後にデトロイトの自動車会社の立ち上げに参画。

修理工からスタートしたとはいえ、4輪車をデザインできるのだから非凡な才能は持っていたのだろう。しかし、駆け出しは雇われ技術者だった。参画した会社の経営が立ち行かなくなり、フォード社を興したのは1903年(40歳)の頃

このころの自動車会社は恐らく今でいう町の組み立て工場レベルだと思うのだが、経営の失敗を経験することで自分でも出来るという自信がついたのではないだろうか。

もしくは失敗者ということで誰も採用してくれなかったのかもしれない。。。起業は往々にして必然であることもある。とはいえ、フォード社が初年度から利益を上げていたというから、実績も実力もついてからの起業だったことが分かる。

そして満を持してT型フォードを発売したのが1908年(45歳)最初に4輪車をデザインしてからは10年以上が経っている。安くて品質の良いT型はバカ売れした。モータリゼーションの社会受容性も技術的な確立も熟した時期だ。

つまりフォードが最高のタイミングで当時世の中にあった技術を組み合わせて出した(だけ!)ということが分かる。このころはまだベルトコンベアー生産方式を実現していない

いわゆるベルトコンベアー方式を実現したのは1913年だとされている。これにより組立時間が12.5時間から1.5時間に短縮された。実にT型の発売から5年経過し(フォードが50歳)てから大量生産のイノベーションが起きたのだ。

イノベーションが起きたからプロダクトがバカ売れしたわけではなかったということが分かる。全くの逆で「バカ売れしたから生産のイノベーションが必須になった」のだ。

そこからの社会変化は我々が知る通り。一方でフォードは工員を当時の市場の倍以上の賃金で採用している。圧倒的なフォードの時代があったのだろう。他社は全く追随できなかった。今でいうGAFAみたいなもんなのだろう。

劇的な生産性向上は劇的な生活の質をもたらした。それこそが社会革命の本質だ。

https://corporate.ford.com/about/history/company-timeline.html


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