トリマーで木工「ベッド高さ調節」編 (後編)
前回の記事で手に入れた木材を手に、Explaygroundの拠点である東京学芸大学へ。ここで VIVISTOP GAKUGEI のK寺さんにトリマーテーブルを使わせていただきます。
ところで、どうすれば望む窪みを開けられるでしょうか。まさかフリーハンドで掘り進むわけではないですよね?
トリマーテーブルは、真ん中の穴に下からドリルのようなトリマーの刃が固定されていて回転し、加工したい材料の方をその上で動かします。つまり、角材をその上で動かせば窪みを作れるわけですが、ただそれだけでは円形の窪みを作るのは難しいというわけです。
K寺さんいわく、「角材に付ける丸い形の治具を作って、それの周りに一回り大きな丸い治具を置いてその中で動かせばできるんじゃないですかね。具体的なサイズとかわかりませんけど。」とテキトーなアドバイス。これが VIVITA の標榜する「No Teacher, No Curriculum」の真髄か! いいですよ、考えますよ。
でも角材に何かを貼らなくても、円形の縁の中で動かせば良いのでは?と考えて、それなら何cmの円の中で動かせば良いのかを計算してみました。
そして、そのサイズの板をレーザーカッターで切り出します。私もレーザーカッターには慣れてきたので、これくらいは即座にできます。(材料:MDF 5.5mm厚)
これをトリマーテーブルにしっかり貼り付けて、
その中で
こんな風に動かせば良いですよね?まあとにかくやってみましょう。
しかし、ここに在庫しているトリマーの刃は、横方向には切れるけど(ドリルのように)軸方向には切れないとのことなので、トリマーにかける前にまずドリルで窪みの深さの穴を開けます。
えっ、こんな機械ありましたっけ? いつのまにか道具が増えてる。スイッチを入れてみたら、意外と回転数が遅い。実は上部のケースの中のプーリーで速度を変えられます。
面白い。蓋の裏に5段階の設定方法が丁寧に書いてあります。ベルトを手でよいしょと動かします(プーリーを手で回しながらずらすとやりやすい)。
こういう風にドリルの刃を取り付けて、スイッチを入れると刃が回転するので、大きな3つ又のハンドルを回して刃を少しずつ下げて穴を開けていきます。位置は正確に真ん中で無くても大丈夫。穴の深さは、脇にあるネジのナットを動かして設定すると、それ以上下げられなくなる仕組み。これもシンプル。
こんな感じ。またヒノキの良い香りが漂います。
そして、これを裏返してトリマーの刃が穴に入るようにします。トリマーは一度にたくさんは切れないので、最初は深さ5mmくらいから。手作りのトリマー台だから危険ポイントがたくさんあって、K寺さんも私も恐る恐る試します。材料もしっかり握っていないとトリマーの刃の勢いで弾き飛ばされてしまう可能性があります。
そういう注意をしながら適当にぐりぐり動かして、だいたい良いかなというところで確認してみたら、
あれっ、穴が四角い!
そうなるかなあ...。... ... なるか。なるね。笑
K寺さんの最初のつぶやきが合ってましたね!さすがです。
というわけで、治具を作り直しです。角材に貼る小さなリング状の治具を作ります。それとともに、テーブルに貼る大きな円の治具も大きさを計算し直して作り直しです。またレーザーカッター活躍。作図2分、カット10分。
こんな感じに貼り付けて、
グリグリ回す。さあ、今度はどうだ。
おっ、今度はいいんじゃないですか!?
これで5mm x 4回で深さ2cmまで削ります。
おー、できた!
筒状の内壁が多少段差になってしまっていますが、ここは綺麗にしようとネチネチやってると角材に両面テープで貼ったリング状の治具がずれてしまってかえって取り返しのつかない切り込みになってしまうおそれがあったのでホドホドにしました。今回の用途では精度が必要ないところなので。
円の直径は、当初の予定より少し大きくなってしまいました。ビットの太さ(直径12mm)を計算に入れ忘れたからです。(汗)
このままだと角が気になるので、
今度はこの「角面取り」ビットを使います。
おー、サマになりました。
自宅に持ち帰って、別の日にヤスリ掛けです。
ヤスリ掛けは、前回のPCスタンドのときにも使ったこれ。紙やすりは木の端材に巻き付けても良いのですが、ダイソーで買ったこれが便利です。右の黒い樹脂の塊に左の専用紙やすりをセットすると、とても持ちやすいのです。
今回の素材は、側面は最初からスベスベですが、上下はホームセンターの工作室で切った丸ノコの切り口がザラザラなので、これできれいにします。
PCスタンドのときと同様、荒い目から順に #80 → 120 → 240 → 400 とかけていきます。
右がかける前、左がかけた後。全然違うでしょう。
オイルフィニッシュもしたほうがいいのかな? とチラッと思いましたが、今回の用途ではそこまでする必要ないか、ということで省略。
最後に、底にフエルトを貼ります。
ダイソー便利。しかも裏の剥離紙に1cmの方眼が印刷されてます。
これを貼って完成ですが、改めて4本の高さを測ります。
若干ばらつきがあったので、このうち2つにはフエルトをもう一枚重ねました。トリマーのビットの高さ調節で 2mmくらい誤差があったみたいです。
これにて、本当に完成です。まあモノとしては極めてつまらないですが、必要なサイズぴったりのものを自分で作れるというのは良いですね。
材料費
角材:850円
カット代:220円
治具用MDF:160円
フエルト:110円
(フジムー)
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