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両親が残した物

この場所 を離れるのも近いので荷物を片つけている。ここで一度も着なかったパジャマをどうしようか考えて、そしてやっぱり持って帰ることにした。
              
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両親が亡くなった時に相続放棄をしたので、お金も形見のようなものも何も貰わなかった。

一度も着なかったパジャマは、大昔に実家に行った時に母のを借りたら着心地がよかったのでもらってしまったものだ。ここ数年ほとんど来てないのに、なぜかこんなところまでもってきていた。いまにするとこれが私のもっている唯一の母の物になった。

父の物もない。けれど、父の携帯(ガラケー)を解約しなければいけなくて、その流れでなぜか父の携帯がまだ手元にある。父は人と話すのが大好きで、このガラケーを文字通り肌身離さず持ち歩いていた。もう使えないけれど、電源を入れると父の友人達の電話番号リストや倒れる直前までの電話履歴がでてくる。

古いパジャマと使えないガラケーが両親の形見になったんだな。

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写真も貰わなかったので、父と母に会いたい時はGoogle Mapで実家の住所を検索する。以前ぼおっとGoogle mapで実家のまわりをみていたら、昔の父と母が二人で仲良く作業してるビューを見つけたんです。 
たまに会いにいって、私はいまここにいるよって言ったりする。

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と、パジャマで思い出したことを書きました。