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ブランド構築とパフォーマンスマーケティング(下) - Havard Business Reviewからの学び⑥

前回の記事で長期的な視点のブランド構築と、短期的な成果を求めるパフォーマンスマーケティングが時に相反してしまい、積極的なパフォーマンスマーケティングがブランドを傷つけてしまう事がある事を学びました。前回の続きで、How Brand Building and Performance Marketing Can Work Together (Stengel, Lamberton and Kavaro, 2023)の後編を紹介したいと思います。

ブランド構築のための3つの成長戦略
1. ブランドエクイティを高めたい顧客の設定


ブランドエクイティの構築には、ターゲット顧客の特定が有効です。そして、特定のブランドポジショニングを確立するため、積極的に投資することで利益につなげることができます。例えば、あるファーストフードチェーンでは、家族を持っている女性をターゲットとし、ブランド構築を計画しました。そのため、訴求ポイントをcheerful, exciting, reliableと決め、訴求ポイントに合うメニューやメッセージを作り、効果を上げました。ブランドマネージャーは、定量的なブランドポジショニングや活動のゴールを作ることで、売上や利益など財務的な結果につなげることができます。

2. ブランドの責任を持ったパフォーマンスマーケティングの実践


パフォーマンスマーケティングはブランドにプラスもマイナスの影響も及ぼします。そのためブランド構築とパフォーマンス戦略のすり合わせが必要です。そこで、ブランドオーナーは、ブランド構築のチームとパフォーマンスマーケティングを実践するチームの歩調を合わせ、ターゲット顧客を一致させる必要があります。特に、パフォーマンスマーケティングのキャンペーンなどは影響が大きいので、実施前と後でブランド認知への影響を調査することが有効です。一番の効果はパフォーマンスマーケティングを実施する部隊が、ブランド構築は長期的な売り上げや顧客獲得に繋がることを理解することです。これによって、パフォーマンスマーケティングチームがブランド構築のチームへ協力ようになります。

3. ROIの測定


従来、パフォーマンスマーケティングの成果の指標にはブランド構築や長期的な成長は入っていません。例えば、パフォーマンスマーケティングで値段を強調した場合、クリックが増える可能性は高いです。しかし、価格に反応した顧客がブランド構築でターゲット構築している顧客と同じとは限りません。パフォーマンスマーケティングの成果だけで見れば、クリック数が上がるので、ROIが高いと判断できるかもしれません。しかし、ブランド構築の観点では逆効果です。パフォーマンスマーケティングのROIがブランドにどのように影響するかを考え設定する必要があります。ブランド構築のKPIに矛盾しないパフォーマンスマーケティングは、高い効果を発揮します。

4. 考察


本論文は、ブランド構築は長期で、パフォーマンスマーケティングは短期的な成果を上げることが有効で、それぞれが独自に活動するのではなく、すり合わせを行い、同じ定量的な指標を追いかけましょう。というメッセージが強かったと思います。ただし、日本の企業の場合ブランド構築の部隊とパフォーマンスマーケティングの部隊が明確に分かれていない場合が多いと思います。同じチームが行えば、調整は取りやすいと思うかもしれません。実際は、担当が分かれていない分、ブランド構築よりもパフォーマンスマーケティングの活動を重視してしまい、ブランド構築の取り組みがおろそかになっていないでしょうか?マーケティングマネージャーは、ブランド構築とパフォーマンスマーケティングの違いを理解し、調和を取りながら両方の活動を進める必要があります。例えば、自社が、短期的なクリック数だけどKPIにしてしまい、そちらばかり追いかけてしまっていないか?自社のブランドへどのような影響を与えているか?など一度自問自答するとよいかもしれません。 

Reference


How brand building and Performance Marketing Can Work together. Harvard Business Review. (2023, April). https://hbr.org/2023/05/how-brand-building-and-performance-marketing-can-work-together?autocomplete=true

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