2020プロ野球展望 セリーグ編

コロナ禍で大幅な開幕延期を余儀なくされたプロ野球も、気付けば約30試合が経過。
いやはや、早いもんですね。

今年はレギュラーシーズン120試合の変則日程ですので、既にシーズンの25%が消化されたことになります。
各チームの戦力の内情が明白となり、開幕ダッシュから順位争いへ徐々に移行する頃合い。

今回はそんなプロ野球の順位予想やらをして行こうと思います。今更とか言わない。
そこそこ長くなりそうなのでとりあえずセリーグだけ。パリーグについても後々やります。

ちなみに筆者の野球経験は高校まで、推し球団は特になし、推し選手は大量です。
今の現役で一番好きなのは村上宗隆(ヤ)ですかね。
まあ簡単に言えば素人に毛が生えた程度なんで、何かの参考になるとは思えませんことをご了承ください。

順位予想・セ (7/25時点)

1 読売ジャイアンツ
2 横浜DeNAベイスターズ
3 東京ヤクルトスワローズ
4 阪神タイガース
5 広島東洋カープ
6 中日ドラゴンズ

うーん、何とも置きにいった感じが。
当然と言えば当然ですけどね、結果が一部既に見えちゃってるわけですから。
ちなみに開幕前は

横浜・巨人・広島・阪神・中日・ヤクルト

と予想してました。情けないほどの転身。


分析と展望・セ

1.読売ジャイアンツ

替えの効かない主軸である坂本勇人丸佳浩の両名が絶不調にもかかわらず、既に貯金10の独走状態。
今シーズンの原辰徳監督には感服するばかりです。

下馬評では内野と先発に大穴が空いており、とても盤石の戦力には見えなかったのですが、的確な編成で弱点をカバーしています。

特筆すべきは北村拓己戸郷翔征の抜擢。
どちらも二軍では既に結果を残しており、ブレイクも必然と言えば必然なのですが、一軍定着にはもう少し時間がかかる選手と睨んでいたところ。

特に北村の用兵は本当に見事です。
怪我がちの吉川尚輝、ベテランの中島宏之らの状態も考慮しつつ、複数ポジションで起用。
勝利と育成を両立させる理想的な戦い方を体現しています。

また、新外国人サンチェスの活躍も正直意外でしたね。
韓国や練習試合での映像を見る限り、まとまりこそあるが今ひとつ決め手にかける投手という印象しかなかったので。直球も球速の割に捉えられていたように思えます。
ところが蓋を開けてみればローテの一角をガッチリ支える主戦投手。制球に安定感があるのが大きいのでしょうか。まだ活躍に確たる根拠を感じていないので、今後も注視したいと思います。

個人的に嬉しいポイントは大城卓三の飛躍です。
去年はチーム事情から捕手と一塁手を兼務しましたが、売りの打撃で明確な結果を残せず。もう一段上の成績を出せるポテンシャルがあるのは分かっていたので、見ていて少々歯痒いところもありました。
今年は筆頭捕手・小林誠司の故障離脱もあり、第一捕手の座を確保。炭谷銀次郎ら手強いライバルもまだまだ多く、正捕手とまでは呼べませんが、昨日時点で打率.364、本塁打4は見事。
んでこのホームランがまたカッコいいんですわ。逆方向へも力強い打球を飛ばしており、しばらくは好調が維持されそうです。
前述の北村・中島や新加入のウィーラーらのおかげで一塁に回されるケースも少なくなるでしょう。正捕手定着を心待ちにしています。

唯一の懸念点は坂本の状態でしょうか。
遊撃レギュラー定着から今年で13年目。いくら頑丈とはいえ、そろそろガタが来てもおかしくない頃です。
去年の時点で既に守備は衰えの兆候を見せていましたが、今年は打撃にまで陰りが。
元々春先に打ちまくり、夏場に成績を落とす印象はありますけれど、それも関係しているのでしょうか。
幸いチームは順調に白星を重ねていますが、新顔が多いだけに彼らの好調が持続するかは微妙なところ。
彼の後釜を探すのは容易ではありません。巡り合わせが悪ければ10年前後その穴に苦しむことになるでしょう。一日も早い復調が待たれます。

総括しますと、原監督の手腕が随所に光る戦いぶりとなっています。
第二次原政権の栄光と凋落を全て目の当たりにした身としては、坂本や山口鉄也、亀井善行(義行)らを次々と抜擢したあの辣腕ぶりは、2014年前後で失われたと思っていたんですが。
小笠原道大・ラミレス・阿部慎之助といった大打者たちがひしめいていた当時の戦力を思えば、監督能力の全盛期は今かもしれません。
脱帽の優勝予想とさせていただきます。

2.横浜DeNAベイスターズ

開幕前の僕はここを優勝予想してたんですが、どうも無理そうだというのが現状の感想です。
対抗馬・巨人が想定外の仕上がりを見せたのは前述の通りなんですが、横浜自体のチーム状態もどうやら良くなさそうです。
事実、現時点では首位と5.5ゲーム差の4位。巨人以外を抜き去る力はあると思いますが、悲願のセリーグ制覇は早くも遠のきつつあります。

まず一番痛いのは新外国人・オースティンの離脱でしょう。
外角スライダーを流して本塁打にする技術があり、直球にも強く、選球眼も悪くない。唯一の弱点は落ちる球のようですが、全ての球を打てずとも十分活躍できるのが野球というスポーツ。
守備・走塁も筒香と比較すれば上手いとすら言える程度で、僕は開幕前から早くも"当たり助っ人"認定していました。
ところが開幕後に問題となったのが稼動率の低さ。チームは既に30試合を消化しましたが、出場は18試合に留まっています。代打で登場した試合もありますので、実際の稼働率は50%ほどでしょうか。
昨日付で一軍に復帰し、今日は久々にスタメンで出場しているようですが、彼が怪我がちでは大幅な戦力ダウンとなります。

次いで厳しい材料は守護神・山﨑康晃の不振。
2015年の入団以降、絶対的存在として9回に君臨し続けていた山﨑ですが、今年はどうも伝家の宝刀・ツーシームの落ちが悪いようです。
今季初登板となった対中日3連戦の時点で、低めのツーシームをことごとく見極められている印象でしたが、続く対阪神2回戦で問題が顕在化。
落ちきらず甘くなったツーシームを阪神の新外国人・サンズに完璧に捉えられ、痛恨の逆転3ランを被弾。
その後も本調子には遠く及ばないパフォーマンスで、7月19日の巨人戦では遂に「9回同点時に降板させられる」など、首脳陣からの信頼も薄れつつあります。
過密日程ゆえに中継ぎの登板過多が予想される今季、守護神の代わりを簡単に用意できる球団などありません。
当分は苦しいブルペン運用となりそうです。

更にラミレス監督にも不安が残ります。
7月18日の対巨人戦では主戦捕手・伊藤光を3回表で突如交代、翌日には二軍降格させる異例の事態に。
当初は怪我が心配されましたが、その後のラミレス・伊藤両者の言動を見る限り「伊藤の造反行為」がどうやら本命のようです。
ラミレス監督は2018シーズン終了時にも「独裁的な態度による求心力の低下」を認めるコメントを出していました。同様の状況がまたも発生しているとすれば、今後の成績にも明確な影響が及ぶことでしょう。

とはいえ上記の不安要素を考慮しても、セリーグにおいて巨人に次ぐ戦力を有しているのは間違いありません。
投手陣では頭角を現しつつあった平良拳太郎が完全にブレーク。量・質ともに豊富な先発陣に2本目の柱が出来たことで、リリーフの不安もかなり軽減されそうです。
野手陣も4番に固定された佐野恵太が見事期待に応えている他、堅守が売りの柴田竜拓も昨年終盤の好調を維持しています。ロペス神里和毅らの状態は上がりませんが、新顔が彼らの不振を補っています。

3.東京ヤクルトスワローズ

前年最下位から一転、今季は見事2位につけているヤクルト。ただ、個人的には現状の成績をそのまま評価に結びつけるのは難しいと感じています。
理由は単純、「去年も開幕後1ヶ月はそこそこ勝っていたから」、そして去年のヤクルトが転落した原因である「勤続疲労のかさんだ投手陣の大崩壊」は今年も起きうるからです。

今でこそ清水昇寺島成輝ら中継ぎ陣はそこそこの安定感を見せ、抑えの石山泰稚は消去法といえリーグNo. 1クローザーです。高津臣吾監督の経験が活かされた見事な運用と言えます。

ところが先発陣は早くも悲惨な有様。規定投球回に到達しているのはエース・小川泰弘ただ一人。
打高で知られる神宮球場をホームとする以上、防御率が多少上がるのは仕方ないことでしょうが、先発が早々に降板し続けてはリリーフに綻びが出ること必定。
今季抜群の安定感を見せるスアレスもイニングを食えるタイプではありませんし、石川雅紀も今年で40歳とあらば規定到達は望み薄でしょう。
せめてもう一人ローテの柱がいれば期待も持てますが、現状ではその候補すら見当たりません。

一方の野手陣は好材料が多そうです。
村上宗隆がどっしりと4番に座り、遂に真価を発揮。広島・ジョンソンの外のパワーカーブをレフトスタンドへ運べる男が打率を残せないわけないんですよ。去年の成績だけ見て低打率ロマン砲だと勘違いしていた方、今年の村上こそ真の姿です。三塁守備まで上達していたのは驚きましたけども。
他にも山崎晃大朗が好調を維持しバレンティンの穴を埋め、新外国人・エスコバーも期待以上の打撃を披露しています。

とはいえ良い話ばかりでもありません。
特に山田哲人の不振がいつまでも終わらないようだと、今の好調ムードが潰えた時に大転落が待っています。一時は覚醒かと思われた西浦直亨も最近は低調傾向、抹消から1ヶ月が経過した中村悠平も復帰の報がなかなか聞こえません。

総合的に考えると、少し噛み合わせが悪くなるだけで一気に転落が見える、危ういチーム状態と言えそうです。
現状の貯金を評価して3位予想としましたが、これ以下になる可能性も十分考えられます。
阪神・広島・中日と比べると野手陣はアドバンテージを取れていますが、それでもなお心許ないでしょう。

4.阪神タイガース

開幕4カードで僅か2勝という絶望的スタートを記録した阪神ですが、その後は見事息を吹き返し現在3位。
前評判で強烈な武器と目されていた(正直僕は懐疑的でした)リリーフ陣が崩壊したにもかかわらず、ここまで何とか踏ん張れている最大の要因は間違いなく野手陣の復調傾向です。

金本政権時から将来を嘱望されていた大山悠輔梅野隆太郎の両名に加え、新外国人のサンズもここまで好調を維持。
開幕当初は半ば干されていた3人が打線の核となっている以上、連敗時の阪神打線とはもはや別物と言って良いでしょう。
サンズはともかく、大山梅野はなんで今更レギュラー争いさせられてたんですかね。去年の成績を考えれば絶対外せない選手だと思うんですが。開幕からここまでの顛末を見れば、こんな扱いを受けることは二度となさそうです。

サンズはそこまで情報を集めていなかったのですが、実際に見てみるとマートンを少しパワー型にしたような選手ですね。この状態が維持されるなら十分及第点の活躍が見込めそうです。

一方、昨オフの目玉補強だったボーアはなんとも評価し難いですね。開幕からしばらく無安打が続いたかと思えば、そこからみるみる数字を伸ばして一時は打率3割に到達。その後再び当たりが止まりだして現在.253。

初めて打撃フォームを見たときは間違いなくアベレージタイプだと思ったんですが、全くそんなことはなさそうです。
合わせに行くようなレベルスイングで、ボールを引き付けて捌くタイプ。それゆえ選球眼も良く、流し打ちも上手い。むしろ体重移動の不足を原因とした長打不足まで予想していたんですが、現実は真逆ですね。
あの打ち方で甲子園のスタンドに放り込むのですから、パワーは間違いなく本物。過去の助っ人と比較しても最上位クラスかもしれません。
そんなレベルのパワーを持ち、かつあの柔軟なフォームであれば、普通は活躍するんですけどね、普通は。
変化球が苦手で直球が得意という評判もよくわかりません。どちらかと言えば速い球に差し込まれるタイプのスイングに見えます。
現状の情報だけでは、今後無安打でも三冠王でも不思議じゃないですね。イマイチパッとしない要因が判然としないので。
長打不足ならわかるんですけどね(2回目)。

元より先発陣は横浜と並んでセリーグトップクラスですから、野手陣がある程度整備されれば勝ち出すのも頷けます。あとは二遊間さえ安定すれば良い具合なんですけども、北條史也木浪聖也らはイマイチな上、好調糸原健斗が離脱とあっては少々厳しそうです。
リリーフは去年と比べるまでもなく脆い陣容になっていますが、岩崎優スアレスを軸に固めればそこまで酷いことにはならないはずです。
藤川球児に250Sを達成させるノルマが足を引っ張るかもしれませんが…。

5.広島東洋カープ

堂林翔太が復活を飛び越え大覚醒する幸運に恵まれながら、現在5位と低迷中。
優勝を考えた時、今もっとも絶望感に満ちているのはこの球団ではないでしょうか。
何せ低迷の原因がいないんですよ。
あるのはただスッカスカのブルペン。ここが全てを無意味にしています。

ここまで28試合を戦ってチームセーブ数がたったの2。自ら二軍落ちを志願した阪神・藤川球児ですら2セーブは記録しています。
開幕3戦目、新外国人・スコットが1アウトも取れずに逆転サヨナラ負けを喫したのが悪夢の始まり。菊池保則一岡竜司に9回を託してみてもパッとせず。
栄光の三連覇を支えた中﨑翔太今村猛フランスアらにも往時の輝きはありません。
次なる抑え候補はDJ.ジョンソンか、薮田和樹か、はたまた別の誰かなのか…。
迷走はもうしばらく続きそうです。

そして絶望感をより深くするのが、好調の野手陣。
前述の堂林は勿論のことながら、鈴木誠也西川龍馬松山竜平會澤翼磯村嘉孝坂倉将吾、そして新外国人のピレラも、バッチリ結果を残しています。
どう考えても今が理想状態、最大値なんです。
これ以上の上がり目なんてほとんどありません。
それでこの順位なんです。

正直この球団について書けることは以上です。
佐々岡真司監督の投手陣整備に期待するしかありませんが、この人去年まで同球団の投手コーチだったんですよね。
受難のシーズンになりそうです。

6.中日ドラゴンズ

対抗馬のヤクルトが一歩抜け出した今、間違いなく最下位候補筆頭です。
理由は単純に戦力不足。
一応去年は野手WARがリーグ2位だったとかで、それなりに評価する声もあったんですけど、完全に数字の罠ですね。
WARの欠陥点について触れようと思ったんですが、あまりに長くなったのでそれは割愛します。

ともかく、去年の時点で明らかに戦力は不足していました。そこに加え、平田良介福田永将アルモンテ阿部寿樹の不調、高橋周平の離脱。
勝てるわけがありません。

明るい材料は新加入選手。
捕手のA.マルティネスは攻守で結果を残し、ゴンサレスも中継ぎの一角として文句なしの働きを見せています。
そして何より石川昂弥。高橋の代役としてスタメンに出てきた当初は終戦の感が強かったですが、徐々に対応の兆しあり。流石競合ドラ1はモノが違いますね。昨年の競合ドラ1、根尾昂も覚醒の兆候があるようで、5年後はそれなりに希望が持てそうです。

既存選手も松葉貴大柳裕也京田陽太辺りは例年以上に頑張っている印象がありますが…。

しかしそれでも厳しいものは厳しいです。
去年時点で5位なのに、去年より間違いなく弱いですからね。小笠原慎之介とか今何してるんでしょうか、早くローテの柱として一本立ちして欲しいんですけれど。

与田剛監督の采配もなかなか冴えないように見えますが、これはそれ以前の問題でしょうね。
代打・三ッ間卓也だけは擁護できないけどな。

あとがき

といった感じで、書き終える頃には今日の試合も終わっておりました。パリーグ編はいつになるでしょうかね。
需要皆無でしょうがそんなことは知りません。
「キライ!」が1000個付いてもやめません。
駄文をお読みいただきありがとうございました。

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