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異常であれ!...社長の仕事は普通化を食い止めること

会計事務所の職員にとっては年に一度の重要なイベントである8月の税理士試験が近づきました。
「資格は足の裏の米粒と一緒。取らないと気になるが、取っても食えない」(笑)などと比喩されることもありますが、職業会計人として税理士を目指す者にとっては避けて通れない関門の一つでもあります。

◯普通化...

そんな折、幹部から社員の定着率向上のためにも「試験前休暇を制度化したら」という提案がありました。

( ※2008.06の記事のリニューアルのため、2021年現在、試験休暇は制度化され運用されています。)

私自身も仕事をしながら受験してきた訳ですからその苦労はとても良く分かります。また、他の事務所では試験休暇制度のある事務所も多く見受けられます。
ですから、「なるほど、お客様に迷惑をおかけしないという前提なら良いんじゃない」と任せたものの...心の中で「本当に良いのか?」「本当に社員の皆のタメになるのか?」と自問自答せずにはいられませんでした。

何故なら、ただ単に「大変だから休暇を与える」...
それはあまりにも「普通」だからです。

◯ お客様のことを思う心において異常であること!

私ども事務所の事業目的は、プロとして成功する職員を育てることにより、お客様の成功をサポートすることにあります。
であれば「普通」に近づくことはその全てを裏切ることになるのです。

世の中で成功するのは上位2割。8割に属する(普通である)ということは、2割の成功者から外れる以外の何者でもありません...
成功する最低条件とは「異常である」ことなのです。

私自身は、受験中、試験当日も仕事を休んだことはありません。
試験が午後なら午前中仕事をして試験に向かい、試験が終わったらすぐ仕事に戻りました。
なぜなら、自分の資格のために少しでもお客様にご迷惑をおかけしたり試験を受けない同僚に負担を掛ける事は自分の価値観に合わなかったからです。

試験は目的ではなく仕事のための手段に過ぎないのですから...
その手段のために真の目的である仕事を疎かにするのであれば、職業会計人になる資格はないと頑なに信じていたからです。

自分のやり方を職員に強いるつもりはありません。
試験休みを使い効率よく合格するのに越したことはありません。
ただし、プロを目指すなら、自分が「お客様のことを思う心において、どこで“異常”であり続けるのか」という“覚悟”を決めなければならないことを伝えました。

◯ 普通化を食い止められるかが経営者の役割!

社内の判断基準は「何が正しいのか」ではなく「何をしたいのか」により決まる...という公式があります。

プロ意識の未成熟な普通の社員の発想や要求は、大抵の場合「他社ではこうだ」「これが普通だ」「これが正しいと思う」「これは常識だ」と...
会社をどんどん「普通化」させようとします。

それが自分自身と会社を敗者(成功者の反対)への道に巻き込むことだとは気づきません。
まったく逆に、それが自分を守り、働き易くなる幸せの道であるかのように錯覚するのです。

そう考えると、自分を守ることと、自分を成功(成長)させることとは、手法も考え方もまったく逆である場合が多いことに気づかされます。

事業の目的が、自社の固有の経営目的を追求することと、人を育てることにあるのだとすれば、私たち経営者の役割は「普通化」を食い止めて、どこまで「異常」であり続けられる組織を作れるかにあります

ですから私たち経営者は、「常識」「道徳」「儀礼」などという「平均的」で「普通」な、低い価値観に判断基準を置かずに、「何を成しとげたいのか」「何をもって社会に貢献したいのか」という自らのミッションに焦点をあてた宇宙観、人生観、仕事観を基盤にした高い価値観の形成を追求し続ける責任があるのです。



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