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ポールとクルアンビン

ポール・マッカートニーのアルバム「McCARTNEY III」をポールが好きなアーティストたちがイマジン(再構築)したリミックス/カバー集、「McCARTNEY III Imagined」。「McCARTNEY III」をより深く知り、ポールが好きな音楽を聴いてみる。

3.Pretty Boys
   (feat.Khruangbin)

クルアンビンとは

米テキサス州ヒューストン出身のトリオ・バンドで、メンバーはベースのローラ・リー、ギターのマーク・スピア、ドラムのドナルド・レイ"DJ"ジョンソン・ジュニア。サウンドはもちろん、ベースが女性ということもあってかトーキング・ヘッズを思い出させるし、本人達も影響を受けたバンドにトーキング・ヘッズを挙げている。

ベーシスト同士の交流

ポールは楽曲が届くと、そのアーティストに電話して感動を伝えたと明かしており、最初に電話をしたのがクルアンビンの紅一点、ベースのローラだったという。

ポール「僕はまず『ええと、まずクルアンビンってどう発音するの?』って聞いた。どうやら'g'を発音しないで、'クラウンビン'みたいに発音するらしい。さらに僕が『2つ目の質問だけど、それってどういう意味?誰かの名前か何か?』と聞くと、彼女は『台湾語で"飛行機"のこと』だと教えてくれた。これは人から学ぶということがどれだけ興味深いかの一つの例だ。僕はただ電話をかけて、どれほど彼らのバージョンが気に入ったかを伝え、たくさんの質問をした。まるでジャーナリストになったような気分だったよ」

日本での人気

クルアンビンは日本で既に人気があり、2019年の来日の際には大いに話題になっている。インストゥルメンタル(歌なし)の音楽が昔から好きな日本だから、クルアンビンを「ベンチャーズの再来か」と面白おかしく喩えているメディアもあった。

サウンド

クルアンビンによるバック・トラックをベースに、インストバンドの利点を活かしポールのボーカル音源を使い、まるで4人編成のバンドのようにしているのが洒落ている。ポールの歌に呼応するようにクルアンビンがコーラスを返す。ベースとハイハットが扇動するリズムは、ポールの「Goodnight Tonight」のサウンドにも通づるものがある。

3つのパターン

「McCARTNEY III Imagined」には3つのパターンが存在する。次回登場する「リミックス」というのは、ポールの音源を使用してそれぞれのアーティストがアレンジしている音源。「feat.(フィーチャリング)」は、ポールの音源を使用しリミックスしているが、そこに自身の音源を混ぜ込んでいるというもの。そして曲名の後に括弧でアーティストの名前のみが表記されているのは、全く新たにそのアーティストがカバーしたバージョンということだ。

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