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ビートルズとザ・バンド

ビートルズに関わりのある世界のアーティストたちを紹介するコーナー。今回は後期ビートルズに影響を与えた、カナダ出身のザ・バンドを取り上げる。

結成までの経緯

ザ・バンドの前身はホークスと名乗り、カナダのシンガー、ロニー・ホーキンスのバック・バンドとして活動していた。まずリヴォン・ヘルム(D/Vo)が16歳にしてドラマーとして雇われ、後の音楽的リーダーとなるロビー・ロバートソン(G/Vo)が加わり、その後リック・ダンコ(B/Vo)、リチャード・マニュエル(Key/Vo)、ガース・ハドソン(Accordion等)も加わり、後のザ・バンドとなる面々が揃った。64年にホーキンスから独立、クラブ・ギグをメインに活動していた。

転機

64年夏、ボブ・ディランにツアーのバック・バンドとしてホークスが抜擢され、秋からのツアーに同行する。その後、ディランはオートバイ事故で一線から退き、67年6月から11月にかけて、ウッドストックのビック・ピンクと呼ばれる借家の地下室でホークスとセッションをすることになる(このセッションの音源はロック史上初の海賊盤として流出することになる)。

このセッションでホークスはザ・バンドに生まれ変わった。このビック・ピンクでの経験を元に、68年初頭にレコーディングしたアルバムが"Music From Big Pink"である。

ビートルズが絶賛

アメリカ南部音楽を基盤にしたこのアルバムを、当時ビートルズの面々がいち早くキャッチし絶賛している。

ジョージ・ハリスンは"Music From Big Pink"に深い感銘を受け、このアルバムがイギリスではシングル・ジャケットで発売されたことに憤慨し、EMIに抗議の電話を入れているほどだ。自身の"All Must Things Pass"はザ・バンド風にやってみようと思っていたと公言している。

ジョン・レノンも"Music From Big Pink"を愛聴していた。ベッド・インが行われたホテルのステレオの傍に、ジョンがインタビューの合間に聴くレコードの山があるのだが、その中に置いてあるのが確認できる。

ポール・マッカートニーはビートルズの'Hey Jude'のPV収録時、この収録の数週間前に発売されたシングル'The Weight'のフレーズ「Take the load off Fanny and put it back on me (重荷を下ろしなよ、その荷物は俺に背負わせな)」をアドリブで歌っている。

リンゴ・スターは自身のアルバム"RINGO""Goodnight Vienna"でメンバーを招き入れている。76年のザ・バンド解散コンサート「ラスト・ワルツ」にも参加している。リックとリヴォンは、第一期リンゴ・スター&ヒズ・オール・スター・バンドのメンバーだったことはいうまでもない。

ビートルズはゲット・バック・セッションでも"Music From Big Pink"収録の'The Weight''I Shall Be Released''To Kingdom Come'を演奏している。

ハーモニーやオーバーダビングなしのバンド演奏という、サウンドそのものがかっこよかったわけだが、アメリカのルーツ・ミュージックを見直すという「原点回帰」の姿勢は、ビートルズをはじめとするミュージシャンに大きな刺激を与えた。

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