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ビリー・ジョエルのロック

ビートルズに関わりのあるアーティストや、ビートルズと同じ時代に活躍したアーティストを紹介する連載。今回はアメリカを代表するアーティストの一人、ビリー・ジョエルを紹介する。

1970年後半から80年代にかけて日本でも絶大な人気を誇ったビリー。音楽ファンならずとも浸透した「Honesty」は某コーヒーメーカーのCMソングにもなり、ポール・マッカートニー「他の人の曲で自分が書いていればよかったと思う曲」にピックアップしていたほど。ピアノを弾いてメロディアスな曲を歌うということ、"タレ目"という共通点で一時はポールに似ている(ジルベスター・スタローンにも)と言われ、すっかりビートルズ・ファンにも溶け込んだだろう。

バンドからソロへ

1949年5月9日にニューヨーク市のブロンクスで生まれたビリーは両親の影響でピアノを始め、高校を中退し地元のロックバンド「ハッスルズ」に加入。早くも抜群の腕を誇るピアニストとして地元で持て囃されていた。

ロックの変化の波に乗り、ドラマーのジョン・スモールと2人で脱退してキーボード&ドラマーだけのハードロック・ユニット「アッティラ」を結成。これはビリーが鍵盤でメロディとベースラインを弾き分けるツーピース・バンドという異色形態で、1枚だけアルバムをリリースし解散。

それからもまた時代の波に乗ってシンガー・ソングライターへと転身を遂げ、ソロ・デビュー・アルバム「Cold Spring Harbor」を発売する。因みにそこでは、ドラマーのデニー・シーウェルがウイングスへの加入直前にスタジオ・ミュージシャンとして参加していた。

スーパースターへ

ここまでのキャリアは鳴かず飛ばずだったが、1973年に大手コロムビア・レコードと契約し、アルバム「Piano Man」が最初のヒットとなる。タイトルはビリー初期の代名詞となったほどだ。

日本を含め世界的にビリーの名前が知られるようになったのは、1977年の「The Stranger」だろう。タイトル曲や「Just The Way You Are」「Movin' Out」など人気が爆発するきっかけとなった曲が詰まった名作だ。

不朽の名曲「Honesty」収録のアルバム「52nd Street」で日本におけるビリーの地位は確固たるものとなった。実はロックのジャンルで初めて発売されたCDである(1978年)。

その後も社会問題に切り込んだアルバム「Glass Houses」、代表曲の1つ「Uptown Girl」収録の「An Innocent Man」とヒットを連発した。

親日家としても知られ、ストーム・フロント・ツアーと題された1991年の来日公演は年明け早々にスタートし、95年の来日に至っては阪神・淡路大震災に遭遇しても帰国せずツアーを完遂した。

活動ペースの変化

1993年にアルバム「River Of Dreams」を発売して以降、現在に至るまでビリーは新しいスタジオ・アルバムをリリースしておらず、2007年にかろうじてシングル「All My Life」を発表しただけ。トップ・アーティストとして80年代を駆け巡った分、90年代以降のビリーは活動のペースを大幅に下げ、一時はクラシックの作曲に転向したこともあった。これは年齢を重ね、若い時のロッカーのままでいられないことの表明でもあった。

「年を重ねたアーティストが新しい楽曲を発表する必要はあるのか」と公言し、21世紀を迎えてからはライブ・パフォーマーとして精力的な活動を続けている。昨年もコロナウイルスが蔓延する前の3月初旬まではライブを行っており、2月には自身が保持するマディソン・スクエア・ガーデンでの最多公園数を更新したところだった。

ビートルズが大好き

ビートルズの大ファンであることはよく知られている。シングルのカップリングでコアな「I'll Cry Instead」をカバーしたり、ポールより先にロシアでライブを行い「Back In The U.S.S.R.」を歌ったり、来日公演でも「She Loves You」、ポールの「Let 'Em In」を披露するなど挙げるとキリがない。

ビートルズのメンバーとの交流は80年代から始まったロックの殿堂がきっかけとなり、なかでもポールとの交流が深まった。老朽化して解体が決まったシェア・スタジアム最後のロック・コンサートとしてビリーがライブを行った際、ポールがアンコールに登場し「I Saw Her Standing There」と「Let It Be」をコラボした。そのお礼に、ポールがシェア・スタジアムの跡地に作られたシティ・フィールドでこけら落としのコンサートを開いた際、今度はビリーが飛び入りして「I Saw Her Standing There」を一緒に歌った。

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