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次世代:宇宙への幕開けを担う アトラスVロケット

世の中には簡単に成功する人もいれば、着実と成功への道を辿っていく人もいます。ロケットもまた同様に、何度も失敗して成功する機体もあれば(それがほとんどですが)、打ち上げ開始初期から成功し続ける機体もあります。今日紹介するアトラスミサイル・ロケットシリーズで最後となる「アトラスV」ロケット2002年8月以降、1回を除いて全て打ち上げに成功している「超」信頼あるロケットです。

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<データ>
・打ち上げ国:アメリカ
・運用開始:2002年
・運用終了:現役
・全長:60mから75m

<歴史・構造>

今日紹介するのは、超成功率の高いロケット「アトラスV」です。いくつかのポイントに分けて、説明していきます。

①製造・運営会社

アトラスVロケットを運用しているのは、NASAではありません。ユナイテッド・ローンチ・アライアンス(ULA)社が打ち上げを行なっています。ULAは、ロッキード・マーティン社と航空機製造大手ボーイング社の打ち上げ部門が合併してできた会社です。(NASAは、打ち上げをULAに委託しているのです)


※ロッキード・マーティン社は、前会社を「ロッキード社」といい、主に軍事用の航空機製造を行なっていました。なんとロッキード社の事業の中には、少し身近なものがあります。それは、小田急向ヶ丘遊園にあったモノレール。あれは、ロッキード社が日本向けに開発した技術なのだとか。また、ボーイング社は日本で「ジェットフォイル」として使われている船を開発しました。東京から大島での航路に使われています。

②顧客・ニーズに合わせたロケットの形態

ULAは、民間会社です。宇宙に打ち上げるものと「お金」さえあれば、誰でもロケットで打ち上げをすることができます(まず、一般人がそんなことはしませんが。)。広く顧客を取り入れるためには、それぞれのニーズに答えなければなりません。アトラスVロケットには、合わせて18のバリエーションがあります。使用されているのは、その半分の種類です。

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(出典:https://www.ulalaunch.com/docs/default-source/rockets/atlas-v-and-delta-iv-technical-summary.pdf )

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(https://www.faa.gov/about/office_org/headquarters_offices/ast/media/2018_ast_compendium.pdf)

③分かりやすいロケットの表記

もしアトラスVロケットを使用することになったら、これだけは覚えておくと便利です。上の2枚の画像を見てください。どちらも「AtlasV」と書かれた下に3桁の数字があります。

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まとめますと、百の位がフェアリング(人工衛星を搭載する場所に被せるカバー)の大きさ、十の位が第一段の固体燃料ロケット(下部についている小さいもの)の本数、一の位が第二段エンジンの数(外形からはわからない)となります。ですから、一つ一つの機体は見た目が非常に変わります。

◎400シリーズ

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◎500シリーズ

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一目瞭然です。

④アトラスVロケットの今後の行方

初打ち上げから約20年、1957年に初打ち上げをしたアトラスミサイルの時から数えると63年の歴史があるアトラスVロケットです。しかし、2019年からULAが開発を進める新型ロケット「ヴァルカンロケット」への置き換えが進んでいます。早くとも2023年までには、置き換わる見込みです。非常に長期間活躍したロケットが引退するのは、悲しいですが、さらなる技術発展に期待です。

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<ミッション>

ここからは、アトラスVロケットで打ち上げられた主なミッションについて解説していきます。(詳しくは、リンク先をお読みください。)大部分は、通信衛星・軍事衛星などです。

①ニュー・ホライズンズ

2006年にNASAが打ち上げた。冥王星とその外側に広がるカイパーベルト天体を調査するための探査機。最終的には太陽系を飛び出す。現在もミッションは継続中。

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(↑どこに探査機がいるか分かる。)

②Xー37B

アメリカ空軍とボーイング社が開発を行なっている。実は、超謎でその実体やミッションの目的はあまり詳しく知られていない。

詳しくは、以下の記事に書いてあります。

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(そもそも宇宙から帰還した機体になぜ、防護服を着用して、近づくのかというと、機体を制御するための機械の燃料に「ヒドラジン」という毒性の強い物質を使っているからです。)教えて下さった方ありがとうございます。


③ジュノー

2011年に打ち上げられた木星探査機。ジュノーが撮影し、明らかになる木星の画像は、綺麗というよりむしろ不気味。


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④インサイト

火星に着陸し、地中を掘る探査機。ローバーのように動くことはできないが、地中を掘るなどして火星の内部構造を探る。


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月にも地震があるように、火星にも地震があることを発見。

④ スター ライナー

スペースシャトルの引退後、アメリカは自国の宇宙への輸送手段を持っていなかった。そのため、NASAが民間会社からその代わりとなるサービスを募集し、スペースX社と共に選んだのがボーイング社のスター ライナー。アトラスVロケットの頂上に乗せられ、少し不格好。今後は、スペースX社の「クルードラゴン」と共にアメリカの顔になるだろう。

https://www.boeing.jp/ヒシネス部門-紹介/防衛・宇宙・安全保障部門/CST-100.page

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最後まで見ていただきありがとうございます。

少し長かった。。ですね。

さあ、ようやく全てのアトラスミサイル・ロケットシリーズが全て終わりました。

次からは、別の系統のミサイル・ロケットです。(ここからが大変。ヤマです。)

どんどん過去の記事も改訂していきますのでよろしくお願いします。

なお、各記事の改訂履歴は、その記事の最下部に書いてあります。

今後も「目で見るロケット図鑑」は、長い長い長い付き合いになりますが、どうぞよろしくお願いします。

目標!!!〇〇○が収束するまでに完成!!!

<写真>
・NASA
・U S.Air Force
・Flickr

<参考図書・参考サイト>

・ロケットの科学 谷合稔著 サイエンスアイ新書

20200517 一部改訂

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