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ミサイルとロケットの違いってなんだ? 目でみるロケット図鑑

違うように見えて、実は同じものだった。そんな物事って世の中にはたくさんあります。しかし、世の中でこの違いについて疑問に思っている方が多くいて、かつその疑問をなかなか解消できていない、そういう人が多いのではないでしょうか。

ミサイルもロケットも少なくとも細長い胴体で、煙を吐いて空へ飛びます。見た目は非常に似ているのです。以前、北朝鮮で飛翔体が発射された時もそれがICBM(大陸間弾道ミサイル)なのかロケットで人工衛星を打ち上げただけなのか判断がつかないこともありました。北朝鮮側は、ロケットで人工衛星を打ち上げたと主張していましたが、日本ではミサイルではとの見方が強かったように思います。

つまり、

ミサイルは軍事目的で、先端に弾薬や核爆弾を取り付ける飛翔体
ロケットは平和目的で、先端に人工衛星や宇宙船を取り付ける飛翔体

だと違いを説明することができます。それ以外の部分はミサイルもロケットもほぼ同じなのです(大まかに見れば)。

少し具体例を見てみましょう。

◎ロシアでは、主力ロケットとして現在「ソユーズロケット」を使用しています。このロケットは、国際的に非常に重要な役割を果たしています。

2011年にアメリカのスペースシャトルが引退してから人類を国際宇宙ステーション(ISS)に運ぶ輸送手段は、なんとこの広い世界に「ソユーズロケット」のみでした。少なくともそうした時代が10年くらい続いています。(しかし、今年5月には初めてアメリカのスペースX社のロケット「ファルコン9」が宇宙船「クルードラゴン」にアメリカ人の宇宙飛行士を乗せて飛び立ちます。)

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では、「ソユーズロケット」は人類を乗せるために開発されたロケットだったのでしょうか。

答えはいいえです。

時は遡り1957年。旧ソ連は人類史上初の人工衛星「スプートニク1号」を打ち上げました。その時に使われたロケットは「Rー7」と呼ばれています。Rー7は、ソ連が世界で初めて開発した大陸間弾道ミサイル(ICBM)です。その後、ソ連からロシアに変わってもこのRー7を「源」にして、様々なロケットが生み出されました。その1つが先ほどあげた「ソユーズロケット」なのです。(ロシアのロケットの特徴は、エンジンがスカートのように広がる形状をとっていること。これは、ロケットエンジン自体の性能を強くするのではなく、多くのロケットエンジンを束ねることで強い力を生み出すという仕組みに基づきます。開発経費も抑えることができますが、のちにクラスター式はソ連の宇宙開発の足を引っ張ることになります。)

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(ウィキペディアより引用)左がRー7。右がソユーズロケット。

◎アメリカでは、ロケット開発の初期にミサイルからロケットへと技術を転用させたものが多くありました。ロケットからミサイルへの転用がないことも世界中にロケット開発の特徴でしょう。おそらくそれには、戦争があったという時期的な要因が最も大きいと思います。

旧ソ連に先を越されたアメリカは、ミサイルの開発にさらに拍車をかけます。特に、大陸間弾道ミサイル(ICBM)の開発です。ソ連は射程距離としてアメリカを含むミサイルを開発していたわけです。だから、スプートニク1号が打ち上げられた時先を越されたショックに加えて、ソ連からミサイルが飛んでくるかもという恐怖感に陥れられたのです。

そこで力を発揮したのが、天才科学者ウェルナー・フォン・ブラウン。彼は、ドイツ出身。第二次世界大戦の時、イギリス・ロンドンやオランダを恐怖に陥れた世界初のミサイル「Vー2」を開発した天才です。その後、アメリカに亡命し、Vー2を元に様々なミサイルやロケットを開発していきました。最終的にはアポロ計画で使われた史上最強のロケット「サターンV」の開発指揮をとり、無事に人類を月面へ立たせた張本人だと言えるでしょう。ロケットがなければ空も飛べませんからね。

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ここで両国の歴史をまとめると

ロケット開発初期はミサイルの技術を転用して、ロケットに仕立てて行った

ことがよく分かります。


要するに

・ミサイル→軍事目的 先頭に核や爆薬
・ロケット→平和目的 先頭に人工衛星
・開発初期はアメリカもソ連(ロシア)もミサイルの技術が元になり、ロケット開発へつながった 

ということなのです。

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写真:NASA


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