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世界一マヌケなロケット マーキュリー・レッドストーン 目でみるロケット図鑑

「人間の乗るロケットは、やっぱりそのためだけに設計されてるよね?」なんて思っている人もいると思います。もちろん、人間が乗って安全な設備をロケットに付け加えたり、さらに安全性を高めるのは必須です。しかし、実際初期の有人ロケットは、ミサイルに毛が生えたようなものでした。ある宇宙飛行士は「ミサイルに乗るなんて不安」と発言したと聞いたことがあります。今日は、前回紹介したレッドストーンミサイルの改造版である「マーキュリー・レッドストーンロケット」を紹介します。

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<主要データ>
・打ち上げ国:アメリカ
・運用開始:1960年
・運用終了:1961年
・全長:25m

<歴史・概要>

アメリカは、ソ連に先を越されてしまいました。ソ連は、スプートニクを打ち上げてから、トントン拍子で人類を宇宙に打ち上げてしまう好調ぶり。アメリカとしては、ソ連に先を越されるなんて完全に誤算でした。

このロケットは、アメリカ初の有人宇宙飛行計画「マーキュリー」計画を成功させるべく開発されたロケットです。そう言っても、実は以前紹介したアメリカの弾道ミサイル「マーキュリー」を改造したものにすぎません。

核爆弾を乗せるミサイルから人間を乗せるロケットへ。そのためには、数多くの改良を加えなければなりませんでした。例えば、生命を維持させる装置や緊急時にカプセルだけを脱出させる装置などなど。

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(この写真は緊急脱出用ロケットを開発するために作られたロケット「リトルジョー」。)

<打ち上げ>

マーキュリー・レッドストーンロケットは、試験発射を含めて6回発射されています。そのうち2回は、マーキュリー計画に使用。アランシェパードとガスグリソムが搭乗しました。ここでは1回目の打ち上げを見てみましょう。

実はこれ、ロケット開発史上最高のマヌケな打ち上げです。のちに「4インチの飛行」とも揶揄されました。ロケットは無事点火し、上昇するかと思いきや、約10センチ飛んだだけでエンジンが停止。ロケットは元の発射台にそのまま屹立するという謎の事態。さらに、緊急脱出用のロケットだけが打ち上げられ、1200メートルも飛行。そこで終わりかと思いきや、マーキュリー宇宙船のパラシュート(地球に帰還するときに速度を落とすために使用)がポーンと引き出される始末。

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動画を見ていただけるとよくわかると思います。

この打ち上げで確認されたことは、緊急脱出用ロケットは正常に作動するということ。それだけでも人間が搭乗しても安全であることが証明されたのでした。

<さらに読みたいサイト・参考サイト>

<写真> NASA  Wikipedia

<番号> 1-1960-1961-0005

<改訂> 2020.4.30

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