中庸ということ
なんか良さそうだけど、なかなか読まないシリーズ。
まずは論語。
中国の思想家、約2500年前の人物、孔子。
その弟子たちが残した記録が「論語」なのだという。
花より論語。
読んでみた。
子曰く、で始まるパターン。
子とはもちろん孔子のことである。
先生が言われた。
「自分を分かってもらえないと嘆くより、人を理解していない事を気にかけなさい」
ふむふむ。
先生が言われた。
「世の多くの人が悪く言うときも必ず自分で調べ考える。世の多くの人が良く言うときも必ず自分で調べ考える」
まさにネット社会の今にピッタリ。
おそるべし孔子。
どちらかというと、人を束ねるような立場の方が読むと為になることが書いてある印象でした。
以上は、「声に出して読みたい日本語」や3色ボールペンで有名な齋藤孝先生の訳ですが、1年半もかかったとか。
岩波文庫もいいとは思いますが、現代に合わせた訳で読みやすかったです。
でも、僕はどちらかというと、より個人の生活信条に近い「菜根譚」の方が好みですね。
こちらも岩波文庫が定番ですが、野中根太郎さんの超訳が読みやすい。
以下、訳の抜粋。
「周りから、いつもあれこれと気に食わない意見を言われ、また、思い通りに進まないことがあることで、人は日々成長していけるものだ。これは人生の砥石とも言える。
もし、いいことばかり言われ、何事も思いのままに進んでいくなら、それは人生を猛毒の中に入れてしまっているようなものだ。」
この部分、例えば岩波文庫版だと、
「人間は平素、常に耳には聞きづらい忠言を聞き、常に心には思い通りにならぬことがあって、それでこそ徳に進み行を修めるための砥石となる。
(これとは反対に)もしどの言葉も耳を喜ばせ、すべての事が心を満足にさせるようであっては、それではこの人生を鴆毒(チンドク)の中に埋め沈めてしまうことになる」
「清廉潔白ではあるが、人を受け入れる度量があり、相手を思いやれるが、決断力に優れている。また、賢明ではあるが、人の考えを馬鹿にしない。
自分に正直ではあるが、それを強制することもない。こういう人が、甘すぎず、辛すぎることもない。本当の美徳をうまく身につけた人といえるであろう。」
岩波だと
「潔白であるが、しかもよく人を容れる雅量があり、寛仁であるが、しかもよく決断力を持ち、明察であるが、しかも人のあら探しをせず、正直であるが、しかも並外れになることはない。このような人物を砂糖漬けでも甘すぎず、海産物でも塩辛すぎることはないと言い、それでこそ立派な美徳を持つと言える」
などなど、どのページもなるほど感満載。
いろんな方が訳していますが、せっかくですから含蓄深い原文と対照になっていて、自分の好みに合うものを選べばいいと思います。
抜粋されていたり、著者の解釈がすぎるきらいのある物は僕はあまり好きではないのでこちらもオススメ。
どちらにも通底するなと感じたのは中庸。
そして、質素で勤勉に心穏やかにほどほどを保ち生活する事が何よりの人生の処世術。
何かに迷ったら、再読に値する素敵な本です。
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