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論語で学ぶ「人への接し方」

思ったよりもテーマ別に論語を紹介した記事が読まれているので、今回も前回に続き、野中根太郎さんの訳本を基に学んでいきます。

人を見て我が身を直す

自分より優れた人を見たら、自分もこのような人になろうと見習い、よくない人を見たら、自分はどうかと反省し、我が身を直したい。

里仁第四・八十三

人のふりを見て、我がふりを直していく

三人で行動したら、必ずその中に自分の師を見つけることができる。

善い行いがあればそれを見習い、悪い行いがあれば、自分の行いを反省してみるのである。

述而第七・百六十八

人を見るにはその人がどんな友人を持っているか見れば分かると言われる。類は友を呼ぶ。

僕はこれに本棚を覗くことも付け加えたい。最近は電子書棚かもしれないが、読んでいる本を見ればその人の思考の痕跡を推し量られる。

では、友人にはどう接すればいいか?

人をよく選んで話せ


信頼のおける人なのに、重要なことを打ち明けないようだと、その人を失うことになる。

信頼のおけない人なのに、重要なことを打ち明けると、失言問題を起こすことになる。

知者は、信頼のおける人を失わないし、失言で間違いを起こすこともない。

衛霊公第十五・三百八十五

友とすべき者をしっかり選ぶ


自分のためになる友人に三種あり、自分に害となる友人に三種ある。

自分のためになる人
1.正直な人(人情のある人)
2.誠実な人
3.物知りな人

自分の害になる人
1.いつも体裁ぶっている人(責任を絶対にとらない人)
2.へつらうだけの人(何があっても反対しない人)
3.口先だけの人

季氏第十六・四百二十三

仕事上のパートナーへの忠告もある。

つまらない人物と仕事を組むな


志の低い、人格下劣の者と一緒に奉公(宮仕え)などできるものではない。

なぜなら、そうした者は自分の地位や権力が得られない時、どうすればそれば手に入るかということばかりに一生懸命になるし、

一旦、そうした地位や権力を手にすると、今度はそれを失わないことばかり心配する。

そして、地位や権力を失わないように心配するあまり、どんなことでもやりかねなくなる。

陽貨第十七・四百四十八

友人への忠告に触れた言葉もある。

友人への忠告は、やり過ぎてもいけない


弟子の子貢(しこう)が友人との付き合い方を尋ねた。
孔子先生は言われた。

友に過ちがあれば、まごころを尽くしてそれを正してやるべきだ。
しかし、相手が忠告を聞かなければ、止めて様子を見るようにするとよい。

あまりしつこく言うと、かえって自分の恥辱を招くことになる。

顔淵第十二・三百一

ではどういった人が尊敬すべき人であり、理想の人であるかについて一節を紹介してみよう。

口がうまく、つくり笑いをするような人間に本物は少ない


人に媚びたことを言い、つくり笑いをするような人間に、私たちのめざす仁の人(思いやりのある人)などいない。

学而第一・三

外見・見かけの良さと中身・実質を兼ね備えたい


人の中身、実質が外見・見かけの良さよりも勝ちすぎると野人のようだ。

反対に、外見・見かけの良さが人の中身・実質に勝ちすぎるとただの文書係のようだ。

外見・見かけの良さと中身・実質が見事に揃っているのが君子(人格者)である。

雍也第六・百三十五

本当に実践する人はそのことを大げさに自慢しない


大きいことばかりを言って自慢して、そのことを何とも思わない(恥じない)人は、言ったことを実践しようなどと考えていない。

憲問第十四・三百五十三

論語のキーワードの一つに「仁」というものがある。これは仁義という言葉ではなく、文脈の中で意味を持つ言葉で、おおざっぱに言えば「人への思いやり」といった意味らしい。

ここからは「仁」について触れている言葉を紹介していこう。

親兄弟を大切にすることが基本


弟子の有子(ゆうし)が言う。

その人柄が、親思い、兄弟思いである者は、師など目上の者を大切にして、むやみにたてついたりはしない。

こういう人間の基本ができている人は、いたずらに世間を乱すこともない。
君子(人格者)は、基本や根本を大事にする。

だからこそ、どんな分野でも間違いなく大きく成長していくものである。

さしずめ、親思い、兄弟思いなどの家族を大切にする心は、私たちが目指す仁の基本や根本となるものであろう。

学而第一・二

恭、敬、忠を忘れてはならない


弟子が「仁」について孔子に聞いた。

家でのんびりくつろいでいても、慎むことは忘れてはいけない(恭)

仕事をする時は、それに打ち込んでまじめに行う(敬)

人と付き合う時は、まごころをもって接する(忠)

以上、三つのことは、たとえ野蛮な地に行っても忘れてはならない。

子路第十三・三百二十一

剛毅木訥(ごうきぼくとつ)の人は仁に近い


意志が強くて物欲に屈しない『剛』
志が高く勇敢で、くじけることのない『毅』
質朴で飾らない『木』
口数の少ない『訥』

の者は仁に近い者である。

子路第十三・三百二十九

仁の具体的な意味


次の五つのことを天下に行うことができるようになれば仁と言える。
   その五つとは、恭、寛、信、敏、恵である。

1.「恭」とは自分を慎んでおごらないことだが、そうすると人に侮られない
2.「寛」とは人におおらかなことだが、そうすると人望を得られる
3.「信」とは信義を守ることだが、そうすると人に信頼される
4.「敏」とはすぐ実行することだが、そうすれば業績が上がる
5.「恵」とは人に恵み深いことだが、そうすると人もついてきてくれて、やりたいことができるようになる

陽貨第十七・四百三十九

あなたの気づきになれば幸いです。

気になった方はぜひ読んでみてくださいね。

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