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変化の激しい世の中ならば好きなことをするしかない

「変化の激しい世の中」とよく言われます。
いわゆる「VUCA時代」ですね。
VUCAとは、Volatility(変動性)、Uncertainty(不確実性)、Complexity(複雑性)、Ambiguity(曖昧性)の頭文字を組み合わせた言葉で、要するに「めっちゃ変化する上にどういう形の変化になるか予想もつかん時代」という意味になります。

ほんとうに変化の激しい時代なのかは人によって賛否が分かれそうですけれど、まあ、そんな時代となってる気はしないでもありません。

ただ、面白いのはこうして「世の中は変化の激しいVUCA時代です」と前置きして「だからVUCA時代を生き抜くためにこういうスキルが必要!」とする主張が散見することです。

いや、それ、めっちゃ予想しちゃってません?

「今後はこういうスキルが必要!」と断言することは、「こういうスキルが必要とされる」というシンプルな予測が安定して確実に通用すると明確に示してしまってるわけで、とてつもなくVUCAと矛盾してるんですよね。

もちろん、完全なVUCA時代というのは要は全てが混沌に帰するカオス状態ですから、北斗の拳よりも混沌とした世界でしょう。さすがにそこまでの時代ってことはありえないわけですから(もはや時代とか社会の概念さえ崩壊しちゃってますから)、何かしら安定的に通用し続けるものごともあると考える事自体は合理性はあります。

でも、その辺への配慮もなく、いきなり「こういうスキルが必要!」となるとちょっと苦笑せざるをえません。
全然VUCAっぽくないですから。

本気でVUCA時代だと思っているのであれば、心底、社会や経済の先行きが予想できないと信じているはずです。つまり、過去や現在の視点から計算して未来を想像してもしょうがないということです。だって今までだったら当たり前だったトレンドや常識が急に変化してしまうかもしれないのですから。

となると、変化の激しい時代ならば今現在好きなことをするしかありません。過去や未来に思いを馳せてもしょうがないから、今ここに刹那的に生きるしかないのです。

今高給の職業だって未来には落ちぶれてるかもしれない。
今大事とされてるスキルだって未来には陳腐化してるかもしれない。
そもそも「スキルが無いと生き抜けない」という考え方自体が未来にはなくなってるかもしれない。
むしろ、何も計算せず今好き放題やってたことが後で良いことにつながるかもしれない。

もちろん、これらが全て逆の結果になるかもしれないのがVUCAなのですが、もうこうなってくると考えても仕方なくなるでしょう。

だから、もし今の時代が変化の激しい時代になったとするならば、それは各自が好きなことをしていい時代になったと好意的に解釈することも可能でしょう。
そう考えるととっても素敵な時代になったとも言えるかもしれません。

もっとも、「本当に今はVUCA時代なのか」「VUCA時代がずっと続くと言えるのか」という問いの正解こそが困ったことにUncertain(不確実)ですから、各自がVUCAを信じるべきかどうかが一番悩ましい運命の分かれ目かもしれませんね。

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