ドラゴンクエスト3と大学受験
オジサン世代の不朽の名作ゲームといえば「ドラゴンクエスト3」を挙げる人も多いのではないでしょうか。ゲームバランス、操作性、キャラメイキング、ストーリー性、いずれも抜群でまさにサブタイトルの「そして伝説へ…」というのは伊達ではありません。現在においても多くのRPGの基礎となっており、リメイク版を出せば必ず売れるキラーコンテンツです。
(ここからはドラクエ3の基本的な知識が必要です)
さて、このドラクエ3、アリアハンという街を出て、一つ大陸を超えるとロマリアというお城があります。上級者であれば1時間程度でも行けてしまいますし、初心者ですら攻略サイトでも見ながら食らいつけば半日でここまでは達するでしょう。
ここから、正しくはカザーブ→シャンパーニの塔→ノアニール→エルフの里→洞窟というなかなかに長いストーリーを歩むことになるのですが、ショートカットをしてロマリア→アッサラーム→イシス→ピラミッドでいきなり中盤への要素となる魔法の鍵を手にします。そして、冒険の折り返し地点となるダーマの神殿までそこからはあっという間に着くことができます。
ゲームレベルが下がったスーファミ版以降で、熟練したプレーヤーがあれば、この折り返し地点まで2時間で余裕で行けてしまいます。私なら40分あればギリギリできるかもしれません。
何が言いたいかというと、不朽の名作であるドラクエ3はこれだけ自由度の高いストーリーで楽しめるというわけです。受験でいえば、掛け算九九から微分積分まで一気にやるようなそんな感覚。よくも悪くも進め方はプレーヤーに委ねられていました。
今のドラクエはどうでしょうか。一つひとつ、一本道で丁寧に決まりきった答えを出さないと次のチャプターには進めません。まるでそれは「参考書ルート」「東大専門塾のカリキュラム」の如し。要するに枠に当てはめられた戦いをしなければクリアできません。
昔は田舎秀才と呼ばれる子供が、自然科学や哲学など、特定の分野に強く興味を持って、パラノイア的に学んだうえで、ちょっと受験勉強をしたら東大に受かったなどというケースがありました。おそらく東大が本来欲しいのはこういう学生なのだと思います。
ゆえに、数学でいえば、東大では他大学よりも基本的な定義や定理をあらためて問うことが多く見受けられます。「円周率が3.05以上であることを示せ(2003年)」みたいなものはその典型で、基本的な部分のなぜ?どうして?を問うような学生に来てほしいのでしょう。
しかし、今では積和の公式が言えないとドラゴン細井に怒られるほどに詰め込み式大学受験であって、なぜ?どうして?すらもパターン化し、そのパターンすらも全部暗記して、実際の問題に覚えたパターンのどれが当てはまるのかを考えるだけというのが定着しています。
東大も排除しようとしますが、何をやっても対策をされ、そしてどんどん新たなパターンが出てくるので覚える量が激増するというますます悪循環に陥っているのが令和の大学受験なのです。
きっと東大当局はドラクエ3のような発想をもった大学受験をしたいのだろうと、100回目ぐらいの周回プレイをしながら悶々としていました。
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