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誰が人種差別を作ったか?



 

 アメリカ各地で暴動が発生し、世界中で人種差別反対の抗議運動が広がっている。オレはこの運動を行う白人たちに対してとても複雑な思いを感じるのである。それはどういうことかというと、もともと人種差別なんて概念は東洋にはなかった。そんな価値観を生み出したのはおまえたち西洋人じゃないかと言いたいのだ。






 おまえたち白人がアフリカから多くの黒人を奴隷として拉致した時、彼らのことを同じ人間としてみなしていなかったからこそそうして奴隷として連れ出せのではないのか。アジア人や黒人に対する差別という概念を生み出したのはそもそも白人が他民族に優越しているというおまえらの勝手な思い込みのせいじゃないか。そしてその優越思想ゆえに世界中に植民地を作り、その土地の住民から搾取し、支配してきたのじゃないか。相手のことを同じ人間とは考えず、相手の立場を尊重することもなく、一方的に見下してきたのじゃないか。そんなおまえたちが今更になって「人種は平等」などと偽善者ぶってる姿を見るとオレは吐き気がするのだ。



 


 日本にやってきたスペイン人の宣教師たちは、神の前で人が平等であると説いたが、スペイン人の商人はその頃、多くの日本人を奴隷として売り飛ばしていた。豊臣秀吉がその事実を知り、売られた人々を銭を払ってでも買い戻したいと訴えた書状が残っている。



 

 西洋人はアジア人を奴隷程度にしか考えてなかった。キリスト教布教というのは支配のための道具でしかなかった。あの時鎖国しなかったら日本はどんな悲劇に見舞われていただろうか。





 明治維新を経て、日本は再び欧米と交流することになった。日本を見下して不平等な条約を押し付けようとする西欧列強に対して、軍事力を強化することでしか対抗できないことは明らかだった。国力を傾けて文字通りボロボロになって戦った日露戦争で多くの犠牲を支払った日本は、第一次大戦という主戦場がヨーロッパだった戦争のおかげで漁夫の利を得た。



 日本は世界の一等国になったと勘違いする人も多かった。しかし、あくまでも日本は黄色人種であり、白人から見れば格下の存在だった。そんな黄色いサルが白人と対等になれるわけがない。





 国際連盟で日本が提唱した「人種平等宣言」はアメリカやイギリスの反対で否決された。その後日本は日独伊三国同盟から戦争へと突き進んで破滅するのだが、もしもあの「人種平等宣言」が国際連盟で認められていたら、もっと違った歴史が存在したような気がするのである。少なくとも今のような世界が核軍備競争に邁進するような状態にはなっていなかったはずだ。





 当時、空母機動部隊を運用する海軍力のある国は日本とアメリカしかなかった。その2国が世界のリーダーとなっていれば、戦勝国が勝手にそのまま世界の枠組みを作った今の国際連合ではなく、真に世界平和と自由と平等を目指す機関を誕生させることができたかも知れないのだ。








 人種差別なんて概念は白人が作り出した。そうして相手を下に置くことで自分たちの自尊心を守ろうとした。人種が実は平等であることを一番恐れていたのは実はそれによって自分たちの優越性が覆されることを恐れた白人たちであったとオレは断言する。




 まず白人たちがしないといけないことは、数百年にわたる黒人への虐待の歴史をすべて振り返って自己批判することだ。イギリスやフランス、ポルトガルやスペインが大侵略国家であった過去を正しく認識し、自分たちの先祖が救いようのないゲス野郎どもであったことを認めることじゃないのか。今のアフリカの貧困のすべてのきっかけは奴隷貿易であり、その償いをこれまで一度もしたことがないことを恥じるべきじゃないのか。









 満州国は「五族協和」というスローガンを掲げた。日本人、満州人、漢人、朝鮮人、蒙古人が一緒になって一つの国を建国するという意味である。満州国は本当にただの日本の傀儡国家だったのだろうか。あの時代、樺太にユダヤ人国家を作ろうと考えた日本人もいたのだ。もしもそれが実現していたら、イスラエルという国は東洋に建国されていたかもしれないし、中東の紛争も起きなかったのである。日本は世界の平和に貢献するために多くのことができていた。差別思想で頭の中が凝り固まった白人なんかに世界を支配させてはいけなかったのだ。






 豊田有恒のSF小説「モンゴルの残光」は、モンゴル帝国が世界を支配するようになった結果、その後どんな世界ができたかというところからスタートする。世界の支配者は黄色人種で、白人はその下で差別されている。




 虐げられた白人の一人のある若者が、黄色人種が世界の支配者となっていて白人が差別されて苦しんでいるその世界を変えるために、タイムスリップして歴史を改変しようとする。その狙いは成功し、やがてモンゴル帝国は崩壊する。





 そうして作られた歴史が現代につながるのだが、白人が支配者になったせいで世界はもっとひどいことになってしまったということが書かれている。






 人種差別なんて概念は白人が作ったもっとも忌むべき悪習であり、それを無くすために必要なことは今起きているような暴動ではない。暴力では世界は変えられない。世界を変えることができるのは連帯である。憎悪や対立をあおることしかできないトランプや習近平のような二流の政治家にはさっさと退場してもらうしかない。



 連帯を求めて、孤立を恐れず。力及ばずして倒れることを辞さないが、力尽くさずして挫けることを拒否する。


 これは安保闘争で東京大学の入試が流れた年、安田講堂に残されていた落書きである。



 そこにはこんな落書きもあったという。







 人間が人間であることを主張する・・・





 人間を人間として扱わずに性的搾取の対象としたり、低賃金で酷使したり、ストレス解消のためにいじめたり、面白半分に虐待して殺したりという悪が世界には溢れている。



 


 オレはすべての人間が人間として尊重される未来が実現することを願っている。正義が正しく行使されるまっとうな社会になってほしいのである。



 切に願うのである。

モノ書きになることを目指して40年・・・・ いつのまにか老人と呼ばれるようになってしまいました。