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維新信者集会潜入レポート



 2023年03月08日3月8日夜、大阪市平野区の平野区民センターでは維新の会主催の「タウンミーティング」なるものが行われていた。オレは以前からこの集会の中味に興味があったので、潜入調査のためにこの集会に出ることにした。開始時間ちょうどくらいに会場に着き、無料駐車場にオレはクルマを駐めた。



 入り口では緑の軍団が入場者を整理している。広い会場には椅子が整然と並べられ、椅子の上にはチラシが置かれている。椅子の数から考えて500人は軽く入ってるだろうか。一枚は市議選の候補者のチラシ。もう一枚は維新の会の政策を紹介するチラシである。オレはその席に座った。入場時に名前や住所を記載するようになっていて、オレは「これは必ず書かないといけないんですか?」と確認すると「名前だけでも」ということだったので、さすがに維新ジャーに知れ渡ってるかも知れない「江草乗」と書くのもはばかられたので、適当な名前を書いて提出した。松井次郎とか吉村嘘文と書いてやれば面白かったかも知れない。



 維新議員の挨拶、そして大阪市長選挙に出馬予定の横山ひでゆき府議のスピーチがあった。横山府議はもとは大阪府庁の職員だったということで、大阪府と大阪市の公務員がいかに仲が悪いか、そのためにさまざまなことが進まなかったという説明をされた。その一せいで淀川左岸線の工事が進まなかったということだった。ちなみにこの淀川左岸線というのは阪神高速道路公団の事業であり、府と市の対立のせいで工事が遅れたというのはいくらなんでも無理筋だなとオレは聞いていて思ったのである。



 それ以外にも横山府議は二重行政のことについてえんえんと説明され、WTCタワーとりんくうゲートタワーのことなどをその実例としてあげていた。川の右岸と左岸で管轄が違うから防災計画が進まないということも出した。それを聴く聴衆の反応だが、時々拍手が入り、ネタのとことではみんなが笑い、たとえ嘘やあいまいなことを語っていても誰にも突っ込まれることがないので自信たっぷりで話された。府庁職員と大阪市役所の職員が反目し合っていたのかどうかというのは正直オレにはよくわからない。



 約30分経過して、吉村知事が登場した。歓声と拍手、こういうのがあると本人が「オレはスターだ」と勘違いするのも頷ける。新興宗教の教祖にはそのカリスマ性が必要なわけで、こういう集会がそのために役立っているのだろう。



 吉村知事は大阪府の借金を減らしたということを強調した。借金が5000億あって、しかも借金を返すために積み立てている手をつけてはいけない部分(減債基金)も使ってしまっていたという。これは吉村がいつも強調することである。そこで吉村知事は「太田房江は退職金2期分として8000万円もらった。ぼくは退職金を廃止しました。大阪市からの4000万円、そして知事一期分の4000万円、これをもらいません。知事をもう一期やれば1億2000万円、年末ジャンボ宝くじですね。タワマンが買えます。」とアピールしたのである。もっとも吉村知事はタワマンを複数所有しているらしいので、このアピールはそれを知ってるオレはちょっと吹きそうになった。そこで「おまえタワマン持ってるやんけ」と突っ込みたいところである。



 そして橋下が知事になったときに大阪府の借金が5兆円あったのを、今がんばって返して3兆3000億円くらいまで減らしたとか、改革によって無駄を減らし借金を減らしたということを強調した。こういうスピーチを聴いていると、なんだか吉村がものすごく有能ですばらしい指導者であるかのように聴取が錯覚することもよくわかる。会場全体が吉村をカリスマとして賛美する雰囲気なのである。



 前任者をdisることも忘れない。大阪市の中学校には給食が全くなかった(嘘)とか、平松市長は小中学校にエアコン設置する代わりにヘチマやゴーヤを植えさせたとか、笑いを取るための定番のネタである。ちなみにエアコン設置は平松市政のもとで設置が決定し市議会で予算案が可決された。橋下が市長の時に実際の設置工事が行われそれを吉村は「維新の成果」であると語っているわけで、前任者のやったことまで自分たちの手柄に付け替えて自慢する、いわゆる「盗んだモノに自分の名前を書く」行為である。もちろん信者達にはそんなからくりはわからない。「橋下スゲー、吉村スゲー、平松ゴミ」という結論になるわけだ。本当に悪質そのものである。



 吉村知事は大阪市の職員にはスーツ代が支給されていたこともここで持ち出し。いかに厚遇されていたかをアピールした。地下鉄の売店もなんかわけのわからない天下りの会社がやっていた。そういう仕組みをなくしたと強調した。このスーツ代支給を廃止したのは実は2005年のことであり、その時は関市長である。もちろん会場の人達はそんなこと知らないのでやっぱり「橋下スゲー、吉村スゲー、平松ゴミ」となるわけだ。



維新の目玉政策である「教育の無償化」の宣伝も忘れない。行きたい学校に行けるようになるということを強調し、お金の掛かる医学部も大阪公立大で無償で行けるようになるということをアピールした。いやそもそも私大医学部のこととハム大の無償化のことはここで結びつかないだろう。現行の無償化の仕組みがさまざまな制約があるものであることには全く触れず、成果のみを強調し、公立高校がじゃんじゃん潰されていく事実はひとことも言わなかった。平野区にある平野高校もなくなるわけで、聴衆の中には近くて通いやすいそこに子を進学させようと思っていた人もいるはずだ。なんとも思わないのだろうか。



 吉村のスピーチが終わると質疑応答のコーナーになった。オレは手を上げて嘘に突っ込もうと思ったが、いくら手を上げても当ててもらえない。指名された人は質問というよりは吉村を賛美し、維新の会への期待を語るヨイショコメントしかしない。もしかしたらこういう人達は仕込みというかサクラかも知れない。そのうち質疑応答のコーナーは終わってしまった。最後の一人のところで私は指名されずになんか変なおっちゃんが当たり、行政には関係ない国政のことを語っていた。



 そうそう、吉村は改憲のことについて触れていて、「自民党は改憲できるのにやる気が無い。改憲勢力で2/3の議席があるのになにもしない」と自民を攻撃していた。これは国政選挙向けの信者へのアピールだろう。ついでに9条擁護の共産党を党名は出さずにけなしていた。



 そしてカジノIRの話も少しだけめんどくさそうに話した。「カジノカジノって言いますけど、これはIRなんですよ。商業施設、会議場、劇場、ホテル、そうしたエンタテイメントの施設なんですよ。しかもこの土地は負の遺産、テクノポート計画をぶち上げ、オリンピックの誘致では府市の協力ができずに失敗、地下鉄テクノポート線は途中までトンネルを掘って放置、負の遺産なんです。そこを魅力的なものにしようという計画なんです。カジノはマイナンバーカードを提示して入場料6000円払わないと入れません。映画みたいにイタリアのマフィアが仕切ってるようなものではないんです。」ということだった。計画よりも大幅に縮小されたその土地に、そんなにたくさんのものがてんこ盛りに入るのかねとオレは疑問に思ったのである。



 この信者達が維新真理教から抜け出すことはないだろう。彼らは狂信的に維新を盲進し、周囲にも維新への投票を勧める。この洗脳集会こそが維新の選挙での強さの秘密である。年配の人が多く、会場に来ている人達は「必ず維新に投票する岩盤層」であるとオレには感じられたのである。「維新の会は大阪を改革してよくしていってくれる」とそこで宣伝されている信者向けスピーチの内容を100%そのまま受け止めているわけだ。



 オレは出口のところにいた横山府議に、3月6日の府議会のことを直接質問してみた。公約と同じ内容なのにどうして否決したのかと。横山府議の答えは「あれは自民党のいやがらせです」ということだった。財源がないのでやれっこないことをわざと提案してきたんです」ということだった。だから否決したのだという。そして「所得制限なき無償化」については「今年はもちろん無理、来年もやれるかどうかはわからない」ということだった。要するに公約には入ってるが、やれるかどうかはわからないといういつもの「やるやる詐欺」みたいなものなんだなとオレは受け止めたのである。



 そうそう、吉村のボディガードというか、大男のあの入道はもちろん会場に来ていた。昨年の天王寺駅頭街宣で吉村に罵声を浴びせたオレのことを覚えてるかなと思ったのだが、直接目が合っても表情が変わらなかったので忘れているのだろう。面が割れてるかなと思っていたのでオレは少し安心した。



 そうそう、定番の吉村の嘘ネタ、「昔の大阪城公園は怖かった」だが、もちろん今回も炸裂した。しかし、今回は「昔の夜の大阪城公園は怖かった」という形で「夜の」が付け加えられていたのである。まあ普通は夜に大阪城公園には行かないし、行くとしたらそこでいちゃいちゃしたいカップルとか、それを覗きたい変態とかだからあまり治安のよくないところではある。そういう意味では「怖い」は正しいかも知れないが、主観的なものである。



以上、長文になったが維新の会のやってる「タウンミーティング」の潜入レポートである。この会は信者達が結束を深め、維新の会への変わらぬ忠誠を誓う黒ミサみたいなものだったというのがオレの率直な印象だ。オレは自分の正体が会場に居た信者達にバレないようにまわりに合わせて拍手するフリをしたりしていたのである。

モノ書きになることを目指して40年・・・・ いつのまにか老人と呼ばれるようになってしまいました。