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3人組。

小学生時代を思い出す時、忘れられない男子三人組がいる。

彼らはヤンチャを絵に描いたような男子たちで、それはいわゆる女子にモテるようなヤンチャじゃなくて、男子でつるんでいるならではな女子から見たらちょっとバカっぽいヤンチャさで、でも彼らのヤンチャには悪意がなくて多少乱暴だけどそれは彼らの個性として認められるというような。

アタシはそんな彼らを気に入るともなく気に入っていて、先生に何人かでこれやってくれ、というようなことを頼まれた時に気軽に「頼むー。」と言えるような気を許した存在だった。

ある時、先生からの指令を持て余したアタシは彼らの一人に「ねー!付き合ってー。」と頼んで無事任務を遂行したのだけど、お役目が終わった後に手伝ってくれた彼に「『付き合って』とかいうからさぁ!」と言われて「?」だったのを、帰り道に「!そっちの『付き合って』!」と思い至り、メタンこ恥ずかしくなった思い出なんかもある。

クラスには『お楽しみ会』という会があって、普段の勉強とは関係ない自分の好きな事を披露したり出し物をしたりする会があったのだけど、ある時のお楽しみ会にこの三人組が自作のコントを披露したことがあった。

それがほんとにホントーに面白くて、クラス中大ウケで、彼らにそんな才能があるなんてメッチャびっくりしたのと同時に、こんなことを思いついて披露できる彼らが同級生だなんてなんだか誇らしくて、終わった時には手が痛くなるほど拍手した。

六年生になるタイミングで家の事情で転校することになったアタシのためにクラスでお別れ会を開いてくれることになり、先生が「なにかみんなにして欲しいことあるかい?」とたずねてくれた時、アタシはこのお楽しみ会でのコントを男子三人組にリクエストした。

三人はいきなりなリクエストにビックリして「覚えてる?」「できるかやぁ?」などと言いながら少し打ち合わせをした後、照れながらもあの時クラスが大絶賛したコントを再演してくれた。

とちったり間が空いたりしたのもご愛嬌で、それはそれでまた楽しくて、もちろんコントは色あせることなく面白くて、再びの大歓声と拍手で、アタシはほんとうに大満足で胸がいっぱいで、そのままいられたら児童会長とかに立候補してみてもいいかもとさえ思っていたほど好きだった小学校を去った。

この三人組はルパン三世が大好きで、休み時間によくルパンゴッコをやっていた。彼らの一人が絵がとても上手で、人が絵や字を書いているのを見ているのが好きなアタシの前でよくルパンの絵を描いて見せてくれた。あのもみあげがすごく上手に描かれていた。アタシにとって、ルパンと次元と五右衛門は彼ら三人でもあった。

モンキーパンチ先生、ルパン三世を生んでくださってありがとうございました。お陰でアタシの小学生時代は今でも切なくて温かいです。


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