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Bリーグクラブの決算書を読み解く⑧ ~横浜ビー・コルセアーズ編

2021年、14本目のnoteです。

本日は表題の通り、
B1クラブである横浜ビー・コルセアーズの決算資料を読み解きながら、野球の球団運営に関わった私なりの考察を交えた記事をお送りいたします。

(とは言いつつ財務の知識はほぼありません。詳細が不明な部分については想像を膨らませておりますのでその点ご容赦くださいませ)

Bリーグ各クラブの2019-2020シーズン決算資料については、リーグ及び各クラブがホームページで発表していますのでそちらを参考にしております!

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【総括】
1、動員の伸び悩みと債務超過
2、大規模なスクール事業が下支え
3、日常使いグッズがカギか


(参考資料)

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1、入場料・スポンサー収入の減益による債務超過

まず決算概要としては、
7億2000万円の営業収入に対して8億円の営業支出で、およそ8000万円の営業損失に。当期純利益も-8200万円となっております。
なお、当クラブは前年(2018-19シーズン)もおよそ1億円の赤字でした。

そして貸借対照表によれば、大きな固定負債の負担もあり、およそ5300万円の債務超過となりました。
債務超過となってしまったB1クラブは、先日紹介した宇都宮・今回の横浜・次回予定の新潟の計3クラブです。

やはりコロナによる打撃は当クラブも大きかったようです。
入場料収入は前年比90%に、スポンサー収入は前年比84%へ落ち込んでおります。

後述するスクール事業のさらなる成長と、前年から売上を伸ばしている物販収入を高めていくことで売上全体は底上げされますが、あくまでもそれらはトップチームありきの補助的なものであり、基盤となるのは入場料・スポンサー収入かと思います。

今後もコロナへの対応により集客の制限は残るかと思いますが、ルールの中でできうる最大限のキャパを埋めることができるか、
そしてパートナー企業に対してアリーナ露出以外の部分でアクティベーションを図る方法はないか等を探っていくことで、なんとか売上を立てていくことが求められます。

とは言え、ここに関しての正解はだれも分からないので本当に難しいですが…。

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2、大規模なスクール事業が下支え

当クラブ最大の特徴は、「ユース・スクール関連収入」です。

この項目のB1平均は3800万円であり、営業収入全体における割合としては3~5%のクラブが多いです。

しかし、当クラブは平均を大きく上回る1億2300万円であり、営業収入の17%を占めております
金額としても割合としてもダントツの1位です。

なお、前年はさらに多い1億3500万円だったためやや減益であり、さらなる拡大戦略を取っていたため、想定売上は1億円減だったとのことです(下記記事参照)。

つまり、年間2億円以上の売上をスクール事業で作れる見込みが立てられているようです。恐るべし…。

一般的には補助的な収入源として運営されているクラブのスクール事業が、むしろ大きな経営基盤になっている例は、非常に珍しいと思いますので、今後もどのような発展を続けていくのか観察していきたいです。

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3、日常使いグッズがカギか

先日、サンロッカーズ渋谷の物販収入について、グッズ点数が少ないため売上も少ないのではないか、といったことを書きました。

ただ最も点数が少なかったのが当クラブであり、その中で一定の売上を作っていたためなんとも不思議だったんですが…

調べてみると、リーグ公式から飛べる共通のECサイトとは別でクラブ独自のオンラインストアがあり、そこでは多種多様なグッズ展開をしていることが分かりました。

こちらからアパレル商品等を一通り見た感想としては、
「オシャレ…!普段使いもできそう…!」でした。

日常的にも使うことができるスポーツチームのグッズは昨今のトレンドであり、ライトファンも手を伸ばしやすい商品展開はものすごく大事だと思っています。

一方で(個人的見解ですが)、どうしても普段使いのオシャレさを追及するとシンプルなモノトーン調のものに行き着きやすく、良くも悪くも「グッズらしさ」が消えていきます(経験談)。

悪くも…と書いたのは、アリーナの一体感を醸成する上ではマイナスに働きうるからです。

対極の例を挙げると、秋田ノーザンハピネッツのクレイジーピンクでしょうか。あのような明るいピンク色のグッズはとても日常使いに適しているとは言えません(あくまで個人的見解です)。

ですが、アリーナをピンク色に染めるという点では大いにプラスに働きますし、あのピンク色はクラブのアイデンティティにもなっています。

まとめると、アリーナの一体感を作る上でクラブカラーを全面に押し出したコアファン向けの派手なグッズが個人的には好きですし、とは言えそれだとライトファンには手を出しづらい。
だからこそ、日常的に使えるようなオシャレグッズをメインにするという戦略ももちろんありだし、結局その両軸で考えるべきなんだろうなあ、といったなんとも曖昧な私見です。

そもそも当クラブは、クラブカラーがネイビーで洗練された横浜って感じなので(語彙力)、オシャレ路線も大いに賛同できます。
同じ横浜を拠点にしているベイスターズも最近は日常使いできるアパレルが増えてきている印象ですし。

当クラブの物販収入は、大きな売り上げではないものの前年から伸びていることを見ても、ここの成長幅はかなりあると思います。

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4、まとめ

債務超過という苦しい状況から脱却するために入場料収入・スポンサー収入を高めていくことは最重要課題かと思いますが、今後もスクール事業という大きな核を持った当クラブの経営戦略には注目していきたいです。

現在この連載も8クラブ目ですが、クラブによってそれぞれの色があって本当に面白いです。

明日以降は関東圏を飛び出し、北陸や西日本のクラブを見ていく予定ですが、また違った地域性やそれに伴う戦略が見えてくると思います。

本日も最後まで読んでいただき、ありがとうございました!

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