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Bリーグクラブの決算書を読み解く⑦ ~川崎ブレイブサンダース 編

2021年、13本目のnoteです。

本日は表題の通り、
B1クラブである川崎ブレイブサンダースの決算資料を読み解きながら、かつて野球チームの球団運営に関わった私なりの考察を交えた記事をお送りいたします。

(とは言いつつ財務の知識はほとんどありません。詳細が不明な部分については想像を膨らませておりますのでその点ご容赦くださいませ)

Bリーグ各クラブの2019-2020シーズン決算資料については、リーグ及び各クラブがホームページで発表していますのでそちらを参考にしております!

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【総括】
1、リーグ屈指の入場料・物販収入
2、3億5000万円の赤字だが…
3、幅広いファンへ向けた施策の数々

こちらが参考にしたリーグ発表の決算資料となります。

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1、リーグ屈指の入場料・物販収入

2019-2020シーズンの損益計算書によると、
営業収入:9億9200万円
営業支出:13億2700万円
ということで、−3億3500万円の営業利益。当期純利益もおよそ3億5000万円の赤字となっております。

しかしながら、入場料収入は約2億7000万円でリーグ2位(1位は宇都宮)。
物販収入は約1億5000万円でこちらもリーグ2位となっています(1位は千葉)。

シーズンの3分の1にあたる10試合ほどのホームゲームが無くなったにも関わらず、前年と比較し入場料収入が1.4倍、物販収入が1.6倍となり、総売上もなんと1.5倍まで成長。人気が飛躍的に向上していることが分かります。

こうした当クラブの人気ぶりには様々な要因が考えられますが、その点は本記事の後半に考察いたします。

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2、3億5000万円の赤字だが…

上述したように赤字着地とはなってしまっていますが、売上は順調に伸びており、貸借対照表を見ても債務超過には陥っていないので支出の大きな販管費や試合運営経費は先行投資と捉えて良さそうです。

(もちろんホームゲームの中止が無ければ黒字となる可能性が十分に高いので、想定外であったことには変わりないと思います)

クラブの親会社であるDeNAがベイスターズで確立したスポーツビジネスの成功ノウハウを横展開し、アリーナを非日常空間として盛り上げている様子はSNS等からも見てとれますし、実際にチケット収入をはじめとした売上全般が著しく伸びているので今後もマーケティング戦略が非常に楽しみです。

また、トップチーム人件費も前年の3億1500万円から4億8300万円と約1.5倍となっています。チーム強化にもしっかり投資できているため、人気・実力ともにますます高まっていくことが予想されます。

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3、幅広いファンへ向けた施策の数々

今回この記事を書くにあたり、クラブのホームページを拝見しましたが、とても学びにあふれていましたので自分なりの考えも付加しつつ厚めに述べていきます。


(ⅰ)顧客ターゲットが明確

バスケットボールの特徴は、野球やサッカーと比較すると非常に女性の競技人口が多いことです(1:1らしい)。
幼少期から男女問わず触れる経験のあるスポーツでもあり、女性人気が非常に高いのがBリーグの特徴であり成長性の高さとも言えます。

中でも当クラブでは、こうした若い女性やママ層を重要なターゲットとしてベンチマークしていることがホームページを見ていると随所に伝わってきました。

チケットの購入方法豊富な席種を選ぶポイント服装グルメ応援方法など初めて行くファンの不安を丁寧に払拭している案内が目立ちました。

(感動して思わず呟いた投稿)

私もまだ数回しかBリーグを観戦したことがありませんが、やはり一番悩ましいのは座席の選択です。

私の場合は、たまたま身近にものすごく詳しい友人がいるので色々とアドバイスをもらってから購入することができますが、そうでない方はかなり不安が大きい部分だと思います(席によって価格もかなり変わるので…)。

そうした不安を解消し丁寧にチケット購入までの導線を整えることで、最もハードルが高い0→1回目の来場を促進していることが印象的でした。

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こちらは(ⅲ)で紹介するスポンサー向けの資料ですが、男女比が均等で、かつ20~40代の層をしっかりと呼べていることが分かります。


(ⅱ)多様なマネタイズポイント

グッズの種類も幅広く、他にも月額課金制のオンラインサロンやチームの裏側を追いかけたドキュメンタリーDVDなど様々な商品展開をしていることがリーグ屈指の物販収入となっている要因かと思います。

特に人気マスコットのロウルを用いたグッズが多い印象。
女性や子どもの来場が当クラブでは、こうしたかわいいキャラのグッズはとても人気かと思います。

気になる方はTwitterで、
#ロウルかわいいよロウル と検索してみてください。私も会いたいです。


(ⅲ)パートナー企業へのアカウンタビリティ(説明責任)も充実

このスポンサー向けページが本当に分かりやすく、かつ説得力があり、スポーツチームの営業提案資料を作る際には大いに参考にできると思います。

・スポンサーメリット
・実績
・チームビジョン(成長予測)
・協賛メニュー

といった理路整然とした流れ。そして見やすいグラフや写真。

本当にお見事です…。

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4、まとめ

当クラブは東芝資本のもと長きにわたり人気を集めてきたかと思いますが、DeNAの買収によってさらに人気が加速していることが決算資料の数字からも伝わってきました。

同じ川崎市で活動する川崎フロンターレのコラボや、同系列の横浜DeNAベイスターズとのコラボ実績もあり、どちらも地域密着という点で成功しているクラブなので今後の取り組みもとても楽しみです。

そしてホームページは本当に勉強になりました。初観戦の方向けに必要な情報が網羅されており、ロウル(ロール)モデルとして今後も参考にさせていただきたいです。

#ロウルかわいいよロウル


本日も最後まで読んでいただきありがとうございました!!

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