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Bリーグクラブの決算書を読み解く③ ~宇都宮ブレックス編

2021年、8本目のnoteです。

本日は表題の通り、
B1クラブである宇都宮ブレックスの決算発表資料を読み解きながら、かつて野球チームの球団運営に関わった私なりの考察を交えた記事をお送りいたします。

(とは言いつつも、財務の知識はほとんどない状態ですし、詳細が分からない部分については想像を膨らませておりますのでその点ご容赦くださいませ)

Bリーグ各クラブの2019-2020シーズン決算資料については、リーグ及び各クラブがホームページで発表しておりますのでそちらを参考にしております!

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【総括】
1、超人気クラブが債務超過に
2、エンタメ強化の先行投資
3、来場者数・SNSフォロワ―でリーグを牽引


こちらが参考にしたクラブおよびリーグ発表の決算資料となります。

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1、超人気クラブがまさかの債務超過に

全クラブが共通で直面した問題ではありますが、やはりコロナ禍の影響により大幅な減益減収となりました。

当クラブのように、事業規模が大きくなればなるほど、試合運営やチーム強化(人件費)も投資として拡大するため、コロナ禍によるダメージは特に大きかったようです。

進出を想定していたプレーオフを含めると、最大15試合のホームゲーム開催機会が奪われたことにより、なんと3億円の売上見込みが消失したとのこと。

他にもスクールやイベント関連の売上が大幅に減ったにも関わらず、売上高合計は12億円でした(前年比88%)。

しかし、これを大きく上回る支出により、営業利益は-1億4700万円、当期純利益は-1億4500万円でした。(どちらも前年は+3億円超)

結果的に、純資産がマイナスとなり、約5500万円の債務超過となる見通しとなりました。

(B.LEAGUEクラブライセンスでは、交付判定基準の一つに「純資産基準」があり、従来は債務超過の場合はライセンスが交付されないが、新型コロナウィルス感染症拡大の影響を鑑み、2022年6月決算までは当基準は除外された)

長きにわたり、リーグを牽引してきた当クラブがこのような状態に陥るほど、今回のコロナ禍はスポーツクラブにとって大きな傷を与えたと言えます。

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2、エンタメ強化の先行投資

とはいえ、今回の赤字は先行投資の意味合いが強く「クラブ存続危機!」のようなものでは無さそうです。

アリーナのビジョン増設・アリーナロビー内のモニター設置・屋外にファンゾーン開設など、ファンが楽しめるようなエンタメ事業の先行投資を、コロナ禍の前までは積極的に行っていました。

その結果、(後述しますが)来場者数は順調に伸び、コロナ禍が無ければしっかりと回収できる見込みはあったのだと思います。

人気クラブゆえにアリーナの収容率(来場者数)は、天井に近づいてきていますが、次のフェーズとしてチケット単価を徐々に上げることで売上を順調に伸ばしています。

今季からはチケットのダイナミック・プライシングも導入しているとのこと。

これからもしばらくの間は情勢の問題で、満員のアリーナを実現することは困難かと思います。
その中で売上を最大化させるためにも、ますますこうしたチケットをVIP化する流れは加速するのではないでしょうか。

たとえチケットが高価格になっても、それを上回る価値を提供するパワーを当クラブは持っており、そのためのアリーナ周りへの先行投資強化だったことが伺えます。

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3、来場者数・SNSフォロワ―でリーグを牽引

決算資料に、来場者数とSNSフォロワ―数の推移が図解で掲載されており、大変わかりやすかったのでこちらでも転載させていただきます。

ご覧のように、Bリーグ1年目から試合平均来場者数は3000名を超え、2018-2019シーズンでは4000名を突破。まさに右肩上がりでした。

もちろん今回のコロナ禍の影響で、2020-2021シーズンにおいては大きく数を落とすことにはなってしまうかと思いますが、栃木県内およびバスケ界における当クラブの認知・人気は非常に高いことが分かります。

そしてSNSフォロワ―についても、各項目でリーグを牽引しています。

個人的に注目したいのが、LINE公式アカウントの運用です。
(友達登録をしているわけではないので、どんな内容かは想像の範囲ですが…)

一般的なSNS(Twitter、Facebook、Instagram)は、フォロワ―側が情報を取りに来る、いわゆるプル型のツールです。
一方のLINEは、情報をフォロワ―へダイレクトに届けられるプッシュ型のツールであるため、情報が届きやすいという特徴があります。

プッシュ型のSNSを上手に運用することで、来場者増やファンのロイヤル化に繋がると考えているので、約38000人のLINE友達を抱えている当クラブは今後もブースターと良好なコミュニケーションを図れることと思います。

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まとめ

人気クラブゆえに支出も多く、コロナ禍のダメージを特に受けやすいことから一時的な債務超過に陥ってしまいました。

が、これまで築き上げてきた人気・莫大なフォロワ―を抱えたSNSでのコミュニケーション・アリーナ拡充などにより、今後もリーグを牽引し、経営状況も含め、より強力なクラブとなっていくと思います。

黄色に染まった非日常空間の熱気あふれるアリーナに一度は訪れてみたいと改めて思いました。

本日も最後まで読んでいただき、ありがとうございました!

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