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③料金比較.防災と仕事の効率化のために,データ管理を見直す.

はじめに

私は,フリーのエンジニアとして,様々なプログラミング,シミュレーション等を行っており,日々増えるデータに悩んでいます.防災の観点からもデータ管理を見直そうと決めました.今回は,3つの案について料金を比較していきます.

これまでの流れ

防災と仕事の効率化のために,下の3つの案で膨大な容量のデータを整理しようと考えています.

  1. HDDを複数セットできるケースを用いる

  2. NAS(ネットワーク型HDD)

  3. クラウドストレージ

ストレージ容量の単価

1、2の案では、自分で内臓ストレージを用意する必要があります。2024年5月30日にTSUKUMOのwebサイトで内臓HDDと内臓SSD(sata接続)の容量と費用を調べました.M.2 NVME規格のSSDは,大容量の製品が見当たらなかったので,今回は省略します.なお,24時間起動することを念頭にNAS用のHDDを優先的に調べました.

ストレージの容量と費用の関係は,下のとおりです.HDDは〇印,SSDは△印で表しています.やっぱりSSDは最大でも8TBで,また費用も高額ですね.ここではHDDを使うことになりそうです.なお、シミュレーションやデータ分析では、大量のデータをファイルに書き込んだり、データを読み込んだりするのでSSDを使います。

次に,どのHDDが割安か見てみます.HDDの費用をストレージ容量で割った値(円/TB)です.5TB以下のHDDは容量単価が少し大きいようですが,これよりもストレージ容量が大きいHDDは全体的に3000円/TBから5000円/TBくらいですね.東芝製のHDDは全体的に容量単価が安く,16TBのHDDについては他のメーカーの製品も容量単価が安くなっています.今回は,16TBのSeagate製HDD(39800円)を筆頭とします.

HDDを複数セットできるケースを用いる

次に,HDDを入れるHDDケース(ドライブ)を探します(同じくTSUKUMOサイトにて).現在,70TBくらいの容量が必要なので,16TBのHDDなので5台以上HDDが入る製品を考えます(もしくは,複数のHDDドライブ).

いろいろなメーカーがHDDドライブを発売していますが,今回は種類の多そうなCentury製の裸族シリーズに絞って比較します.

裸族のカプセルマンション 5Bay V2 CRCM535U32CIS:44260円.これは,HDDを5台接続できる製品です.

裸族のスカイタワー 10Bay USB3.2 Gen2 IS (CRST1035U32CIS):59800円.10台のHDDを接続できる製品です.HDD1台当たりの費用はこっちの方が安いですが,バランスが悪く耐震性を考えると却下ですね.

これらを踏まえて,70TBのデータを保管するための費用は,243,260円となります.


NAS(ネットワーク型HDD)

次に,NASを使う場合の費用を考えます.外出先からのデータアクセスを考えると,こちらの方が利便性が高いですね.また,PCから離れた場所に設置できることから,自宅内の安全性の高い場所に設置できるので,こちらの方が微々たるものですが耐震性があります...?

NASについては,Baffalo製のTerastationやSynology製品,Qnap製品などが有名どころですね.学生のころ研究室では,Baffalo製のNASを使用していました.ソフトウェア含めて結構便利でしたが,HDDを自由に選択できないこと,大容量製品はめちゃくちゃ高額になるなど,好きではありません.国内メーカーとして悲しいです.今回はSynology製のNASに絞って検討します.Synology製品は,必要になったらHDDを随時追加することが出来る点が好きです(HDDを一気に買わなくてもOK).

Synology製品のNASは,基本的にHDDを入れるケースとHDDはそれぞれ別売りです.5台のHDDを搭載することが可能なDiskStation DS1522+は121,687円でした.NASは本体以外に運用するためのソフトウェアが重要で,通常のHDDドライブと比べて,HDD1台当たりの単価が高くなります.この場合,70TBのデータを保存するためには,約32万円かかります.

メモ:一般的にNASでは,RAIDを組んでデータの冗長性を高めることが多いです.例えばRAID 1ならHDD群を半分に分けて,2つの群に同じデータを書き込みます.また,RAID 5ならば4台のHDDの内,1台をバックアップ用のHDDとして,冗長性を上げるそうです.また,RAIDを組むことで(複数のHDDに書き込むことが出来るので),HDDの書き込みが高速になります.一般的にHDDの書き込み速度は120MB程度で,1Gbit/sのネットワーク回線速度に対応します.10Gbit/sなどの高速なネットワークを使用している場合は,RAIDを組んだうえで,高速にデータを書き込み出来るようにした方が良いのですが,現在の自宅の回線速度は1Gbit/sなので関係なさそうです.


クラウドストレージ

NASは自宅でデータを管理しますが,クラウドストレージは企業のデータセンターのサーバーにデータを保存することになります.サーバーは、頑丈な立地の頑丈な建物の中で運用されているので,災害に対して自宅よりもはるかに強いです.一方で,データの運用において,遠隔地からネットワークを通じてデータをやり取りするため,回線のひっ迫度合いによって,データのやり取りにどえらい時間を要することがあります。ここでは無視して,費用だけを考えます.

個人であれば,アカウントを作った段階で付与される無料ストレージを利用することで十分なことも多いですね.例えば,Google Cloudは15GB, iCloudは5GBを無料で利用できますね.しかし,私は現在70TB程度のデータ容量を必要としています.データ容量のオーダーが全く違いますね.このような大規模データを保存するには,有料プランを利用することになります.

Dropbox
クラウドストレージとして最も有名なDropboxは,個人用Plus,プロフェッショナル向けのEssentials,チーム向けのBusiness,企業向けのBusinessPlusの4種類のプラン(有料版)を基本に,問い合わせを必要とするEnterpriseプランがあるようです.私の目的に対しては,有料プランの4種類について,ストレージの容量,最大転送可能なファイル容量,費用を比較します.Plusプラン,Essentialsプランは容量がそれぞれ2TB,3TBまでしか使えないので却下.チーム向けのBusinessプランではチーム全体で9TB~使えるということで,ストレージの容量は実質無制限となります.しかし,3人以上のユーザーが必要とのことで,合計の金額は月額4500円,年間54000円必要になります.ここで分からないことが「最大100GBのファイル転送」というものです.私の場合,1個のファイルで100GBを超えることはほぼ無いのですが,フォルダにすると1TB以上となることもざらにあります.また,それらを圧縮した際に100GBを超えることもたびたびあります.このようなファイル,フォルダを転送することが可能であれば,Dropboxはかなり割安なプランになりそうです.

GoogleDrive
GoogleDriveは,Enterpriseプランを除いて最大5TBのストレージなので,却下.Enterpriseプランでは容量無制限も可能なようです.

iCloud
iCloudは最大12TBのストレージ容量なので,こちらも却下.

OneDrive
MicrosoftのOneDriveは法人プランでも最大で1TBのストレージのようなので却下.

楽天ドライブ
楽天ドライブのビジネスプランでも,ユーザー当たりの最大容量は3TBと小さいです.

box
boxも有名ですね.boxでは,ビジネス系プランでは基本的にストレージ容量が無制限のようです.しかし,ドロップボックスと同じようにファイルのアップロード容量に差異があるようです.基本であるBusinessプランは5GB,Business Plusプランは15GB,Enterpriseプランは50GB,Enterprise Plusプランでは150GBのようです.私の場合,最低でも1ファイル15GB以上必要なので,Business Plusプランとなり,月額3135×3ユーザー=9405円となります.Dropboxよりも高くなりそうです.

Box
NTTコミュニケーションズが運営するBoxもストレージ容量が無制限となり,ファイルアップロード最大サイズでプランが区別されています(他の機能もある).Dropboxと同じ問題がありますが,最低でも1ファイル15GB以上必要です.Business Plusプランの場合,1年契約で月額3245円×5ユーザーで16225円となります.

Fleekdrive
日本のベンダーが運営するFleekdriveですが,ストレージ容量無制限の場合,かなり高額になりそうです.

fileforce
fileforceもかなり高額になりそうです.

クラウドストレージの容量無制限プランを整理
クラウドストレージの容量無制限プランの場合,私の場合には,ファイル転送時のサイズでプランが区別されることが多いようです.フォルダでの一括転送や圧縮したファイルの転送などを確認する必要があります.また,費用はDropboxが最も安価で年間54000円,国内企業のBoxの場合,194700円必要になります.

整理

最も,安全性が高いのはクラウドストレージでしょう.万が一,自宅が被災しても別の場所にあるクラウドストレージにデータが残るでしょう.バックアップを自宅に保存しておけば,データの安全性はかなり高いです.最有力候補はDropboxで私の場合,年間54000程度,国内企業のBoxの場合,年間約20万円.

しかし,自宅の被災リスクが低い場合,クラウドストレージのメリットは低くなります.私の場合,ハザードマップの浸水エリアからも大きく離れており,津波や洪水の浸水リスクは低そうです.また,自宅の耐震性も比較的高く,地震時のデータ損失リスクも高くはないでしょう.自宅の被災リスクで最も高そうなのが,火災です.自宅では,シミュレーションで24時間PCをフル稼働することも多く,急な停電やPCの転倒などから,火花が散り,火災になるかもしれません.また,住宅密集地で木造の家屋が多い地域に住んでいます.東京都の被害想定マップでも,火災時の焼失棟数がそれなりにあります.たとえ自宅で火災にならなくても,周囲の建物の火災により自宅が被災するかもしれません.NASかクラウドストレージを選択する上で,ここが一番難しい選択になります.NASの場合,約32万円で運用することが出来,Dropboxに換算すると5~6年の金額に相当し,Boxに換算すると2年弱の金額に相当します.HDDの故障リスクなども考えると,Dropboxが安全で安価と考えていますが,ただデータを預けるだけなのに外資にお金を払い続けるのも悲しいです.一方で,Boxは高価すぎます.火災の発生リスクは見通すことが難しいので,水害や地震に対して比較的安全な場所に住んでいる限りは,クラウドストレージを選択するメリットは少なそうなので,今回はクラウドストレージは却下します.

NASとHDDドライブの比較
NASの場合,約32万円.HDDドライブの場合,約25万円.どちらも24時間運用し,ネットワーク機器かPCに繋げることになります.外出先からアクセスする場合,ノートPCからリモートデスクトップで自宅のデスクトップPCにアクセスすれば,HDDドライブにアクセスすることが可能です.NASを選ぶメリットは,自動バックアップ機能などソフトウェアが比較的便利なことだけでしょう.これより,HDDドライブを使って,データを管理しようと思います.

まとめ

クラウドストレージ:自然災害リスクがそれなりにある場合.例えば,水害ハザードマップの浸水エリアに近い場合,耐震性の低い建物の場合など.
NAS:自然災害リスクが低く,複数人でデータを管理する場合
HDDドライブ:自然災害リスクが低く,一人でデータを管理する場合

🫡Dropboxに対抗する国内企業運営のクラウドストレージサービスがあれば教えてください

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