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Cinderellaでカオスを描く:グモウスキー・ミラ写像

1958年、イーゴリ・グモウスキーとクリスチャン・ミラはトゥルーズ電子科学技術・流体科学大学の研究所で非線形力学系の研究を始めました。京都大学の林研究室(上田睆亮・川上博がいた研究室)の電気電子回路の研究に注目したのはグモウスキー。1968年ごろからカオス・ストレンジアトラクタについての論文を発表しはじめます。1966年から1976年にかけて、グモウスキーはジュネーブのCERNで主任物理学者を務め、加速器あるいは蓄積リング内での粒子の横方向の運動を写像で表現し、次の式を示しました。

$${x_{n+1}=y_n +b(1-c y_n ^2)y_n+f(x_n)}$$
$${y_{n+1}=-x_n +f(x_{n+1})}$$
ここで,$${f(x)=ax+\dfrac{2(1-a)x^2}{1+x^2}}$$
または $${f(x)=ax+(1-a)x^2 e^{\frac{1-x^2}{4}}}$$

特に,1番目の $${f(x)}$$ の方を「グモウスキー・ミラの写像」として紹介されることが多いようで,「カオスCGコレクション 川上博著 サイエンス社」でもこちらを使っています。
「カオスはこうして発見された」(ラルフ・上田 共立出版)には,第7章として「グモフスキーとトゥールーズ研究グループのカオス力学前史」をクリスチャン・ミラが書いており,いくつかの図が掲載されています。

係数$${a,b,c}$$ のうち,$${c}$$は変化させても図はそれほど変わらないので,$${c=0.05}$$ とします。

リンク先を開くと,初期値として$${a=-0.495,b=0.005}$$ の図が描かれます。回数を増やすと次のようになります。3枚羽根の「神話の翼」です。

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係数$${a,b}$$ を変えると,4枚や5枚の羽になります。

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また,次のように,ストレンジアトラクタにはならず,閉曲線に収束する場合もあります。

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見出し画像は8枚羽根です。

次節:ジャパニーズアトラクタ

前節:2枚翼の写像

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