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ツイートで振り返る2021年映画&ドラマ鑑賞メモ

図らずも、さまざまな面から「性」に向き合う作品が印象的だった2021年。それは「今もどこかで起きている女性の苦難」の話であったり、「有害な男性性への制裁」の話であったり、はたまた「愛しい人との関係は性愛だけに限定されない」という話であったり。そしてまた、クリエイター個人の持つ世界観がにじみ出た作品に強く惹かれた1年でもありました。そんな中で、特に心を揺さぶった私的映画Best10と鑑賞記録を、自分の感想ツイートを掘り起こしながらまとめておきます。

映画Best10

プロミシング・ヤング・ウーマン
巧すぎる脚本、巧すぎるキャリー・マリガン。正直いまだに感想をうまくまとめられないけど、鑑賞から半年たっても各場面の映像とその時感じた「傑作だ!」という心臓の高鳴りを鮮明に思い出せる作品。決して主人公キャシーを「ただのヤバいやつ」と思わせない描き方といい、傍観者の加害性をあぶりだす展開といい、配慮が行き届きながらエンタテインメントでもあり、とにかく巧いとしか言いようがない。

隔たる世界の2人(NETFLIX短編)
現実世界のそこかしこで起き続ける数多の黒人差別問題を、タイムループする一人の主人公の人生に集約したことで、色濃く描き出すことに成功した傑作短編。「タイムループって、そういう使い方が出来たのか…!」と感嘆せざるを得ないその語りの仕組み、メッセージの表現として秀逸すぎる設定の発明と脚本にしびれる。

レミニセンス
決して褒められた作品ではないけれど、リサ・ジョイ監督の「私はこの画を見せたいんだ!」と一点突破してしまう強いビジュアルの力と「ナイロビの蜂」的物語の掛け算が心にぶっ刺さってしまいました。美しい水没都市に沈んだ信頼という名の愛の物語は、レトロでどこまでもロマンティック。レベッカ・ファーガソンが愛おしい。

DUNE 砂の惑星
ドゥ二・ヴィルヌーヴ監督の過去作では『メッセージ』が一番好きだったんですが、私はドゥ二組の様式美に対する美意識の高さが好きなんだと改めて実感。動く絵画として、プロダクションデザインから美術、衣装、ヘアメイクに至るまで完璧でした。役者陣の中では特に、気高き領主を演じたオスカー・アイザックの色気に完敗。

フリー・ガイ
近年こんなにスイートでハッピーな気分になれる映画があっただろうか?ゲーム世界のあるあるをおちょくりながらも、出てくるキャラクターたちを好きにならざるをえないあたたかな作風に心がほかほかになりました。「最後の決闘裁判」と合わせて、今年はジョディ・カマーのブレイク年。

ザ・スーサイド・スクワッド “極”悪党、集結
大集合した落ちこぼれ悪役たちに対するジェームズ・ガン監督の愛に満ちたまなざしが、作品を唯一無二のものに。スースクで見たかったのはこれなのよ!ヘンテコなヴィランを登場させても、えっ!?というタイミングでキャラが大量に死んでも、それでもどこまでも読後感はスイート。ここからスピンオフされるのがジョン・シナ演じる「ピースメイカー」ってのも最高です。

エターナルズ
新キャラ10人の数千年に渡る物語を2時間でさばきながら愛着をわかせろという難題を見事にクリアしたクロエ・ジャオ監督。セナとギルガメッシュに代表されるような、多様な関係性の美しさ・尊さを見せてくれた作品でした。役者のパーソナリティを反映したキャラクター造形も好き。物語の後半の展開は、リチャード・マッデン自身がまとう「高潔さ」に支えられていたような。

最後の決闘裁判
三幕構成のラストでべりべりと「主観」が剝ぎとられ、人の醜く愚かな面が提示される構成・演出に、リドリー・スコット監督の衰えぬ力量をあらためて痛感。この脚本を執筆し出演もするマット・デイモンとベン・アフレック、そしてあんな役を引き受けるアダム・ドライバーへも尊敬が募った作品でした。今年一番、鑑賞後に感想を読み漁った作品かもしれません。

パワー・オブ・ザ・ドッグ(NETFLIX)
「有害な男性性」を体現するかのようなカンバーバッチのキャラクターの変化(というか徐々に見えてくる内面)に見入っていると…迎えた唸るようなラスト。ただし、それは私が見えるものしか見ていなかっただけであり、すべては最初からこのポスターに描かれていました。一級のサスペンス。

ドント・ルック・アップ(NETFLIX)
この2年の混乱の間に見てきた、「政治家は全然頑張らない」「報道は視聴率には勝てない」「人はいつだって裏切る」、そんな「ああ、愚か」という学びをぎゅぎゅっと詰めこんだ皮肉たっぷりのブラックコメディ。クセの強いキャラを演じる豪華キャストの演技合戦が楽しい!

その他の鑑賞作品

イン・ザ・ハイツ 感想
チック、チック…ブーン!(NETFLIX) 感想
キングスマン ファースト・エージェント 感想
マトリックス レザレクションズ 感想
ヴェノム レット・ゼア・ビー・カーネイジ 感想
ディア・エヴァン・ハンセン 感想
007/ノー・タイム・トゥ・ダイ 感想
アナザーラウンド 感想
ハッピー・デス・デイ&ハッピー・デス・デイ・2U 感想
シャン・チー テン・リングスの伝説 感想
ファザーフッド 感想
ワイルド・スピード ジェットブレイク 感想
Mother! 感想
ブラック・ウィドウ 感想
トゥモロー・ウォー(Amazon) 感想
ジャスティス・リーグ スナイダー・カット 感想
アーミー・オブ・ザ・デッド(NETFLIX) 感想
ラブ・セカンド・サイト はじまりは初恋のおわりから 感想
イントゥ・ザ・ビート(NETFLIX) 感想
パーム・スプリングス 感想
マルコム&マリー(NETFLIX) 感想
私というパズル(NETFLIX) 感想
ラストナイト・イン・ソーホー
クルエラ
OLD オールド
ゴジラVSコング
ザ・スイッチ
モンスターハンター
スタントウーマン ハリウッドの知られざるヒーローたち
ジェントルメン
クワイエット・プレイス 破られた沈黙
13時間 ベンガジの秘密の兵士
ゲティ家の身代金
ラブ&モンスターズ(NETFLIX)
愛してるって言っておくね(NETFLIX)
ゾンビランド ダブルタップ
ニュー・ミュータント

ドラマ

どうしても10時間近い時間をまとめて確保する必要があるゆえに、ドラマはあんまり観れなかった1年。ディズニー/マーベル系を追いきれなくなってきた…観れたものをメモ。

ブリジャートン家(NETFLIX)
主演二人がとにかく魅力的に描かれていて、その恋模様を久々にきゅんとしながら追いかけた作品。「夫婦になること」「子を持つ」ことの喜びや輝きをキラキラと感じさせる作品でした。

ペーパーハウス Season5 vol.1(NETFLIX)
どんどんスケールがでかくなって頭脳戦から銃撃戦に移行したものの、その緊張感とキャラクターの魅力は健在。まさかのVol.1ラストからのクリフハンガーで始まるvol.2は、31日に年越しとともにイッキミするんだ…!

ファルコン&ウィンターソルジャー(Disney)
キャップは登場せずとも、彼が守ろうとしたものや理想とした正義の在り方がそこかしこに感じられ、そしてそれが唯一の正義なのか?と問いかけるような誠実で硬派な作風が良い。この作品を観てしまったら最後、星条旗を背負う黒人ヒーローとしてのファルコンの今後を見届けないわけにはいかない。

Sweet Home-俺と世界の絶望-(NETFLIX)
モンスターの造形が凝っていたり、日本刀を振り回す教師、という設定盛りすぎキャラクターの活躍が良かった。主人公たちの行動範囲は狭いけれど、色を使いこなした画作りでチープに見せない作品になっていました。

ラブ、デス&ロボット Season2(NETFLIX)
このシリーズにはもっとエグみと尖りを。海外のイケてるアニメスタジオ見本市としては、「氷」のような独創的なビジュアルと出会える機会としてはとても貴重な作品。

来年は人気ゲームのドラマ化「The Last of Us」もあるし、「ウエストワールド」も更新されるし、「ハンドメイズ・テイル」をそろそろHulu入りなおしてまとめて観たいし…何より、「ゲーム・オブ・スローンズ」の前日譚である「House of the Dragon」と「ロード・オブ・ザ・リング」の新ドラマシリーズがあるという、ファンタジー好きとしてはご褒美のような1年。映画はもちろん、ドラマもしっかり時間をとって観たいですね。


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