見出し画像

2022年Black Fridayで買ったUADプラグインについて(リバーブとEQ!)

 以前、ブラックフライデーで欲しいプラグインについて書きました。

 んで、実際購入したプラグインについて、書いていきます。

1 Pultec Passive EQ Collection

Pultec Passive EQ Collection

 まず最初に買ったのはPultec EQ。
 特にこのEQP-1が欲しくて買いました。ド定番ですね。

①Pultecを買った理由

 普段グライコ使っている人には「細かい操作できないEQなんてどこがいいんだ?」と思いがちですが(私も割とそうでしたが)、自由度が高いということは迷うということです。

Fabfilter Pro-Q3(グライコ) これもこれで良いEQ

 仮に「高域を少し上げよう」と思った時、どこの周波数帯からどれくらいのQで何dB上げるのか?
 アナライザーで見て、何dBだったらカットして、何dBだったらブーストするのか?
 少なくとも私は、その迷う時間よりも耳で判断してざっくりEQを決める方です。
 
視聴者はわざわざアナライザーで見て、その美しさを評価してくれたりはしませんしね。大事なのは音です。

 そういう意味では、
①Qは広い方が不自然になりにくくて重心を決めるのに適している
②操作が簡単
③少しの操作で違いがわかりやすい
 というのが大事ですが、それをすべて兼ね備えたのがPultec EQなんですね。

 他にも、掛けるだけで音像が大きくなるのが気に入っている、という理由もあります。
(UADに最初からついてくるLegasy版よりも音像が大きく、そして派手にかかるのがいいですね)

■補遺
 私はグライコも全然使います。Pro-Q3を使わないプロジェクトはないと言っていいでしょう。
 特に私の声の濁りは400Hzあたりにあるので、そういう時にさっとカットするときはよく使います。EQPだとQ幅が広すぎるので…。

②Pultec EQ(EQP-1)の使い方

 Pultec EQはいくつかのモデルが入っていますが、まだ使いこなせていませんので、EQP-1のみの使い方をご紹介します。

EQP-1 ハイのブースト部分

①この「BOOST」を良い感じになるまで上げましょう。
 終わりです。

 ……だけだとちょっと味気ないですね。
 今回は「6」の位置にしていますが、これくらいブーストされます。

EQのカーブを見られるプラグイン。フリーです。

 これを見ると、7.8kHzあたりを頂点として7.5dBくらい上がっています。
「かけすぎだよ!」と思うかもしれませんが、Q幅が非常に広いので割と自然に聞こえます。ただ重心が高域側に変わっただけという印象。
(今回はダイナミックマイクを使っているので、かなり強めにかけていますが)

 もちろんかけすぎは厳禁ですが、ほとんどのマイクはオンマイクだと低域が豊かに録れすぎるので、これで調節するのがちょうどいいですね。

■補遺
 まだ低域が発音によってボコボコしてしまい不自然ならマルチバンドコンプで低域を抑える→EQで基音をブーストするとかっこいい低域を安定して出せます。
 試してみてね!

③音の印象

 EQは掛け方で音が変わるのであまり意味はありませんが、通しただけで中域に厚みがありますね。
 また、厚くてヌケる方なので、オケが力強くても聞こえやすく扱いやすいですね。

 また、単純にヌケるまで高域ブーストしても細くならないので、脳死で「Pultecでいいやー」とできるのが楽ですね。
(もちろん、インプットの音量を適切にするのは前提で!)


2 Lexicon 480L Digital Reverb and Effects

Lexicon 480L Digital Reverb and Effects

 前も言いましたが、俺は「デジタルリバーブぅ?デジタルなんて今のPCの方が良いもん作れるッショ!」と翼くんみたいにイキッてた思ってたんですが、たぶん今までのリバーブでトップクラスの音ですね。おみそれしました。

翼くんはあかぬけたいのに」より

①Lexicon 480Lを買った理由

 前回はLexicon224が欲しいと言っていましたが、再度比べてみたら480Lの方が自然で汎用性が高いですね。いやギリギリまで悩むくらいどちらも素晴らしいものでしたが。

 224の方が絡みつくような音でバラード向きな感じがあります(似た設定でもリバーブタイムが長い気がする)。
 なんというか、「今夜はブギー・バック」の音ですね(伝わるか?伝われ)。

 一方で480Lは、絡みつくような音ながらもショートリバーブとしても不自然じゃないというか、匂い立つようなアナログ感は224よりも少ないながらどんなボーカルにでも使えていいですね。

 掛けすぎると古っぽさが出るには出るんですが、それも「アナログっぽさ」に繋がりますね。
 今っぽいYOASOBIっぽい音に混ぜるとぐっと魅力的になったり、古くささが要らないなら控えめにかけるといいでしょう。

②Lexicon 480Lの使い方

 わからん。
 難解すぎるだろ。赤本出せや。

 ただ、プリセット切り替えて後はインプットとアウトプットで音作りするだけで十分使えます。
 「VOCAL PLATE」という設定がお気に入り。

 また、Lexiconに限りませんが、リバーブは
・インプット量(センドで流す量)を少なく、アウトプットを多くする→さらっとした目立たない残響になる
・インプット量を多く、アウトプットを絞る→わりと目立つ濃いリバーブになる
 と、私は思っています(あまり言及されたのを見たことがないので、私の気のせいかもしれません)。

③音の印象

 これを掛けて歌うと「あれ?俺って歌姫?」と思いますね。
 よく女性曲とか歌うと声が細くなって「キューッ」みたいな喉が締まる音が入りますが、これを使うと悠々と歌えるというか…。

 プロの現場でもモニターにのみリバーブを掛けて返しますが、そりゃボーカルはモニターへの返しが9割を決めるのでそりゃ気持ちよく歌えるよな…と思います。

④UAD Ocean Way Studiosとの比較

 さて、以前、Ocean Way Studios(以下、OWS)を「最も美しいリバーブ」と題しました。

 しかしながら、少し認識が変わっていて、OWSは「最も自然なリバーブ」と言えるかもしれません。
 そうなんです、OWSは「元からそういう残響に聞こえる」という点で、立体感を作れるタイプ。
 分類としても「ルームシミュレータ」らしいので、「そういう部屋で録った」という印象を作ることができるものです。
(なので、混ざらない平坦な声と楽器を同じルームで設定すると混ざって立体的になってくれます)

 一方で、480Lは「まとわりつくような美しいリバーブ」と言えるでしょう。
 というか、Lexicon本家がデジタルリバーブのプラグインを出していますが、ハッキリ言ってUADのが濃密さ、美しさがダンチですね。
(もちろん、使い方次第ですが)

 ミックス時に最も魅力的なリバーブというか、2MIXの中で輝くリバーブです。
 たぶん、誰でもモニターにこのリバーブを掛けられたら「俺さ、歌うまくなってない???」ってなると思います。

3 おわりに

普段349ドルが、49ドル!

 ちなみに、Lexicon 480Lは49ドルで手に入れました。
 年末年始セールを含めても底値じゃないだろうか。
 Pultecは99ドルでした。

 本当は「UA176を買おうかな」と思ってたけど480Lがあまりに安かったのでこっちにしました。まぁコンプは実機も買っちゃったし…。

 いやしかし、リバーブは使わないこともあるので(ヒップホップボーカルではドライなミックスをすることもしばしば)、影が薄いけどやはりPultecがあってこそ、安心してリバーブを使えると考えると良い投資だと思います。

 っていうか、UADがオススメするアナログクラシックバンドルをコンプリートしてしまった。


補遺:UAD公式のオススメチャート

 UADのHPは日本語対応になっていないページも多いですが、その中でも公式が「ボーカルに使うならこれを買った方がいいぜ!」とオススメしている表があったのでご紹介します。
 これ地味に良い表だと思うんだよなぁ。
 UAD諸兄、もっと目立たせてくれよな!!!

https://help.uaudio.com/hc/en-us/articles/115005654826-Which-UAD-Plug-Ins-Should-I-Use-

縦列がプラグインの種類(コンプなど)、横列が楽器名(ボーカルなど)


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?