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不定期連載小説『YOU&I』2話

中野のグループには、中野の他に4人がいた。男性2名と女性2名。中野と國立を合わせると、ちょうど男女半々のグループとなる。

「いきなり誘っちゃってごめんね。……もしかして迷惑だったかな?」

中野は國立へ話しかける。

「……い、いや。別に迷惑では……」

國立は動揺や恥ずかしさもあり、歯切れ悪く答えた。いきなり知らない人が加入したことで、グループ内には微妙な空気が流れる。

「ま、まあまあ、なにはともあれこうして一緒のグループになったんだからよろしくね! ちなみに名前は?」

その重たい空気を察して、メンバーの一人である神田 智美が口を開いた。

「く、國立春樹です……」

「國立くんね。よろしく! ちなみに、亜希と國立くんは知り合いなの?」

神田は続けて中野に質問をする。

「う、ううん。そういう訳じゃないんだけど、ちょっと気になっちゃって……。國立くん、これからよろしくね!」

中野はそう言い、國立に笑顔を向けた。しかし國立は更に困惑する。

(気になってって、どういう意味だ? もしかして俺が一人ぼっちだから気を使ったのか? だとしたら哀れすぎるだろ……。そ、それとも気になったっていうのは別の意味が……?)

中野の「気になって」という言葉がどういう意味だったのか。國立はそのことが頭から離れない。そして、國立に向けられた中野の無邪気な笑顔は、更に國立を困惑させていた。

「そうなんだ。まあ亜希らしいっちゃ亜希らしい理由だね。あ、そうだ。せっかくだからうちらも自己紹介しない? お互い名前も知らないんじゃ課題も出来ないでしょ。私は神田 智美です。よろしくね」

どうやら神田はこのグループの仕切り役らしい。この一連の流れを見て國立はそう思った。

「……なんか急展開でまだついていけてないけど、まあ亜希の行動ならしょうがないか。俺は市ヶ谷冬真。よろしく」

続いて口を開いたのは市ヶ谷冬真。その爽やかな風貌は、その一言だけでも人気者だと分かるほどのもの。一人で過ごすことの多い國立は、自分と対象的な市ヶ谷のことを少し苦手だと感じていた。

市ヶ谷に続き、残りのメンバーが簡単な自己紹介を行い、最後に中野が口を開いた。

「私の名前は中野亜希! 急に話しかけちゃってごめんね。でも國立くんと話すことが出来て嬉しいよ! これからよろしくね!」

中野は無邪気な笑顔を再び國立へと向ける。

「よ、よろしく」

國立はその笑顔から少し顔をそらして返事をした。

「さ、これで自己紹介も終わったことだし、早速課題に取り組みましょう! 課題なんてのはさっさと終わらせるのがベストよ」

そうして神田主導のもと、國立たち課題に取り組み始めた。課題への取り組みは順調だった。仕切り役の神田が上手くメンバーをまとめ進めていく。その過程で、中野や市ヶ谷の性格も少しだけ見て取ることが出来た。

(何か凄い人気者同士って感じがするな……)

そう感じた國立は、明るいメンバーがそろっているこのグループに居心地の悪さを改めて感じる。そして授業時間もあっという間に終わり、昼休みとなった。

「やっと昼だー! このあと昼どうする? 学食でも行かない?」

神田は腕を伸ばしながらメンバーにそう提案する。

「そうだな。腹減ったし、今日は学食で食うか」

市ヶ谷もそれに賛同し、皆で学食に行くことに決まった。國立は、そのやり取りを横目で見ながら自分の荷物をまとめ一人で退席しようとする。

「あ、國立くんもどうかな? せっかくだし一緒にご飯食べない?」

そう話しかけてきたのは、やはり中野だった。

「いや、俺は大丈夫。なら、今日はありがとう」

國立はそう言うと少しだけ頭を下げ、この場から足早に去っていった。

「……なーんか暗いよね、國立くんって」

その様子を見ていた神田がそうつぶやく。

「いや、いきなり知らないグループに連れてこられちゃ、そりゃ気まずいだろ。亜希も優しいのはいいけどさ、もう少し落ち着いて行動しろよ」

市ヶ谷はそう言って國立をフォローする。

「ごめん。やっぱり迷惑だったかな? まあでも友達は多い方がいいし、これからもグループは一緒なんだから徐々に仲良くなればいいよね! よし! 学食に行こう!!」

中野は去り行く國立の後ろ姿を見ながら、笑顔でそう話した。

▶To be continued


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