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【感想】サイコ・ゴアマン

2020年 カナダ
監督 スティーブン・コスタンスキ
出演 ニタ=ジョゼ・ハンナ
   オーウェン・マイヤー
   アダム・ブルックス

あらすじ

かつて地獄の公爵と恐れられた最強宇宙人の封印を偶然解いてしまうミミとルークの兄妹。復活した怪物は早速見つけたチンピラたちをぐちゃぐちゃにして殺してしまう。
ミミたちの前に現れた怪物だったが、何か様子がおかしい。なんと、彼と一緒に封印されていた宝石をミミが手にしたことにより、怪物はミミの命令に背くことができなくなっていたのだ。
怪物を『サイコ・ゴアマン』と名づけたミミは、傍若無人に彼を下僕のように扱う。『サイコ・ゴアマン』はなんとかミミから宝石を取り返そうとするのだが、そんな彼らを遥か遠くの宇宙から見ている人物たちがいた……。

感想

Amazonレビューで謎の高得点を叩き出しているシリーズその2。

ちなみに一作目はこれ

でも、本作に関してはこの高評価はそこまで謎ではないです。藤本タツキ先生(漫画『チェーンソーマン』の人)がめっちゃおもしれぇとイラストまで描いたもんだから、それに釣られて高評価になってるだけだと思います。

ふーん、そんなこと言うってことはあんま面白くないの? と思われるかもしれませんが、ご安心ください。めっちゃおもしれぇよ。

本作ですが、鑑賞を終えてどのキャラクターが心に残ったかと言うと、タイトルを飾る『サイコ・ゴアマン』ではなく、主人公の少女であるミミなんです。サイコ・ゴアマンよりもよっぽどサイコ。恐怖という感情を母親のお腹の中に置き忘れてきたのか、どんなグロテスクな場面になっても彼女は悲鳴ひとつあげません。行動原理はただひとつ、唯我独尊

もうね、B級映画でもなければぶん殴られててもおかしくないキャラクターなわけでして。子供らしい無邪気さと言えば聞こえはいいかもしれませんが、やってることは凶悪そのもの。冗談まじりにサイコ・ゴアマンに弟を殺させようとしたり、転がってきた生首を悪態ついて蹴飛ばしたり。

素晴らしいのが、そんなミミを100%表現しているしている子役の演技力。大人でもあそこまでキレのある憎たらしい演技は中々できないと思う。彼女の熱演あってか、ミミはヤベェ奴なんだけど、でも笑って見られる感じになってる。もしかしたら、演技じゃなくてあれが素なんじゃ? とすら思える自然さなんです。

映画の内容も、もちろん低予算なんで荒いっちゃ荒いんですが、監督の癖を惜しげもなく出していて、あぁ好きなもの作ってるなってのが伝わってきました。サイコ・ゴアマンを封印していた謎の評議会みたいな組織、一人一人がグロテスクで造形へのこだわりが感じられる容姿なんだけど、中身はめっちゃ小心者でコメディリリーフなのとかめっちゃ好きです。

あとは終盤のバトルシーン。完全に雰囲気がニチアサなんですよ。特撮です特撮。剣で切ったら謎の火花が散るところとか、もうね。あとは至るところに散りばめられたこだわりのゴア表現とか、本当に好きなものを詰め込んで作られた監督のランチボックスみたいな映画だなって思いました。決して万人受けはしないけど、『刺さる人に刺され!』ってのがひしひしと感じられます。

まとめ・ゴアマン。『本当に恐ろしいのは人間』を地でいく悪魔の少女ミミを楽しむ一作。随所に感じられる監督の性癖をあなたは受け止められるか、な映画でした。

以上、B級映画の世界はまだまだ底が見えませんね。お疲れ様でした。

視聴:アマプラ

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