人生の停滞期は右往左往したっていいんだな|二拠点生活がはじまる前
2023年2月某日、会社を退職した。
長い間 同じ組織に属していることによる停滞を感じていた。
分譲マンションにひとりで暮らしていた。
四十歳になっていた…!
毎朝 決まった時間の満員電車も、毎晩 足早に歩く帰り道も、
ひとりでささっと済ませる外食も、たまに参加する飲み会も、
コンビニで新商品のスイーツを買うプチ贅沢も、
休日はNetflixのドラマをBGMに家事をし、スマホ片手に昼寝をして、
うっかり夕方になっていることも…
都市部で暮らす社会人にはよくある、けっして悪くはないこの日常。
(いや、本当にこのままでいいの…?)
わたしは、わたしを激変させたいと思った。
独立しよう。そして、「新しい自分」を見つけよう。
3月、個人事業主のはじまり。
会社を辞めた翌日から自宅が職場になった。
自由な時間が増える分、怠惰な暮らしにならないように、
緻密なスケジュールを組み、習い事もはじめることにした。
「新しい自分」が見えてくるかもしれない。
まずは体力づくりのために、チョコザップを契約。
自炊をするために、オイシックスを契約。
知見を広げるために、商工会議所のオンラインセミナーに参加。
人脈を広げるために、女性起業支援のイベントに参加。
次々と予定を入れていく。
世の中って不思議で クセ強めの眼鏡ばかりを揃えているのに、
たくさんの受注を頂き、猛烈に忙しくなった。
体力の限界ッ、気力も限界!ジムは幽霊会員化、届いた食材は腐敗、自己肯定感が下がるばかりのスタートだった。
4月、疲労困憊から選択と集中に切り替える。
今のわたしには「新しい自分」を見つける余裕なんてものはなく、
「今の自分」の目の前にある事業に集中すべきだ!と考えを改めた。
ひとり黙々と眼鏡の制作と納品、商品企画に向き合う日々。
5月、続・疲労困憊。
6月、多忙で病み、温泉に行った。
軽く病んだわたしに気がついたパートナー(別居/激務)が車を100㎞以上走らせ、山間の温泉に連れて行ってくれた。自然の力で一瞬で元気になった。
7月、猛暑で引きこもり。セーブすることも覚えた。
わたしの「働き方・暮らし方」は職住接近どころか職住一体。
事務所費も通勤時間もなし。合理的ではあるけど、受け身でいると世界が狭くなる。五感から?刺激が受けられるような…
「新しい自分」ではなく「新しい何か」を再び考えはじめた。
8月、名案!二拠点生活をしてみよう。
生活圏から100km以上離れると気分転換になることを体感したわたしは、突如 閃いた。
全埼玉県民の憧れ…
「海辺で暮らす」
海といったら千葉県の房総半島。
ザ昭和な民宿をDIYしたシェアハウスを見つけて、さっそく内見の予約を入れる。電車を乗り継ぎ移動すること3時間。距離120km。
駅に一つしかない改札を通り、歩いていると、おじいさんが家と家の隙間の細~い道に入っていく姿が見えた。
(私道かな?通っていいのかな?)
細い道を抜けると、わたしの全視界にきらきらの海が飛び込んできた。
この海辺で暮らしてみよう。
シェアハウスを内見する前に心が決まった。
「新しいチャレンジ」だ。
海からあがって木陰で休憩中らしきアフリカ系お兄さんに声をかけられた。
え?なんでこんな田舎に?出身はカメルーン?やっぱりサッカー好き?
つづく。
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