カンタヴィルの幽霊/スフィンクス、オスカーワイルド、光文社古典新訳文庫

短編集

アーサー・サヴィル卿の犯罪
・手相占い師に、あなたは殺人を犯すと言われたことを間に受けて、結婚する前にあの手この手で殺人をしようとするも失敗が続くアーサー卿。やがて、夜道でその占い師を見かけた時に、チャンスと見て占い師を殺し、シヴィルという妻を手に入れた、と思い込んでいる人の話。

カンタヴィルの幽霊
・館に住み着いた幽霊が、アメリカ合理主義的な生き方をするオーティス家の住人に逆に脅かされたりけなされたりしながら復讐を企てる話。しかし、あまりにもバカにされすぎていて不憫というか、かわいそうになってくる。読後感として、あの幽霊は結局なんだったのか?という思いが生じるが、作品としてのまとまり感はある。


秘密のないスフィンクス
・一人、借りている部屋で座って読書をしたりする習慣のある貴婦人。その人に興味を持った主人公の貴族は、結局その貴婦人が何故そんなことをしているのかわからないうちに、婦人の訃報を聞く。そして、秘密のないスフィンクスだったのかと煩悶する。

模範的億万長者
・億万長者がモデルとして乞食の役をやっていたところを見た主人公が、1ポンドを億万長者に渡す。その後、億万長者から結婚祝いで多額のお金をもらう、という寓意的な話。

解説より
・オスカーワイルドと深い友情で結ばれていたエイダ・レヴァーソンのことを、ワイルドはスフィンクスと呼んでいたよう。エイダは裕福なユダヤ人の娘で、ダイヤモンド商人と結婚し、エイダのサロンには当時の文壇の大スターであるワイルドも頻繁に訪れていたようである。

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