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『短くて恐ろしいフィルの時代』を読み終えた。

後書きに

ときおり胸に刺さる物語の面白さに身を委ねていただくのが一番ではないかと思う。

と書かれているけれど、胸に突っかかる何かをなしに読むことはできなかった。

独裁者はどんな時代にもいるような気がする。

今の状況を考えるとまさにそうだ。

自己を肯定化し、異なる他者を淘汰する。

そうすることを肯定化する。

その理由を言葉巧みに説明する。

外堀を固め、誰も声を上げられなくする。

声を上げたものは異質物とみなされる。

作者によると、フィルは

あまたの独裁者たちからエッセンスを抽出して作られた、いわば”独裁者の最大公約数”である

この本は面白かったけど、考えさせられる作品だった。

この本は、世界を過度に単純化し、〈他者〉とみなしたものを根絶やしにしたがる人間のエゴにまつわる物語なのです、私たち一人ひとりの中に、フィルはいます。

自分という人間の生き方を今一度考えて、自分のエゴを見つめて生きていきたい。

それでもやっぱり面白かったかな。

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