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第1回創作大賞受賞作「好感度上昇サプリ」の裏側──原作者・目からウロコさん×テレビ東京プロデューサー・松本拓さん

現在noteでは投稿コンテスト「創作大賞」を開催中です。第2回となる今回は、13の編集部に協賛いただき、優秀作品は書籍化や連載など、クリエイターの活躍を後押ししていきます。

5月22日(月)には、「好感度上昇サプリ」で第1回優秀作品賞を受賞した目からウロコさんと、昨年の審査員を務め、現在テレビ東京で放送中のドラマ「好感度上昇サプリ」のプロデューサーである松本拓さんをお招きしたTwitterスペースを配信しました。

小説執筆やドラマ制作の裏側、5月28日(日)に最終回を迎えるドラマの見どころなどをうかがいました。

▼配信のアーカイブは下記よりお聴きいただけます。

小説「好感度上昇サプリ」ができるまで

競争社会で戦ってきた自分の人生を見つめ直した

── 目からウロコさんは普段はなにをされていて、どんなきっかけで創作を始めたんでしょうか?

目からウロコさん(以下、ウロコ) 私は普段は会社員として、人事の仕事をやっています。実は元々、小説や本が好きだったというわけではないんです。大学を出て、社会人をやっていたんですが、海外に駐在する機会があり、そこで一度自分の人生を見つめ直すことがあって。なにか自分のやりたいことをやってみようと思って探し始めました。そこから創作活動にたどり着いて、たまたま創作大賞でご縁をいただいたという流れになります。

── 松本さんはテレビ東京でドラマのプロデューサーをされていらっしゃいますが、これまでに作品を担当されてきたのですか?

松本拓さん(以下、松本) ドラマをやってかれこれ10年ぐらいになりますが、一番長くやったのが小泉孝太郎さん主演の『警視庁ゼロ係』シリーズ。あとは深夜枠で『銀と金』や『ただ離婚してないだけ』、グルメドラマだと『ゲキカラドウ』や、先日シーズン2の7月放送が発表されたばかりの栗山千明さん主演『晩酌の流儀』を担当してきました。

── バラエティ豊かなドラマを担当されてきたんですね。松本さんが目からウロコさんの作品をどう評価したのか、といったお話ものちほどお聞きできればと思います。まずは目からウロコさんが創作を始めた経緯を、もう少し深掘りしておうかがいできますか。

ウロコ 話は幼少期ぐらいまで遡ってしまうんですが、物心ついた頃から、けっこう競争的な環境にいまして。たとえば中学受験や大学受験もそうですし、就職活動、会社に入ってからも出世競争みたいなものにずっとさらされていたんですね。

その中で、昔は「競争に勝てば幸せになれるんじゃないか」と考えてたんです。実際、海外駐在をある程度若い年次で手にすることもできたんですが、そのときに「全然幸せじゃないな」と感じることがあって。ちょっと鬱気味になってしまった時期もあり、「自分の人生、間違っていたんじゃないかな」と思い、どうすれば幸せになれるかを探し始めました。

ただ、最初は自分のやりたいことが本当にわからなかったので、いろいろ模索していました。友人の起業を手伝っていたときに、一人の絵本作家さんとお会いして、話をしているうちに、「自分がやりたいことって、こういう表現なのかもしれない」と思って、創作活動に辿り着いたんです。

そこから、イラストや絵本を書いたり、手当たり次第に公募系のものに応募したりしていたんですが、その中で創作大賞をみつけて、自分の自伝的なかたちで小説を書いてみたのが「好感度上昇サプリ」でした。

── 「小説が好きだったわけじゃない」とおっしゃってましたが、小説を読まないのに書いてみるって、いきなり大きなジャンプアップがあると思うのですが、なぜ小説がしっくりきたんでしょうか?

ウロコ そうですね、エッセイでもよかったのかもしれないんですけど、エッセイで書くには個人的に生々しすぎたところがあって、ちょっと距離を置きたかったっていうのがあったかもしれないです。

なにもできていなかった頃の自分を主人公に投影

── 「好感度上昇サプリ」は、冴えないサラリーマンの主人公がサプリを飲むことで、自分や他人の好感度が数値として見えるようになり、そこから好感度を上げていく努力をして……というようなお話です。自分の経験をきっかけに作品をつくったということですが、「好感度」というテーマにつながった過程もおうかがいできますか。

ウロコ なんで好感度に行き着いたというと、私がずっと競争社会にいたことが大きく関係しています。「なんで競争に勝ちたかったんだろう」と考えてみたときに、勝った結果として人からの好感というか、評価みたいなものがほしかったんだろうなって。

その経験を考えたときに、好感度や他人からの評価を気にして、自分は苦しんでいたんだなということに気づいたので、これをテーマにして作品をつくろうと思いました。

── 主人公のサラリーマン・谷村には、目からウロコさんご自身がけっこう投影されているんですか?

ウロコ そうですね、投影されてる部分は多いですね。私は社会人になってからは周りの縁もあって、それなりに結果みたいなものは出せていたんですけど、それ以前はまったくそんなことはなくて。社会人のときも、人のおかげでなんとかなってただけだなって思うと、結局なにもできない自分というのが、本当の姿だったんじゃないかなと思って。それを谷村に投影していた感じですね。

あとは、後藤というライバルみたいな同期が出てきたりしますが、そういったところも知人や同僚、自分が見てきた光景を活かしてつくりました。

書きたいものを、いっきに書き切った

── ストーリーをつくるときには、プロットや起承転結を緻密に考えてつくっていったんでしょうか?

ウロコ 当時はまったくそれは考えてなくて。ただ、私自身の経験を投影しようとは思っていたので、上げたあとに、とことん落としたいっていうところだけは考えていました。

── それが、駐在したときに(気持ちが)落ちてしまったご自身の経験ということなんですね。なにか他の小説を読んで書き方の参考にしたり、小説の書き方のような本で勉強したりはしたんですか?

ウロコ しようとはしたんですけど、続かなくて……。途中で「書こう!」と思って書いてしまいました。

── それで最後まで一気に書けた?

ウロコ そうですね。2万字くらいでしたけど、3、4日で書いてしまいました。意外と書き始めたら、スルスルと書けて。いま読み返すと、誤字脱字もけっこう多いんですけど。

── そこから創作大賞に応募されて、受賞に至ったのですが、応募するときには「これで小説家としてデビューしたい」「ドラマ化したい」といった野望的なものはあったんですか?

ウロコ ゼロと言うと嘘になるんですけど、実は当時はあまりなくて。どちらかというと、どうやったら自分がスッキリするかを探してた感じですね。ずっとくすぶっていた感情だったので。

── 質問で、「こういうところがよかった(受賞につながった)んだなとご自身で感じる心構えやポイントみたいなものがあれば教えてください」というものが来ています。いま振り返って、思うことがあれば教えてください。

ウロコ やっぱり書きたいものを書く、っていうところだと思います。たとえば書き方とかテーマの選び方とか、いろいろ(テクニックが)あると思うんですけど、最終的に気持ちが乗り続けるのって、やっぱり自分が本当に書きたいものを書いてるときだなと。 そこが一番大事かなと個人的には思います。

ドラマ「好感度上昇サプリ」ができるまで

タイトルとシンプルさに惹かれた

── 昨年の創作大賞で松本さんには、テレビ東京の審査員としてご参加いただきました。「好感度上昇サプリ」を推薦した理由をおうかがいいできますか。

松本 まずタイトルがとてもいいですよね。ドラマも一緒なんですけど、タイトルである程度引き込まれないと視聴者って観てくれない。いろんな作品を創作大賞の審査員として読ませていただいて、単純にタイトルだけ見て一番興味を引かれました。

読んでみると、物語が10あるとしたら、最初の3の部分でけっこう引き込まれるんですよね。サプリを飲んだら数値化されるって、すごいシンプルで単純なんですけど、なかなか発想として思いつかなかったなって。世の中で流行ってるものって大体シンプルですよね。だから3割ぐらい読んで、「あ、これかな」っていう気はしつつも、最後まで読ませていただきました。

僕もサラリーマンで、会社で生きてると、好感度でいろいろなものが組成されてるなと思うところがあり。なにごとも「あの人はあの人に好かれてるから」とか。そして、好感度というものによって消されている個性もいっぱいあると思うし、そういうテーマのものをいつかドラマ化したいな、なんて思っていた矢先にこの原作に出会った。

なので、自分の中で映像化する絵も浮かびやすかったです。連ドラにするにあたっての膨らませ方も、容易に想像ができた。五角形(レーダーチャート)があったとしたら、いろいろな要素で数字が高いなという気がしました。

登場人物を掘り下げることで、ストーリーを膨らませた

── 「膨らませる絵が浮かんだ」ということですが、投稿された作品は 2万字くらいで、連ドラにするにはちょっと短いかなと思います。単発ではなくて連ドラにした理由はありますか?

松本 今回は30分×4本のドラマにしたので、2時間の単発ドラマにするという考え方もあるんですけど、原作にはいわゆるブリッジが効いてる箇所が多くて。サプリを飲んだらどうなるのか?とか、好感度が上がったらどうなっちゃうのか?って、次への期待感とか、視聴意欲みたいなものを、連ドラとしてつなげられるなと思いました。

いい作品は、引っ張りがちゃんとつくれるんですよね。だから30分×4本っていうフレームはちょうどいいかなと。

── 目からウロコさん自身は、書いてるときにはそういうことはあまり意図せず、自然にやっていた?

ウロコ 冗長に書くことが苦手なので、展開はつくりたいなと思って書いていたかもしれないです。

── そこから、脚本家さんが入り、ドラマの脚本をつくるにあたり、どういう風に膨らませていったのかもお聞きしたいです。

松本 すでにあるストーリーに無理やり肉付けして膨らませるのはなかなか難しくて、それよりも、それぞれの登場人物を掘り下げていくと自然とストーリーが膨らんでいきます。

今回でいうと、長谷川(主人公の幼馴染役)や佳奈(ライバルの彼女役)を膨らませたり。新しくYouTuberのNORIっていう人間をつくってみたり。ベースのストーリーがしっかりできているので、主人公の谷村も含めて、深掘りしていくと自然と物語が膨らんでいった感じでしたね。

左から、斉藤佳奈役・生駒里奈さん/谷村雄二役・三浦貴大さん/長谷川拓也役・山口大地さん/NORI役・久保田かずのぶさん

── YouTuberのNORIを登場させることにしたのは?

松本 いわゆるラスボスですよね。『半沢直樹』でいうと大和田常務みたいな。主人公の到達地点をつくるにあたって、スタート地点の主人公の対局にいる人物が必要だなと。連ドラのセオリー的なところでもありますが。

今回は好感度という数字がテーマだったので、登録者数という数字が見えやすい人ということで、YouTuberを置いてみました。

── 幼馴染の長谷川も、原作よりも存在感が増していた印象があります。

松本 これもありがちですけど、親友みたいな人が離れていくというのも、膨らませポイントですね。長谷川のような、好感度サプリとは無縁の存在、そういう次元では生きていない人間が離れていって、最後に戻ってくるっていうのがドラマにおいては効果的に働くなと思いました。

── 脚本づくりの過程に、目からウロコさんも参加していたんですか?

ウロコ 最初に一度、松本さんと脚本の安里麻里さんと、監督の角田恭弥さんと打ち合わせをしたんですけど、そこまでの話は実はしてなくて。 私からお伝えしたのは、「テーマ性を大事にしていただければ、もうあとはお任せします」と。

── ドラマチームに託した感じなんですね。

ウロコ そうですね。打ち合わせで印象的だったのが、私自身の過去の話だったり、けっこう深い話をしたことで。そういったエピソードを拾って、実際にドラマに入れ込んでいただいたりしました。

展開がある作品は、連続ドラマにしやすい

── 今回の創作大賞には漫画原作部門もありますし、書籍化の先に映像化などを目指している方も多いと思いますが、映像などに展開しやすい原作に共通点はありますか?

松本 そうですね、抑揚がしっかりある物語ですかね。抑揚っていうとちょっと抽象的ですけど、 「コトがしっかり起きる」というか。60分のドラマって、山は一つだけではなく、何個もあるんです。60分の中にその山をつくりやすいものがいいかなと思います。

ざっくり言ってしまうと、キャラクターがおもしろいとか、展開がしっかり転がってるとか、1話を10に分けたときに1と5がしっかりリンクしてるとか。なにか起きていれば、こことここの間にこれを入れてみようかなってパズルができるんですけど、平坦なストーリーだとそのままなんですよね。

そういう意味では、「好感度上昇サプリ」は本当にストーリーが展開させやすかったです。ベースの原作が展開してるんで、そこに一つ二つ加えていくという作業は、非常にやりやすかったですね。

── 目からウロコさんはドラマを観てどう感じましたか?

ウロコ 正直に「すごいな」って思いました。私の頭の中にあったぼやぼやした世界が、実体になってる、なんだこれは、みたいな感じでまず衝撃を受けました。そのあとは、敬意や尊重みたいな気持ちが強くて、松本さんはじめ、制作された方々もそうですし、俳優のみなさんもすごいなって。実体のなかったものに実体を与える、その表現力みたいなところに、頭が下がったというか、「すごいな」って本当に思いました。

── 小説では登場人物の心情なんかは描かれていますが、造形はあまり詳細には描かれてなかったと思います。思い描いていた主人公のイメージと、三浦さんが演じる主人公は一致していましたか?

ウロコ 谷村の顔がどうとかって、元々あまり考えていなくて。でも「こんな感じだろうな」って思ってたのが、三浦さんを見たときに「この人だ」って思った感覚はありましたね。

視聴率という「好感度」に再び囚われて……

── 5月22日現在、ドラマは地上波で第3話まで放送されていますが、視聴者の反響はどんな感じですか?

松本 ツイートってどちらかというと、役者に向けられる言葉のほうが多かったりするんですけど、今回は「内容がおもしろい」っていう声をすごくいただけて、それが一番嬉しいですね。

── 視聴率やSNSの反響など、まさに好感度的なものが数値化されていますが、目からウロコさんはどう捉えていらっしゃいますか?

ウロコ ぶっちゃけた話になってしまうんですけど、作品を書いたときに、そういったものとは決別したと自分の中で思ってたんですが、見事にハマりまして。観てくれた人はどう思うのかな、というのはやっぱり気になってしまって、ゴールデンウィーク中はそれにずっと囚われてしまったんです。

noteで「あとがき」を書いたんですが、元の上司から「お前、同じこと繰り返してないか」と指摘をもらって、目が覚めたのが先週とかの話でして。気にしすぎるのはよくないなと、あらためて「適切な距離を取ろう」と思ってます。

── 作品を書いて昇華したはずの気持ちが、また芽生えてしまったと。

ウロコ そうですね。同じ轍を踏むとは思わなかったです(笑)。

創作活動について

目から鱗が落ちるような本質をえぐる作品を書きたい

── 本作品に関しては、ドラマ化されたことでひと段落かなと思いますが、今後どんな作品をつくっていきたいかという展望があれば教えてください。

ウロコ 大きなところで言うと、初心を忘れかけてた自分がいたので、初心のままにまた活動していこうかなと思ってます。振り返ってみると、当時は自分の今までの経験を吐き出してスッキリするかたちで、自分の書きたいものを書いていたので。今後もそれを続けていきたいなと思ってます。

ただ元々、小説に行き着いたのは紆余曲折を経てだったので、正直まだ自分自身、小説というかたちがベストかどうかがわかってないんですよ。 だから、短いものを書いたり、長いものを書いたり、いろいろ試しながら、自分に合うかたちや文体を見つけていこうかなと。

テーマとしては、私が経験してきたような──ペンネームの由来にもなってるんですけれど、「目から鱗が落ちるような本質をえぐるもの」を書かなければと思っています。

── コンテストにもまたチャレンジしようと思っていらっしゃいますか?

ウロコ はい、そうですね。初心に戻って本当に書きたいものを書きたいので、コンテストのために書くようなことはしないかもしれませんが、書きたいものを書き溜めて、いろんな コンテストに応募したりはしていこうかなと思ってます。

── 松本さんはさきほど、「好感度上昇サプリ」は自分が元々つくりたいと思っていたテーマとぴったり合ったとおっしゃっていましたが、今後つくってみたい題材やテーマはありますか?

松本 めちゃくちゃ抽象的なことを言うと、人って「差」があるじゃないですか。容姿も性格も身分も経済力も差があって、どうしようもない部分もあると思うんですが、「なんでその差が生まれるのか」とか、そういう差をテーマにしたドラマをやってみたいなと思います。

今回だと「サプリ」というのが一つの土俵になってますが、そうした差をどういう土俵でドラマにするのかっていうのは、なかなか難しかったりもするんですけど。近いうちにそういう作品が出てきたりすると嬉しいですね。

── テレビ東京でドラマ化したいと思っている人がいたら、そういう作品を書いたら松本さんに届くかもしれないということですね。

「創作大賞」の応募者へ向けたアドバイス

── 今日お聞きいただいている方は、創作大賞を含めてコンテストにチャレンジしようと思っている方や、創作を仕事にしていきたいと考えている方が多いと思うので、お二人からアドバイスをいただけますか。

ウロコ やっぱり書いてて楽しいというのが、一番大事だと思ってます。書いてるときには辛かったり、「字数が足りない」とかいうのは絶対あると思うんですけど、それもありつつも、楽しさのほうが勝るように書けるのが一番いいかなと思います。

私自身も、書いているときはほんと辛くて、「はやく主人公を殺したいな」と思うこともけっこうあるんですけど(笑)。そこは我慢して書いて、それで書き上げたときにある種の感動、スッキリ感みたいなものが自分の中で生まれると思うので、そういったところを大事にしていただけると、ご自身が納得する作品ができるのかなって思いました。

── 書いてるうちに筆が止まったり、「あれ、おもしろくないんじゃないか?」って迷うこともあると思うんですが、そういうときはどうされますか?

ウロコ 時間を置くか、全部リセットしてしまうかどちらかですね。一度ちょっと距離を取ってみて、それでまだ書きたくなかったらたぶん書きたくないんだろうなって、書くのやめますかね。

── 途中まで書いたのにもったいない、と思ってしまいそうですが、そこはスパッと捨てられる?

ウロコ そうですね、一度寝かせることも大事かなと思ってまして。自分の心の持ちようとかコンディションに合わせて、書きたいものもけっこう変わってくるかなと思ってるんで。またもしかしたら書きたいときが来るかもしれないし、二度と来ないかもしれないですけど、距離を取ることで、「こうしたら書きたいかも」というのが見つかったりするかもしれないなと思ってます。

── 松本さんもお願いします。

松本 創作って、皆さん一人でやってるからすごいなって思います。僕らって、ドラマをつくるときも5人くらいで、ああだこうだ言いながらつくるんで。だからアドバイスとか以前に、なにかゼロイチで一人でものをつくる人を、僕は尊敬します。創作って難しいことであり、苦しいことでもあると思うので、まずは誇りを持っていただきたいなと思います。

目からウロコさんもおっしゃってましたが、大事なのは本当に自分が書きたいことですよね。仕事も一緒だと思うんですけど、土日でもやりたいような仕事に就けてたら、人生ハッピーだなって思いますし。僕らも企画書を書いても、自分のやりたいことはすごい筆が進むんですけど、会社に言われたお題に合わせてつくると1 ページも書けない、みたいなことも多くて。

自分の個性や得意なこと、持ち合わせるもののなかで、そういうのが見つかるといいですよね。このジャンルなら勝負できるとか、こういう題材だったら勝負できるみたいなものが自分の中で見つかるといいんじゃないかなと思います。

ドラマ最終回の見どころ

──最後に、「好感度上昇サプリ」のドラマの最終回が5月28日(日)深夜に放送予定ということで、「ここは注目してほしい」という ポイントを教えてください。

松本 谷村の行き着く先ですかね。この物語の着地点はここしかないなって、僕の中で思ってて、それがドラマのラストで描かれるので。頭上の数字っていうものと、その数字が意味するものはなんだというところと、彼の行き着く地点とのリンクを見て、「なるほどな」と思っていただけるんじゃないかと思っています。

ウロコ 私はあえて原作にはなかった部分をお伝えしようと思います。谷村以外のキャラクターの行き着く先というか、長谷川もそうですし、佳奈もそうですし、それぞれのキャラクターがどういう風に変化していくかってところは、まさに小説ではスポットを当てなかった部分なので、ぜひドラマでお楽しみください。

写真左から、松本拓さん、目からウロコさん、noteディレクター 志村(司会)

目からウロコ
東京生まれ。大学卒業後、大手メーカーに就職。駐在先のオランダで生き方を再構築した結果、創作活動に行き着く。処女作『好感度上昇サプリ』が、 note主催の創作大賞で優秀作品賞を受賞。note / Twitter

松本拓
株式会社テレビ東京 配信ビジネス局
2009年、テレビ東京入社。営業局に5年半務めたあと、ドラマのプロデューサーに。これまで担当したドラマは『警視庁ゼロ係シリーズ』(2016年~)、『銀と金』(17年)、『天』(18年)、『きのう何食べた?』(19年)、『ゲキカラドウ』(20年)、『ただ離婚してないだけ』(21年)など。2018年には映画『サクらんぼの恋』も手がけた。

ドラマ「好感度上昇サプリ」について

「あなたは人に好かれていますか?」⸺ 出版社の営業として働く谷村(三浦貴大)は、学生時代から地味で、何事もうまくいかない……。そんな自己肯定感の低い人生を送っていたある日、SNSの画面に流れてきた「好感度サプリ」という広告を偶然見つけ、興味本位でサプリの服用を開始することに。すると、自分の頭上に突如、数字が出現。

⸺その数字はなんと、“自分に好感を持つ人間の数”を表す数字だった! 出版社の営業として働く地味でさえない主人公・谷村雄二役を、三浦貴大さん。谷村が所属する営業部の同僚で、ライバルの彼女でもある斉藤加奈役を、生駒里奈さんが演じます。

最終話は5月28日(日)深夜1時35分、テレビ東京で放送(※放送時間は変更となる可能性があります)。TVerで見逃し配信も実施中

公式Twitter(公式ハッシュタグ:#好サプ)

「創作大賞」について

インターネットでの創作すべてを対象にした、日本最大級の投稿コンテストです。第2回となる今年は、出版社の13編集部に協力いただいています。

協賛編集部:
朝日新聞出版、富士見L文庫(KADOKAWA)、メディアワークス文庫(KADOKAWA)、幻冬舎、幻冬舎コミックス、Palcy(講談社)、JUMP j BOOKS(集英社)、マンガMee(集英社)、新潮文庫nex、文藝春秋 コミック編集部、別冊文藝春秋、ポプラ社 文芸編集部、ポプラ文庫ピュアフル

応募は7月17日まで。募集部門などの詳細は、特設ページをご覧ください。

協賛編集部をお呼びした「#創作大賞RADIO」は毎週木曜20:00〜配信中です。


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