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地方の小さい会社が「採用」で学んだこと【後編】

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前回の記事では、「就職します」と言って辞めていったスタッフのお話や「小遣い稼ぎ」程度に思われてしまった話など、採用に関してショックを受けた失敗談についてお届けしました。

今回はそんな採用状況に転機が訪れたコロナ禍と、その後の社内の変化、自分の考え方の変化についてお伝えします。


スタッフ採用後2ヶ月でコロナ禍に。危機的状況で助けてくれたのはスタッフだった

採用での苦い経験を経て、スタッフとの関係性が大きく変わったのが「コロナ」でした。今当社で重要な役割をになってくれているスタッフもこの頃採用した方々です。

コロナ発生の2ヶ月ほど前に、スタッフ1人採用しました。直後にコロナになり、イベント業が立ち行かない状況になった当初は、採用しなかったほうがよかったのではないか、と思ったりもしていました。

コロナ2年目の時でした。自分の貯金も、会社のお金も底をつきそうで、とにかく売り上げを立てようと、必死になっていた矢先、母が癌になって手術を受けることになりました。

その当時は、コロナ禍で国間の移動は隔離期間がありました。中国に着いてから3週間隔離、日本に戻ってから1週間の隔離。隔離だけで1ヶ月。さらに看病期間を入れると最低でも2ヶ月ほど会社を開けることになります。そもそも、仕事がないし、資金も底つきそうな状況だったので、そこで初めて、会社を閉じようかと考えました。

八方塞がりだったため、開き直って、スタッフを集めて正直に経営状況と母の病気のことと、すべてを打ち明けました。今のままだとこの会社は半年しか持たないこと、コロナは終わらず、今後もイベント業再開の見込みはないかもしれないこと、申し訳ないけど会社を閉じた方がいいかと考えていますっと。

その時です。

スタッフから、「会社を閉じるとしても、今日明日でできることではないですから、まずは中国に帰って、お母さんの看病してはどうでしょうか?」「仕事も少ないから、いない間は我々だけで会社回しますよ」「戻ってきて閉じるとなれば、みんなで閉じよう。気持ちが変わり、やはり続けていきたいとなれば、みんなで一緒に続ける方法を考えよう」と言ってくれたんです。

コーヒーショップで話してましたが、人と目を気にせず、大号泣していたのは今でも覚えています。この時、覚悟が決まったように思います。

運転資金用の通帳を作って、それをスタッフに託しました。帰ってくるまで、3〜4ヶ月会社を任せたのです。

結果3ヶ月ほど会社を開けました。お陰様で母の手術は成功し、いつもの日常が戻りました。スタッフの言う通り、気持ちが変わり、日本に帰国後、この記事にもあるように、私が好きな中国茶をヒントに、お茶の新規事業を始め、今ではメインの事業にまでなってきています。

たくさんの失敗もしてきましたが、やっとここで一緒にやっていく「仲間」に出会えた気がしました。同時に、今まではなかった結束力のようなものを感じ始めました。

仲間だからこそ。スタッフに対してポジもネガもオープンに

他にもこの頃から変わってきたことがあります。一つは、リアルな数字を含めて、ポジもネガも全て開示することです。

それまでは、私1人で営業して、案件が決まったらスタッフに入ってもらい一緒に仕上げると言うやり方でしたので、特に売上や利益などの数字は共有することなかったです。クライアント情報も開示せずに、どこか、知られたくないと思う部分もありました。
でも、この頃をさかいに、月一定例会を開催し、スタッフにクライアント情報、営業数字、利益、原価、、、など全て共有するようにしています。雇用関係から、仲間に変わったからだと思います。現状を示すことで、みんなの気持ちが一つになって、みんなで良くしていく方向に動くようになります。

もう一つは、任せることです。これが実は1番難しいです。自分の会社や商品は自分の子どものようなものです。自分じゃないとダメだと思っているからです。
最初は、正直いろいろ不安でした。人に任せると、クライアントに不適切な対応をしたらどうしよう、イベントの現場で行き届かないことがあったらどうしよう、売れたかったらどうしよう、、、などいろいろ想像してしまいます。でも、実際やってみると、イベントでは、クライアントと仕様を詰めて、スタッフの手配〜当日の運営までしっかりやってくれます。お茶の販売と言えば、元々販売スキルがない私に比べると、何倍も手慣れしていて、売り上手です。今では、ポップアップの施設交渉も1人でこなしてくれています。

任せることを不安に思ったのは、自分のことを過信してたからですね。私しかできない!私じゃないとできない!私のやり方じゃないとダメ!だと思っていました。実際は、スタッフは、自分より何倍も優秀で、それぞれのやり方があって、それぞれ自分のやり方でちゃんとゴールに辿り着く。これを信じる、見届ける、認める。これが経営者として大事だなと思っています。

ビジネスを大きくしたいなら、「みんなでやる」

もちろん自分がプレイヤー兼社長の場合、自分とアルバイトだけで会社は十分回ります。私も当初そういったスタイルでしたし、今でもプレイヤーでいたいと思っています。士業やコンサルなど、専門性を活かしたビジネスの場合は、このやり方が正解です。

ですが、組織として、ビジネスモデルを作り、それを回していく、もしくは、商品を作りそれを広く広く売り出していくなど、ビジネスを大きくしていきたいなら、「みんなでやる」という視点はやはり必要になってきます。
1人1人の役割をしっかり決めて、全うしてもらい、みんなでゴールを目指すようにしないといけませんね。弊社はまだ道半ばですが、引き続きみんなで全力前進しまーす。

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