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乃木坂46など、日本がまだ「CD大国」である理由とは... 世界と日本の音楽市場を比較してみると。

長年にわたって、日本の音楽市場の売上は世界で2位を維持し続けている。

ここ数年で人気が急激に上昇し、現在6位を維持している韓国発祥の音楽「KPOP」や、2位であるイギリス出身の有名な歌手、エド・シーランやデュア・リパなどが手がける楽曲がヒットチャートを独占しているにも関わらず、日本の音楽業界は世界でも高い売上の順位を保っているのだ。

だが、音楽市場はグローバルなスケールで変わってきている。というのも、音楽・動画配信サービスが主に使われている今では、音楽は人々にとってもっと身近な存在となっているからだ。そのおかげで、音楽市場は前年に比べて7.4%も売上が上昇したのだ。

スマートフォンやパソコンから手軽にアクセスできるSpotify, YoutubeやApple Musicなどのビデオ・配信サービスを通して音楽を聴く人が全体的に多くなった今の時代では、CDやレコードなどの物理的なもの(フィジカル)で音楽を聴く人は数少ない。2021年度の国際レコード産業連盟(IFPI)の調査によると、2020年においてのCDなどの売上は全体の19.5%しか占めていないことがわかる。そんな中、国内音楽市場の売上の71%がフィジカルであり、音楽配信サービスの売上が29%と圧倒的に少ないのだ。

そのため、世界の音楽市場 の売上が全体的に伸びている中、そして韓国の音楽市場は前年に比べて45%も増えているのにもかかわらず、日本の売上は2007年から下がる一方だ。日本が音楽市場の売上において高い順位を保てている現状には限界があるかもしれない。


デジタル化が進む中、日本がいまだ「CD大国」である理由とは


日本で音楽配信サービスよりフィジカルの売上の方が高い理由としては、文化的要素の側面が強いと考えられる。

「アイドル文化」が一つの例だ。アイドルのCDやアルバム等を買うと、そのアイドルのグッズや写真、握手会の参加券までおまけとして付いてくる事がある。そして、まるでくじ引きのように、グループの中でどのメンバーのグッズがおまけとして当たるか分からなくなっている。こうする事により、好きなメンバーのグッズが当たるまでCDやアルバムを買い続けるファンが増えるのだ。

また、もう一つの例として考えられるのは、日本独自のガラパゴス化である。海外では配信サービスが主流となっている中、CDをレンタルショップ等で借りる習慣が日本には今でも存在する。音楽業界に限らず、集団主義的であると言われる国民性、あるいは物事を変えずに継続させる事への美徳が存在するからか、日本文化は海外文化や世界共通のニーズに影響されにくいと考えられる。

このような理由でデジタル化が他の国に比べて進まないのだと推測される。


日本の音楽市場が、世界市場での上位を維持するには


日本の音楽業界の売上を向上させるには、CDやレコードから無理矢理にでも音楽配信サービスへと人々の利用動向を切り替えさせるのでは無く、フィジカルの売上を向上させつつ、音楽配信サービスの利用を推進させる必要があると考えられる。

1つの手段として、日本に浸透している「アイドル文化」と「ヒットチャート」を活用することができるのではないだろうか。

日本の「オリコン(ORICON)」チャートはCDなどのフィジカルの売上だけをもとに集計している一方、アメリカ発祥の音楽チャート「ビルボード」はフィジカルの売上だけではなく、音楽配信サービスでのストリーミング回数やYouTubeでの動画再生回数等、複数の音楽提供サービスの売上を基に集計されている。

オリコンチャート等、日本で主に利用されている音楽チャートでもストリーミング回数を集計方法に加える事ができれば、自分の好きなアイドルグループをヒットチャートの上位に上げる事が目的のアイドルファンなどが、音楽配信サービスをさらに利用するのではないだろうか。

日本の音楽マーケットの現状を尊重しながらも、日本の音楽市場ならではの特徴を活かした市場の活性化をどの様に実現するかが、今後の課題であるだろう。


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