四十路を越えたとき

「来年の干支は卯だよね」と年女の伯母が言う。
「私、来年は年女だね」と私が返す。

もうそんな歳になった。
四十路を越えるまで祖母はしきりに
「ひ孫の面倒はみられるよ」
と、言っていたっけ。

私が四十路を越えてからは、ぱたっと言わなくなった。
四十路だと出産のリスクを考えてのことかと。
言われなくなって、ちょっとホッとしたことを思い出した。

一度だけ結婚を考えたことがあった。
でもその人としなくてよかったわぁ、としか思えないからそんなもんか。

友人から
「自分の遺伝子を持った子供が生まれるんだよ、面白くない?」
と言われて、私は全く共感できなかった。

自分の遺伝子を持った子供とか考えられないし、受け入れられないし、むしろ嫌悪すらする。

とどのつまり、それくらい自分のことが嫌いなのかと実感した。

自分のことが嫌いな理由を紐解くと、違う話をしなければならなくなるので、これは置いておく。

結婚して子供を産んで家庭を作る、そこまでを共にする相手を私は見付けられなかったというだけ。
この人の子供が生みたいと思えるほどの人には巡り会わなかったというだけ。
時折、命を繋がなかった罪悪感が私を襲うことはあるけれど…

かといって今、相手が居ないわけではない。
私が五つも年上だったなぁと、思い出さなきゃならないくらい年齢差を忘れていた。
出産やら結婚やらのことを気にしなくていいようにしてくれているように思える。
本当にありがとうと思う。

今は色んな形のつきあい方がある。
お互いの親のことやら何やらを考えると、このままで十分幸せかなと思う。

お互いで考える必要が出てきたら、その時でいいかな。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?