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第8話 不思議の扉と嵐の夜(前編)

これは、クウ星のとある街にある、少食さん向けの会員制隠れ家カフェのお話。
2月のある日。 夜になって、予報には無かった突風が幾度となく「オレはまだここにいるぞ」と魔物のように暴れています。
 
「ママさん……ヨヨヨ……こんな日にこんなに居座ってしまって、ごめんなさいぃ……うぅ」
突然吹き荒れる風のせいで、ローミニさん、テテノさん、サッゴさんがお店に足止めされています。
「いえいえ、誰も、こんな天気の中帰るのは危険ですから!」
マーチさんの言葉にテテノさんも穏やかに口を開きました。
「ありがとうございます、ママさん。 でも、こういう時はこうして仲間がいっぱいいる方が心強いですね」
「うんうん」
サッゴさんも何となく会話に参加していましたが、今日もまたある場所を片目で見ていました。
「(この機会に聞いてみようかな。。あの扉……。 いつも何となく気になってるんだけど、そこまでの事じゃないからお腹いっぱいになると忘れちゃって……)」
 
あの扉の奥は何だろう?
サッゴさんは聞いてみようと心を整えました。
しかしタイミング悪く、違う話題が始まってしまいました。
 
「あの……今度ラーメンフェアを開催してみようと思うのですが、何かご要望はありますか? 実現できそうにない事でも、どんな事でも構いませんので! 自由なご意見をいただきたいです!」
マーチさんは胸の前で手を合わせながら言いました。
 
うーん、と皆が唸ったのち、最初に答えたのはテテノさんでした。
「そうですねぇ……話題の油が多くて野菜がマシマシのラーメン、食べてみたいですねぇ……。 あの系統のラーメン屋さんは量が多いから、全然食べる機会がないので……。 でもうーん、体の事を考えると油が多いのはやっぱりナシですかね……」
「うぅ、分かりますー。 もう食べなくてもあの野菜を見ただけでお腹いっぱいになりそうです……うぅ」
 
その言葉を聞いてサッゴさんが閃きました。
「ああ……あの系統かぁ……。 ちょっと違うけど、参参亭(サンサンテイ)のラーメンとかはどうですか? チェーン店だけど、ジャンク感の中に繊細さもあって、おいしいです。 中々ミニラーメンだけ頼めないけど……」
 
「参参亭! いいですね!」
マーチさんがキラッと目を輝かせました。
しかし、サッゴさんはここでふと疑問がよぎりました。
「も、もしかして、ママさんが味を再現するんですか?」
「ふふ……。 自分でその味に近づけたり、ちょっと心得のある人にお願いしたり……その時その時です!」
「ひえぇ、凄いですね、ママさん……!」
 
サッゴさんがママさんに対して、尊敬とちょっとした恐怖を感じた時でした。
カフェの入口の扉がガタガタ!と不気味に大きく揺れ出したのです。
(後編に続く)

当作品は架空の宇宙(星)のお話です。
登場するキャラクター・名称・店名・イベント等は架空であり、実在のものとは関係ありません。
色んな感覚の方がいらっしゃるので、合わないなと思った方は閲覧を控えてください。

●作者コメント●
後編は2月中に公開予定です。 早めの公開を心掛けます!
何だか魔法使いとか動物が出てきそうな、そんなタイトルですね。
つい調子に乗って大げさになっちゃったかな。
前編は、とりあえず少しでも書いておこう……って書いたらスルスルっと最後まで書けてしまいました。(後編はもうちょっと推敲して……かな)
私にも小さい頃、ずっと気になっていたドアがあったのですが、もう取り壊されてしまって、気になる思いと想像だけが残っています。(でもそれがここに繋がったんですね)
それでは次回もご来店お待ちしております!

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