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絵本のすヽめ

  我が家は、毎日寝る前に絵本を読む。長男が1歳になる前からの習慣で、もうずっと続いている。わたしも、小学校に上がるまで、寝る前に絵本を毎日読み聞かせてもらった。そこには、自分の日常には存在しない世界が広がっていて、わたしは物語に入り込んで、動物と一緒に遊んだり、おやつを食べたり、空を飛んだり、秘密基地を作ったりした。子供の頃にしか楽しめない、それはそれは特別な世界だった。
 今ではもう、大きな大きな卵を拾って、動物たちと一緒にホットケーキを食べることなんて無理だってわかっている。それでも、どこかにそんな世界は存在しているのかもしれない。目に見えるものだけが全てではない。と信じていられるのは、この読み聞かせの時間があったからだと思う。

 母親は、いろいろな絵本を読んでくれたが、日本の昔話や、西洋のおとぎ話は読まなかった。だいぶ大きくなった頃に、そういえば、と聞いてみたことがあったが、意図的に選ばなかったと言っていた。母親になったわたしも、同じ選択をした。現実と空想の境目があやふやで、柔軟に物事を捉えられる子供の頃に、わざわざ教訓めいたことを教え込む必要もないと思ったからだ。全ての昔話がダメだ、ということもないが、「良い昔話」を選ぶのはとても難しい。ならば、今しか楽しめない絵本をできるだけたくさん読んであげたいと思った。

 ありがたいことに、長男は本が大好きな子に育っている。次男は、長男と読み聞かせの時間が半分こになってしまうので、長男の時ほど本への食いつきがいいとは言えない。やはり、かけた時間は比例するのだろうか。それでも、二人とも毎晩の読み聞かせの時間を楽しみにしてくれていることがとても嬉しい。そんな子供達が大好きな絵本を少しだけど記録しておく。

 4歳。二人が自転車で向かう先は、いつもちょっと不思議な世界。こんなもの食べたいな。こんなお土産欲しいな。というすてきなものや、場所であふれているお話で、こどもたちも大好き。ひらがなが読めるようになった長男は、自分で引っ張り出して読むくらい好き。

 4歳。長男が長い髪に憧れるようになったきっかけの本。コロナでずっと髪を伸ばしっぱなしのわたしから思えば、長い髪は乾かすのに時間がかかるし、傷むしで、いいことないなと思うのだけれど、長男は、いつかわたしの髪もまあちゃんくらい長くなって、いろいろなことができると信じている。もう少し大きくなったら、こんなの無理だ、って気づいてしまうだろうから、その前に出会えてよかった一冊。ちなみに次男は、お茶をしていたまあちゃんたちが、空っぽになったお皿とコップをそのままにしてどこかに言ってしまう絵を見て「あー、出しっぱなし。だめ。わるい」と、言う。

 3歳。もともとは、帰国する知り合いからもらった一冊だったが、あまりに気に入っていたので全巻そろえた。おばけの世界のお話は、自分と同じような子どものおばけが出てくるのに、なんだか少しだけ、自分が知っている生活とは違う。そこが楽しいみたい。

 3歳。わたしだったら絶対選ばない絵だけれど、子どもには大ヒットな一冊だった。特に2歳の次男が大好きで、同じ作者の「ばななじけん」も「まってるまってる」も大好き。

 長男の本があるので、ついつい次男の本はいいかな……と思ってしまうのだけれど、それではダメだな。と思って買ったのが、たいこ。可愛い絵だけじゃなく、声に出すととても面白い本で、この作者の本は全て購入した。世界観が暖かくて、少しシュールでおもしろい。みんな、やさしい。

 5歳。ねずみたちの作る家がすてきで、すてきで。こんなお家住みたいね。自分だったらこんなお家がいいね。と、読んだあとも話が広がる絵本。読んでいると、自分も秘密基地を作っているような気持ちになれるところがお気に入りのよう。

 5歳。これは、わたしがすごくいいな、と思った絵本。湯本香樹実さんなので読む前から期待は高かったけれど、その通りに大満足だった。初めて読み聞かせる時は、泣いてしまうかと思った。長男にはまだ早いかもしれないと思ったけれど、長男なりに思うところはあったようで、もう何度も読んでいる。子ども達が親になった時に、ぜひ、自分の子どもに読んで欲しい。年を重ねたからこそわかる、部分がたくさんある絵本だと思う。

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 長く読まれている本(ぐりとぐらシリーズや、こぐまちゃんシリーズ)やよく知られている本(りんごかもしれない、バムとケロシリーズ)などの他にも、まだまだ知られていないいい絵本はたくさんあるんだなと新しい絵本を読むたびに思います。子供は正直なので、何度も繰り返し読む絵本と、そうでない絵本ははっきりと分かれます。我が家は、実際に手にとって本を買うことができないので、なかなか歯がゆいところがありますが、お勧めがあれば教えてもらえると嬉しいです。

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