水彩画サークルにて
今年は色々あったのよ。
春先にぶっ倒れて死にかけるし、退院したと思ったら入院代にあばばばばばってなるし、この先通院費かかるようになっちゃったから、とりあえず何か仕事!って今頑張ってたりするの。
明るく見える?
ふふん、そんなわけないのよ。
病んだ。
ちょー病んだ。
そして病むの飽きた。外に出ようってなった。
でもお金がないわけ。
散歩とかもいいけど、ひとりで居ると余計なことを考える。
シングルタスクのはずなのに、思考だけはマルチタスク。
嫌なこととか不安になることばかり考える。
そしてひとりで奇声を発して、頭の中に喝入れてる。
こりゃいかんと思ったわけ。
そんな時、とりあえず太陽さんでも浴びとこうって、散歩してたときに公民館の前通ったの。
そういえば、自分のカーチャンとかもママさんバレーとかやってたなって思ったわけ。
これよ。
公民館でやっているサークルさんとか、ちょうど見学できたから、とりあえず自分が今出来ることと、やってみたかったことを1個ずつ見学に行ったの。
ひとつは絵画サークル、ひとつはヨガサークル。
月額費…破格!!
平日の昼にやってる公民館のサークルだから、ちょっと…自分よりだいぶお兄様お姉様が多かったけれど、逆にちょうどいい距離で目をかけてくれて幸せ。
ヨガは身体もリフレッシュ出来たし、呼吸法でイカれにイカれた自律神経も少しずつ整っていっていい事尽くめ。
そして絵画。
そうね。今日は絵画サークルの話をしようかな。
水彩画を中心に、油彩やってる人もいるし、各々好きな絵を描くサークルさんなわけよ。
私は絵を少し齧ってたけど、水彩画が絶望的に下手くそだったの。
色をのせるのがまず絶望的にセンスがなくてね。
モノクロばっかりだったの。今まで描いてきたやつ。
そこで、そのサークルの先輩らはプロ並みに素晴らしいわけ。
幻想的な色味を使う人、写実的な色味を使う人、十人十色、全部素敵。
こんな素敵な絵を描いてみたい。
私、そう思ったから、そのサークルさんに入ったの。
お姉様お兄様方は、定年過ぎて趣味で絵を描かれてる人が大半なのね。
私の人生と同じくらいの時間、絵を描かれてる方もいらっしゃって、やっぱり今まで積み重ねてきた画力と深みがあってどれも素敵なわけ。
そこに80を過ぎたお姉様がいてね、その方が本当に上手い。
ささっと手早く素敵な作品をたくさん描いてくれて、みんなの先生。
元々は学校の先生をされていた方だったらしくて、教え方もピカイチ。
けれど、ご自身もずっと学び続けられている方で、絵画教室に通い、そこで学んだことをさらに私たちに教えてくれたり、そういった姿勢も素敵な方。
その方に教わりながら、とりあえず1枚描いてみたわけ。
難しい。
何これすげー難しい。
皆様素敵な作品に仕上がっていく中で、私だけ『え?これ水彩?』みたいな、滲みもぼかしも生きてない、カラーインクで塗りました!みたいなカックカクの絵になっちゃったわけ。
描き終わって、他の人の作品と違い過ぎて私しょんぼり。
でもね、そうしたらお姉様お兄様方は言ってくれるのよ。
「みんな一緒になるわけないもの、個性が出てて素敵よ」
絵に正解はないって良く聞くけど、失敗もないでいいのかな?!
初めてなのに上手上手ってみんな褒めてくれる。
そこで思ったんだよね。
私いつも自分を貶すことが先にきてたなあって。
出来ないことを責めるとこから始めて、まずここが出来てるね、ここも出来たよって、出来てるところを自分で褒めてあげてなかったなあって。
ここのサークルの人達は、私が出来たところをまず褒めてくれる。
難しかったところは、『こうしたらいいよ』って教えてくれる。
“出来なかったね“がない世界ってすごいって思った。
そこからね、私絵を描くことにちょっと前向きになった。
出来ない自分を責めるより、出来ることが増えていく自分が楽しくなっちゃった。
カックカクの絵から始まった私だけど、次に描いた絵はそれより少し素敵になったの。
“滲み“を教えてもらって、色を置く前に水を塗って少し待つこと、その後に色を塗ること、塗ったら自然な滲みが素敵になるわって教えてもらったの。
でもね。
水彩ってすごいのよ。
何がすごいって、途中経過で見ると完成が全く予想できない。
乾いてみないと、どんな絵になるかわからない。
慣れてる方はわかるのかもしれないけど、私はペーペーの初心者なので、水を塗って色を置いた後、水と絵具でくちゃくちゃのこの紙が、果たしてちゃんと絵になるのか不安。
綺麗にぼけるか心配で、思わずティッシュで拭き取っちゃったりして、乾いた後に後悔すること多数。
でもみんなこの道を通ってるのか、私が色を置く前に水を少し乾かしてる間とか、
「ちゃんと待ててえらい!」
って言ってもらってね、
「待つのが1番大事なのよ。」
って教えてもらったの。
私ちょっと斜に構えてるところがあるからさ、最初それを言われた時は、
『い、犬…?』
とか思っちゃったんだけど、やっていけばいくほど、その言葉が自分の中で素敵になってきて。
失礼なこと思っちゃってごめんなさいってなった。
『待つのが1番大事』
これってとっても素敵。
なんかね、ふと思ったんだけど、私の今のモヤモヤって、多分水を置いている紙の状態で、くちゃくちゃに見えるこの状態が、本当に綺麗になるのかな?って、水彩画で不安になっている時と似てる。
でもさ、ちゃんと乾いた後はどんな絵であれ、それなりに絵になるのね。
けど、水でくちゃくちゃの状態は不安で、こうした方がいいかな?ああした方がいいかな?って色々いじっちゃって、乾いた後に、ああ、こうした方が良かったな、ああした方が良かったな、とか。
案外待ってるだけでも良かったのかもね。
“待つ“って、別に何もしないってことじゃなくて、大事なことなんだなあって。
何かそんなふうに思った。
水彩画から、お姉様お兄様方から学ぶことは多くて、最近は割と充実して過ごしてる。
あの時、とりあえず散歩行って良かったなって、自分を受け入れてくれた先が温かくて良かったなって、本当に思った。
最近焦ってることが多かったからね、ちょっとのんびりします。
そして仕事も頑張るのだあ!!
執筆 かおすけ
©DIGITAL butter/EUREKA project
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