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サンデーカメラマンが結婚式に出席するゾ

 五月の末、結婚式に呼ばれた。
 実に久しぶりの出席となる。

 10以上も離れた知人で、以前はポートレートも撮らせてもらっていた。
 現在は隣県在住で、会うことは少なくなったが、ときどき連絡がきたりする。

 久しぶりの出席だし、よくしてもらっていた人でもあるから、
 写真趣味の自分としては、ちょろっとでも写真を撮ろうかな、と考え、はて、機材は何にするかな、と考え始めた。
 写真趣味の人はえてして何かがあるたびに撮影とからめたがるものだ(自分だけだろうか)。
 とはいえ、ウェディングカメラマンがいるのに、自分がでしゃばるわけにも当然いかず、なにより腕の問題もある。ならば僕は、自分の好きな機材で、自己満足になってしまうが、気楽に撮ってみようと考えた。
 要は、ライカで撮ろうと考えたわけだ。

 光がころころ変わり、被写体が動き、位置取りも難しく、なにより撮り直しの利かない結婚式、披露宴で、ライカを使うなんて、もう本当に自己満足の世界だ。

これは妻。いやはや若かった。

 以前の話、写真仲間の方が、同じく写真仲間の結婚式に呼ばれることがあったそうだ。それは、Instagramのつながりで、月に一度集まって撮ったり、会話をしたりするゆるい集団で、そのメンバー外な自分は、彼らが集まって活動するポストを、しばしば(うらやましげに)眺めていた。
 結婚されるのは、その活動のなかで知り合った2人だそうで、式後のお二人のInstagramは本当に幸せそうな写真が流れてきていた。
 そんな結婚式、さぞかし式場ではいろんなカメラが並んだことだろうと思う。何かの記者会見か? と、想像するに実におもしろそうだ。新郎新婦の友人やご親戚は、「何事?」と思われたに違いない(と思う)。

 さて、今回呼ばれた結婚式、新婦は、隣県で絵描きとして活動をされている人だ。先日丁寧に、座席配置図を送ってくれた。
 高砂の真ん前だ……。
 そこになるのはありうる話だったとはいえ、いや、大学の恩師とか職場の上司とかいるでしょうが…と考え、あ、新婦はフリーランスだから職場云々はないのか、でも旦那さん(超高学歴)は……、と考えてみたり。

 僕の席には、他は彼女の知人が配されていた。つまり半分くらいは僕の知人ということにもなる。そんなテーブルが上座近辺にあるということは、本当に知人だけでの式にするのかな、ということになる。もしかしたらそうなのかもしれない。コロナ禍以降、そういう式が増えたとも聞く。それはそれで気兼ねなくわいわいやれていいのではないかな、と思う。

 そういうわけで、機材の話である。
 高砂の真ん前なので、望遠なんかは必要ない。式に関しては、自由に動けるわけでもないから、そもそも撮りづらいから70-200なんていうものはいらないということになる。
 ならばもう当初の予定通りライカで行こう。
 レンズは90mmと28mmあたりだろうか。個人的に好きな50mmか75mmを足してもいい。そんなにがちゃがちゃレンズ交換するわけではないが、たぶんに結婚式後もなんやかんや撮るだろうし、二次会にも名前がすでに入っている始末。40過ぎの小父さん1人浮いているだろうなと思うので、二次会は撮影に徹したい。

閑話休題


 ウエディングでの撮影を請われてやったことが4度ほどある。
 もちろん、自分にできないことはコレコレだよ、と告げてだ。
 一つは職場の先輩が、プロにはフィルムで撮影を依頼したので(もう15年は前)、おさえで撮って欲しいということで。まだ機材が貧弱だったので、同じく職場の人から2.8通しの標準とストロボを借りて凌いだ。
 一つは同じく職場の同僚、新婦が自分の親類、かつ新郎側は通っていた神楽の宮司さん関係だったのでみんな知り合いだらけ。新婦は幼い頃から見ていた子だったし、機材も揃っていたので俄然気合入れて撮った。フルサイズ機二台と24-105f4 70-200f2.8 これに12-24 と単焦点を予備に持っていった。前撮りも急に呼ばれて撮ることになった。プロカメラマンが中判フィルムを使って撮っている姿を初めて見た。
 それから友人の結婚式。奥様が再婚なので、こじんまりとした式にしたようで、カメラマンおまえしかいないから、と。こちらはかなり緊張した。が、こういう時Canonの一眼レフシステムは信頼できるシステムだなと感じたものだった。
 本当にこじんまりとしていて、お食事会に近いものだった。急遽テーブルを回って写真を撮ることになったりもした。そんな感じだから後には単焦点でけっこう好き勝手に撮らせてもらった。

 最後は、結婚式というよりはお披露目会みたいなもので、新郎新婦が出会うきっかけになった場所で、そこで繋がった人たちと会をしたいということだった。新郎新婦とは面識がなかったが、2人の知人が僕の知人で、都合がいい奴がいるからと、車を2時間弱走らせて会場に行った。その時の機材は僕もゲスト扱いだったので一眼レフの他にx100シリーズ2台を持っていった。こんな手作りのパーティーもなかなか良かった。

 ただ、今思うとほんとゾッとする。特に後の2つはプロカメラマンのいない撮影だったからなおさらだった。
 先日、SDカードがダメになった。ライカM240に入れていたカードが、パソコンに挿入したとたん、全てのデータが消えた。奈良旅行の半分近くの記録がパァである。それも今回2回目。これまでこんなこと全くなかったのに。原因はカメラというよりパソコンか、あるいは2回とも同じメーカーのSDだからそちらにあるのかもしれない。
 それからというものFUJIFILM機などのダブルスロットの恩恵をしみじみと感じている。シングルスロットのライカで結婚式をマジ撮りするなんざとんでもない。
 一発勝負のウエディングカメラマンがどんな気持ちなのか、今ならちょっとだけわかる気がする。奈良で撮ったあの写真、この写真、返ってこないこの残念さ。スマホに入れていた2日分の一部だけは保存できたけど、いやあ…もしこれが仕事だったらと思うと…である。

 と言うわけで、今回の式はライカで撮ろうと思うのだ。(あれ?)


 幸多からんことを。

 

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