LUMIXユーザーがFUJIFILMの決算報告会でのコメントで感じたことを書いてみる。
はじめに
ども、ミツハシです。
最近、ちょっとネタ切れ気味……というか、ネタはあるものの準備が必要だったり「今が投稿するタイミングじゃないんだよなぁ」なんて思ったりして、どうしようかと思案していた時に、この記事がXなんかで話題になり一部のカメラ系ユーチューバーも話題にしていた内容を見て、色々と考えていたことをここに書いて今後の写真活動のヒントにしようというのが、今回の記事です。
騒動の発端
騒動の発端のなる記事は、おそらくデジカメinfo のこちらになると思います。
https://digicame-info.com/2024/05/post-1736.html
記者がデジカメの在庫状況に尋ねた際に、供給過多による製品価格(価値)の下落を避けるためには、現在の在庫状況を「平常な在庫状況」とした事と、その説明の中で
というコメントから、「FUJI はライカを目指している」という言説がXを中心に流布された……というのが、発端から話題になるまでの流れのようです。
FUJIFILM の在庫問題
FUJI のデジカメについては、XT-5・XS-20・X100Ⅵ が発売された際に即完売となり、市場に戻るまでに相当な時間がかかったことは、カメラユーザーの皆さんの記憶に新しいと思いますが、今回の記事での発言を受けて「発売してすぐに入荷待ち状態が続いたのに、『平常な在庫状態』とは?」と思われた方も多いと思います。
昨今の半導体の供給不足により、ほぼ全てのデジタル製品に影響が出ていますが、それでもXT-5 以降の製品の発売後すぐの完売と販売再開までの期間の長さは、供給不足だと思われても仕方ないと思えるものでした。
カメラユーザーとしては「欲しいと思えるカメラが買えない・購入予約をしてもいつ手元に届くかわからない」というのは、非常にもどかしく感じると思います。
そうした「もどかしさ(=フラストレーション)」が、平常な在庫状態という発言で爆発したのかもしれません。
是非はともかく、在庫状態のメーカーとユーザーとの間に意識のズレがあったことは間違いないでしょう。
FUJIFILM はライカを目指すのか?
また、CEOが質疑応答でライカを引き合いに出したことで、「FUJI はライカを目指す」ということが SNS で流布されていましたが、多くの方々が「FUJI はライカの様な高級路線に切り替えるのでは?」という憶測がなされていますが、これに関して私は懐疑的に捉えています。
というのも、CEOはフィルム時代の古いカメラでも変わらない価値を維持し続けている=自社製品に不変の価値を持たせているメーカーとしてライカの名前を出しているので、高級路線というより「いつまでも愛され使い続けられるカメラを、写真・カメラを心から楽しむ人達に提供したい」というメッセージと受け取りたい、と一人のカメラユーザーとして考えたいと思うからです。
多くのカメラメーカーが毎年あるいは年に数回、新作カメラを発表・発売していますが、それほどの開発スピードをユーザーが求めているかと言えば、決してそうではないと思います。
常に最新モデルを持っていたい方よりも、3年落ち・5年落ちモデルでも長く愛用されている方のほうが実は多数派ではないでしょうか。
そうした方々には、最新モデルの開発よりもファームアップウェアのリリースのほうが遥かに有意義なことだと思います。
もちろん、企業は成長し続けなければ存続できないのは百も承知ですので、新商品を定期的にリリースしなければならないでしょうが、新商品リリースのサイクルが短期間になれば、カメラという道具に愛着を持つ時間もなく新商品を買うことになるわけです。
それは企業とカメラという道具の発展にはつながりますが、「写真という文化」を醸成することにはつながらないと思うんです。
実はライカのレンズ・カメラが今でも不変の価値とみなされるのは、写真がカルチャーを担う一つのジャンルとして社会に根差しているからで、ライカの経営戦略とかプロモーションとは全く別次元の話なんです。
FUJI がライカを目指すというのは、これまでメーカーやプロダクト主導だった日本のカメラ文化をユーザー主体のものにするということでもあり、ユーザー獲得の戦略からユーザー育成へと転換することではないでしょうか。
結果として、カメラの販売価格は高騰すると思いますが、そのカメラを買った先に待っている撮影体験や感動をメーカーがどこまで見せてくれるのか、それをユーザーが信じられるカメラを作れるのか。
おそらく FUJIFILM は、そうしたチャレンジを目指しているのではないでしょうか。
おわりに
FUJI がライカを目指すという発言は、単純に「ライカみたいに高額な商品を売っていく」みたいなことではなく「カメラメーカーとしてユーザー主体の写真文化を支える企業を目指す」だと思っているわけですが、それはFUJIFILM がフィルムカメラ時代からユーザー目線で商品開発をしてきた企業だと見てきたことが根拠となっています。
また、この話題の流れ弾を喰らう形でライカを『殿様商売』をしているかのように論じる方も散見されて、写真の文化的土壌の違いを見せつけられた思いでした。
どういった販売戦略を取るにせよ、最終的な購入決定権はユーザーにあるわけですから、今のFUJIFILMユーザーがお持ちのカメラを壊れるまで使い続けるか、他社のような新商品開発サイクルで新モデルを買い続けたいか、どちらを選ぶのも自由だと思います。
個人的には、フィルムシミュレーションに魅力を感じていない事と「勝負レンズ」が分からないという理由で、FUJI を選ばなかったし、これからもLUMIXを使い続けるだろうなぁと思っています。
今後の創作活動をより良いものにするために、皆様からのご支援をお待ちしております。