第2回逆噴射小説大賞、完結(私的ピックアップ含む)
こんにちは。
第2回逆噴射小説大賞が完結しました。2019年10月からスタートし、最終結果発表が2020年1月中旬です。おおむね4ヶ月の耐久レースです。審査されたダイハードテイルズ局員の皆さま、逆噴射先生、そして参加された皆さま、お疲れ様でした。
映えある大賞作品はこちらです。おめでとうございます!
第一印象は「ヘッダーの血塗れの手がややリアルすぎてきついな……」でしたが、死を意に介さないバアさんと殺し屋のコンビが面白い。タイトルも作品から離れすぎず近すぎず、刺激的なイメージを読者に喚起させることに成功しています。続きが気になりました。
私的ピックアップ
考えてみたら逆噴射小説大賞2019、私的ピックアップを行っていませんでした。今回の応募作品は640作、そのうちの二次選考突破は167作です(こうして見直すとやっぱり数多い、参加者多いな……!)ので、五作品ほどピックアップしたいです。こんな強キャラたちを抜いて大賞を受賞されたバッティさん、ほんとうにおめでとうございます……!
最初の一文からパンチが利いています。過激アンチによる抗争はノンフィクションの筆致を思わせ、かなりの情報量があります。スワッティングにとどまらず、マフィア、ゲーミングチームによるシェルターめいた自己防衛など緊張感が続く描き方です。人名が英語で記されているため、英語圏の記事を翻訳した感もあり、「これから大惨事が起きるぞ」という気配がみなぎっています。
「えっ、だるま、何だって……?」と思っていたらどんどんストーリーが転がります。スクロールが止まらずに一気に八百字を読んじゃいました。改行の仕方、キャラ付け、強烈なだるまの持ち味に舌を巻きます。つなぎ具合で短編にも中編にも作れそうな話で、続きが気になります。ヨシタケシンスケさんの『なつみはなんにでもなれる』のような、大人でも子どもでも楽しめるスケール。何より、タイトルのお姫さま、まだ出てきていないんです。これでお姫さまが出てきたら、どうなっちゃうんでしょうね……?
太郎の話。最初の太郎は虚空に生まれました。単なるデマだと思っていたものが本物になる瞬間は、いつも恐ろしい。「村人の中にも太郎の実在を信じる者が出始めた。」のところがパワーがあり、空気が冷えます。八百字の中で設定だけに終始せず、人物の動きもあります。どう展開していくのか気になりました。
「芥川……断食……ははー文芸ものか」と思っていましたが、事態はおかしな方向に進んでいきます。謎のマッツ・ミケルセン、全焼した奥の院、断食三十日……というタイトルなど、如何ようにも膨らむ伏線が散りばめられています。語り方もひっそりとして、数人でテーブルを囲んで怪談を話しているような、ふわふわとした書き口。作者さんはバッティさんですのでやや被ってますが、それを差し置いても面白い……!
「なるほど、メキシコシティ……違う、ここはメキサスシティだ!」と最初に思った作品。文字強調は使いすぎるとメリハリがなくなり、作品が平板になってしまいますが、この作品ではダウナーで刺激的な文章に挟まれており、効果的になっています。文章には力があるものの、雰囲気が暗く、ここからどう読者を抱えて展開するか、が力の入れどころだな、と思いました。
おまけ(自作振り返り)
私の作品も最終選考まで残りました。選考に残ったことも嬉しいですし、レビューを頂けたことも有り難いことです。以下に私の作品と、思ったことを若干。
斬新さというより、既存の要素をプラスアルファすることで選評を頂けました。私は作品を作るとき、そこまで奇をてらわずにその場の思いつきで書き始めるタイプなので、この方面にある意味フィットしているのかもしれません。
レビューでは主人公の語り口について文章を割いて頂けました。主人公について、私の他の応募作品(『ドラゴンリトルシガー1カートン3ミリ』、『芸能殺手! アラタメさん』)と見比べてみましたが、なるほど主人公の動かし方がやや違う――と思いました。これまであまり主人公の語りを意識したことはなかったのですが、「こういう路線で作っても将来的には力になるかもしれないな」と唸らされた選評です。
とはいえ語り口が確立できてもそれ以外が良くないのでは論外です。書かねば。そして完結させなければ……とりあえず『リアル・スティール』を観ました。拳……超悪男子……そして親子の絆。面白かったです!
なお、次回の逆噴射小説大賞はおそらく今年の10月頃です。準備期間は八ヶ月! あれ、意外と短くない……?
おまけEX(最近)
小説賞は当座のところ一息つきました。次の課題は連載面であり、つまりマラソン的にエネルギーを出していかなければなりません。飛び込む前にnoteの環境を充実させよう! 具体的にはヘッダー画像とかプロフィール画像を作って……リアクションもきちんと書こう……ついでだしtwitterのアイコンも作るか……と考えて自作しようとしたら、うまく作れずに悶絶しています。
外注するより自前で作ったほうがデザインの勉強になるだろうと、Wordやペイントツールで試行錯誤しているのですが、デザイナーの道は思った以上に険しいようでまとまりません。筆文字にするか……あるいはドット絵で攻めるか……お花の画像とかいいかもしれない……アートディレクターへの道は遠い! しかし初期アイコンからは脱却しないと個性的にならない……!
最終的にヘッダー画像が料理やお花になっていたらお察しください。
《終わり》
photo by Jerry Zhang on Unsplash
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