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逆噴射プラクティス(小説)

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2018年10月開催の逆噴射小説大賞に投稿した作品をまとめております。 2019年追記:逆噴射小説大賞2019(第二回)に投稿した作品を収録しました。 2020年追記:逆噴射小説… もっと読む
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記事一覧

白いあなたを探してわたし

 確かに〈ボイノワ〉は眼鏡に続く新時代の発明品だ。  もともとボイノワは『Voice Noir』と…

復路鵜
5か月前
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土蔵は下へと旅を紡ぐ

 ふらふらしていた俺が故郷に戻ったのが二年前。  実家の祖父と土蔵掃除を始めたのが三時間…

復路鵜
6か月前
54

ビーイング・ドローイング・ビューイング

 手元にはiPhoneで撮影した空の絵。俺は模写に入る。が、集中力は二十分が限度だ。雲の輪郭が…

復路鵜
1年前
41

ティターニア

 佐々がピアノを鳴らすと、「ド、レ、ミ」と透き通った声が響いた。  ずいぶん前だが、佐々…

復路鵜
1年前
40

第4回逆噴射小説大賞、お疲れさまでした(2021125)

 夏が終わりました。秋がきてすぐに冬っぽくなり、エターナルズとかアイの歌声を聴かせてとか…

復路鵜
2年前
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逆噴射小説大賞2019、ピットイン

遅くなりましたが、逆噴射小説大賞に投稿された皆さま、お疲れ様でした! 一次選考・二次選考…

復路鵜
4年前
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『新渡道中膝栗毛 あるいは少女悪人掃討紀行』第一話

1  故郷の新渡県にてフィールドワークしつつ、修士論文用のネタを探していた静海は、いま100年前の故郷のほとりにいる。場所は実家がある新渡市の旧中尾地区の外れだ。なぜわかるのかというと、郷土史に載っていた写真そのままの風景だからだ。  湿地とはつまるところ、泥で覆われただけの湖に過ぎないことを静海は悟った。遠くには樹木が数本立っており、他は平原である。ぬるい風が吹いていく。掘っ立て小屋が見えたが、休憩中の男たちが賭博に興じていた。というか、その掘っ立て小屋に出現した静海は

エルフォルビア

 ギルドカウンターに《エルフキラー》の手配書が張り出されたのは二週間前だ。エルフ族ばかり…

復路鵜
2年前
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アリと破滅とキリギリス

「俺は五十年後を知っている」と先輩がいった。  僕と先輩は裏通りを歩いている。たったいま…

復路鵜
2年前
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少女奔走要塞学校

 わたしはリクソウさんを追い越し、高射砲横の白線に立つ。日差しが強い。日傘を持参したほう…

復路鵜
2年前
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あなたに捧げる物語 第一話

1  チバが得体の知れない朗読の仕事を引き受けたのは、日当五万円だったからだ。仕事が来な…

復路鵜
3年前
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逆噴射小説大賞2020、自作品サーベイその他

逆噴射小説大賞2020、投稿期間が終了しました。現在はチェック期間です。 参加者、読者、そし…

復路鵜
3年前
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フロム・バベル

《バベル》三層にようやくたどり着いた。探索に向かう傭兵が多くて、あたしは何回か誰何された…

復路鵜
3年前
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ボーン・ザ・ゴーン

 光が射す場所はオタワだ。そこからシュロたちは逃げる。  光の所在は大気圏に設置された宇宙人の母船だ。地球が攻撃されて数ヶ月経つが、どうやら宇宙人は攻撃の際に別の扉も開けた。おとぎ話だ。エルフ、オークの襲撃で二十人だったチームは二人になった。シュロ、ベリンダは南へ逃亡を続けている。ここで冬になったら凍って終わりだ。  宇宙人どもは攻撃と並行して誘拐も行っている。行き先がグリーンランドというのは嘘で、怪物に作り変える実験を行っているという噂だ。シュロの彼氏も誘拐された。