見出し画像

高円寺に古着を買いに行き、瀬戸内寂聴の古本を買って帰る

古着が好きになったのはここ数年のこと
今まではシンプルな無地の服が好きだった

地元の古着屋で買った黒地にパイナップルがあしらわれたアロハをきっかけに柄物にハマった

高円寺の断捨離本屋

古着といえば下北沢・高円寺だろう。家から近いと言うこともあり、下北沢へはよく行くのだが、高円寺は久々だった。

都内、特に世田谷や杉並は南北の移動が弱い。高円寺へは電車を使うと55分かかるのに対し、自転車の場合は34分だった。天気的には帰りの時間までは雨が降らなそうだったので、もちろん、チャリで行く。

環七を北上する、まとわりつく湿った空気で、いつも以上にリュックとTシャツの間に汗をかく。1日100円の3階建ての巨大な駐輪場に停め、汗拭きシートで入念に整えた後に開拓が始まる。

が、その前に腹ごしらえだ……以前からマークしていたベトナムのフォーが有名な店があるのだが、その日は気分ではなかった。色々迷った挙句、有名どころと思われる太陽ラーメンへ。

日本の老舗の飲食店も、外国人の方がいないと成り立たないよなとか、愛想がいいんだか悪いんだか微妙な態度のおばちゃんに急かされつつ、Cセットを注文。淡麗の煮干しラーメンに、ギトギトの半チャーハンでお腹を満たす。味はまあまあかな。

高円寺は下北沢よりも狭い通路が多く、ドーム付きの商店街もある。古着の聖地を巡るのは楽しいのだが、何かを買うとなるときはいつも一目惚れに近いため、出会うことがあまりない。

古着の場合、いくら商品が陳列されていても同じものが複数ある場合は買う気が起きないし、あまりの商品の多さに迷ってしまうのも事実だ。

あと、あの店員のクセはなんなのだろうか。どことは言わないが、目つきが悪かったり、態度が大きかったり、やけに馴れ馴れしかったりと、ひどい体験が多くないか?

ざっと20店舗ほど回ったが気になったのは3店舗だった。そのうち、1番刺さったのがこのウミガメのTシャツだ。

汚れ具合は許容範囲だったが、ピンホールの位置が微妙だったので購入には至らず……惜しい、この店はまた来てもいいな。


人気があまりない方向へ進んでいたところ、ドアも開けっぱなしで、冷房もつけずに営業していた古本屋を見つける。80代くらいの足腰がしっかりとしたご老人が何やらせかせかしながら商品を出していた。中に入ると、

「これは私が読んできた本なんですよ、断捨離してまして……。小説とかはあまりないでしょ、偏っているんですよ笑。」

なるほど、確かに本を見ればその人と会話をするよりも明らかで、かなり店主はかなり右に偏っているらしかった。他は、英語の勉強本や天才になる方法など自己啓発系や時代小説が充実していた。VHSやレコードもいくつかある。

「安部公房の本はありますか?」
「……レコードはも売れちゃってて、あまりないんですよ。ほら、もうしばらく前に売れちゃってねえ。」

なるほど耳も遠いらしい。返答には曖昧に答える、華麗にスルーした。

右の本や、店主が先生と崇める方の本はご勘弁だったので……何を買ったのかというと瀬戸内寂聴著の孤独を生ききる、300円だった。

なぜこれを買ったのかは自分でも良く分からないが、その店主がこの高円寺という街で1番優しく、面白かったのと、その人生の一部に触れてみたかったのだろうか。

一生を賭けても、ここにある本は全て読まないだろうな……本屋に入るといつもそう思うのだった。

over.

よろしければサポートお願いします! いただいたサポートはクリエイターとしての活動費に使わせていただきます!