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負けなくていいよ

20歳の夏のある日、わたしは怒っていた

趣味の活動で行ってた合宿。海辺の街。クーラーつけてもなんとなくペタペタと暑いあの部屋で、慣れないお酒を飲みながら彼氏の隣に座って。

そのグループは年齢の幅も大きくて、ほとんど親みたいな世代の人も多かった。ほんとに子供の時からお世話になって、娘みたいに可愛がってくれる人もたくさんいた。

その時、前に座るその人はお酒を片手に

「もっとさ、上に行くと思ってたんだよねー」

「なんか意外と落ち着いちゃったね?」

と、とても残念そうに私たちに向かって笑った。

***

こういう話のあるあるだけど、その人とはそこまで仲良くなくて、わたしが今なにやってるかとか、なに考えてるかとかは真面目に話したこともなかった。当時はよくわからなくて、怒っている彼氏の隣でボロボロと涙が出たのだけは覚えている。たぶん、わたしもとても怒ってたのだと思う。

こちらとしてはその人とは距離を置かせてもらったんだけど、向こうは多分そんな風に思ってない。

大なり小なりの、こういうことが増えた年齢が20歳っていう区切りだったなと思う。制限がはずれて、やらねばならぬことが増えるとき。ああすれば良かった、こうして良かった!という年代について、人はその当時の自分と重ねることを好む。

今なら「は?なに言ってんだこいつ?」と思いながら適当に話を合わせることもできるけど、当時はできなくてずいぶん嫌なことも多かった。

自分が関与しない失望も、レッテルも、なんの意味もないことを知ってるから、今20歳の子にも、あのとき20歳の子にも、負けなくていいよと伝えたい。

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